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妹リリーナの独白

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 アンジェラが他の男性の子供を身ごもった事実を知った今、もうセルードとの復縁を望むのは間違っている。

 だからといって彼をこのまま帰すわけにもいかない。
 
「……お願いです……どうか、姉を許してあげてください」

 悩んだ挙句、リリーナは到底叶えられない願いを口にした。

「許す?はっ、誰が?……まさか、私に言ってるんですか?リリーナ嬢」

 言外に許さないと告げられ、リリーナはその場に跪いた。

「私が姉の代わりにどんな罰でも受けます。だから姉を許してあげてください。何度もお伝えしていますが、姉がこうなったのは全部私のせいなんです」

 両手を床に付き、頭も地面にこすりつけて懇願すれば乱暴に腕を掴まれた。

 そして強引に顎を掴まれてしまえば、否が応でもセルードと目が合う。

「ほう。全部リリーナ嬢に責任があると?……では、貴方がアンジェラ嬢に男を紹介したんですか?子供をさっさと作ってしまえと助言したんですか?」
「ち、違いますっ」

 身に覚えのないことを言われ、リリーナはすかさず首を横に振る。

 その言動全てをセルードは目を細めて見つめている。嘘か本当か。それを判断する為に。

 そして彼は一つの結論を下す。

「……なら、やはり貴方の責任ではなくアンジェラ嬢に非があったということだ」
「違います!非は私に」
「黙りなさい」

 堂々巡りになる会話に苛立ちを覚えたのか、セルードは吐き捨てるように言った。
  
 それからリリーナの顎を掴んだまま、冷たく笑う。

「ならば、貴方の非は何だ?今すぐ私に教えろ」
「……それは……その」

 即答できるものなら、今すぐ伝えたい。

 でも順を追って話さなければ、自分の罪が何なのか彼が理解するのは難しいだろう。

 リリーナはそれをしどろもどろになりながらセルードに伝える。決して誤魔化すつもりはないことも、付け加えて。

 そうすればセルードは、ようやっとリリーナの顎から手を離した。

「わかった。なら、場所を移すーー……はっ、あちらさんは何やら盛り上がっている様子だから、邪魔をするのは悪いしな」

 忌々しいものを見る目つきでアンジェラの部屋の扉を一瞥したセルードは、未だ床に膝を付いているリリーナを無理矢理立ち上がらせると、そのまま早足で馬車へと向かった。
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