6 / 11
6
しおりを挟む
ルナーダは豪快に噴き出したと思ったら、今度は腹を抱えて大爆笑した。
「あはは、ははっははっははっ。フェイル、お前、馬鹿だなぁ」
「なっ!?」
こりゃたまらんと大口を開けて笑うルナーダを見てフェイルは唖然としてしまう。
ついでに彼の突然の変わり様にフェイルの涙が、ピタッと止んだ。
それを待っていたかのようにルナーダは笑いを止めて、目を白黒させるフェイルに向けてもう一度同じ言葉を吐く。
「お前、本当に馬鹿だな」
「はぁ!?」
罵り言葉を二度も食らったフェイルは、自分の立場を忘れて思わずカッとなってしまった。
馬鹿なのは、あなたのほうだ。何の危機感も抱かず、こんなものを口にするなんて!!
そう言いたくても、目まぐるしく変わる状況に思考が付いていけずフェイルは唇をワナワナと震わすだけ。
そんなフェイルに、ルナーダは更に衝撃的な言葉を紡ぐ。
「これ、惚れ薬じゃないぞ」
「……」
ああ……なんて説得力の無い言葉だろう。フェイルは、泣けてきた。
薬の効用は、飲んだ本人にはわからない。だからこその惚れ薬だというのに。
再び、フェイルの瞳から涙がポタリと溢れる。
それを見たルナーダは、やれやれといった感じでフェイルの目尻を親指の腹で乱暴に拭うと肩を竦めた。
「あのさぁ、」
そこで言葉を止めたルナーダは、一度コホンと小さく咳払いをした。まるで、気持ちを切り替えるように。
それから、いつもの”お兄ちゃんの表情”になり、フェイルにこう問いかける。
「フェイル、これ王都の外れの楡の木の真下にある魔女の家で買ったんだろ?」
「黙秘をさせ……あ、うん。買いました」
観念したフェイルがボソボソと肯定すれば、畳み掛けるようにルナーダが言葉を続ける。
「実はさ、あそこのばあさん、もう呆けてるから、薬なんて調合できないんだよ」
さらりと告げられた事実に、フェイルは愕然となる。そして、
「えー!?嘘ぉ!!」
フェイルの大絶叫が、カタカタと窓を揺らした。
「あはは、ははっははっははっ。フェイル、お前、馬鹿だなぁ」
「なっ!?」
こりゃたまらんと大口を開けて笑うルナーダを見てフェイルは唖然としてしまう。
ついでに彼の突然の変わり様にフェイルの涙が、ピタッと止んだ。
それを待っていたかのようにルナーダは笑いを止めて、目を白黒させるフェイルに向けてもう一度同じ言葉を吐く。
「お前、本当に馬鹿だな」
「はぁ!?」
罵り言葉を二度も食らったフェイルは、自分の立場を忘れて思わずカッとなってしまった。
馬鹿なのは、あなたのほうだ。何の危機感も抱かず、こんなものを口にするなんて!!
そう言いたくても、目まぐるしく変わる状況に思考が付いていけずフェイルは唇をワナワナと震わすだけ。
そんなフェイルに、ルナーダは更に衝撃的な言葉を紡ぐ。
「これ、惚れ薬じゃないぞ」
「……」
ああ……なんて説得力の無い言葉だろう。フェイルは、泣けてきた。
薬の効用は、飲んだ本人にはわからない。だからこその惚れ薬だというのに。
再び、フェイルの瞳から涙がポタリと溢れる。
それを見たルナーダは、やれやれといった感じでフェイルの目尻を親指の腹で乱暴に拭うと肩を竦めた。
「あのさぁ、」
そこで言葉を止めたルナーダは、一度コホンと小さく咳払いをした。まるで、気持ちを切り替えるように。
それから、いつもの”お兄ちゃんの表情”になり、フェイルにこう問いかける。
「フェイル、これ王都の外れの楡の木の真下にある魔女の家で買ったんだろ?」
「黙秘をさせ……あ、うん。買いました」
観念したフェイルがボソボソと肯定すれば、畳み掛けるようにルナーダが言葉を続ける。
「実はさ、あそこのばあさん、もう呆けてるから、薬なんて調合できないんだよ」
さらりと告げられた事実に、フェイルは愕然となる。そして、
「えー!?嘘ぉ!!」
フェイルの大絶叫が、カタカタと窓を揺らした。
3
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説
私は婚約者に冷たくされてるけど、溺愛されている。
ほったげな
恋愛
私の婚約者・アリスタルフは、冷たくぶっきらぼうな態度を取る。嫌われているのかなと思っていたのだが、実は好きな子にぶっきらぼうな態度を取ってしまう性格だったようで……。彼は私のこと好きらしいです。
この恋、諦めます
ラプラス
恋愛
片想いの相手、イザラが学園一の美少女に告白されているところを目撃してしまったセレン。
もうおしまいだ…。と絶望するかたわら、色々と腹を括ってしまう気の早い猪突猛進ヒロインのおはなし。
悪魔な娘の政略結婚
夕立悠理
恋愛
悪魔と名高いバーナード家の娘マリエラと、光の一族と呼ばれるワールド家の長男ミカルドは婚約をすることになる。
婚約者としての顔合わせの席でも、夜会でもマリエラはちっとも笑わない。
そんなマリエラを非難する声にミカルドは、笑ってこたえた。
「僕の婚約者は、とても可愛らしい人なんだ」
と。
──見た目が悪魔な侯爵令嬢×見た目は天使な公爵子息(心が読める)の政略結婚のはなし。
※そんなに長くはなりません。
※小説家になろう様にも投稿しています
【完結】おしどり夫婦と呼ばれる二人
通木遼平
恋愛
アルディモア王国国王の孫娘、隣国の王女でもあるアルティナはアルディモアの騎士で公爵子息であるギディオンと結婚した。政略結婚の多いアルディモアで、二人は仲睦まじく、おしどり夫婦と呼ばれている。
が、二人の心の内はそうでもなく……。
※他サイトでも掲載しています
(完)悪役令嬢は惚れ薬を使って婚約解消させました
青空一夏
恋愛
私は、ソフィア・ローズ公爵令嬢。容姿が、いかにも悪役令嬢なだけで、普通の令嬢と中身は少しも変わらない。見た目で誤解される損なタイプだった。
けれど大好きなロミオ様だけは理解してくれていた。私達は婚約するはずだった。が、翌日、王太子は心変わりした。レティシア・パリセ男爵令嬢と真実の愛で結ばれていると言った。
私は、それでもロミオ様が諦められない・・・・・・
心変わりした恋人を取り戻そうとする女の子のお話(予定)
※不定期更新です(´,,•ω•,,`)◝
【完結】大嫌いなあいつと結ばれるまでループし続けるなんてどんな地獄ですか?
杏
恋愛
公爵令嬢ノエルには大嫌いな男がいる。ジュリオス王太子だ。彼の意地悪で傲慢なところがノエルは大嫌いだった。
ある夜、ジュリオス主催の舞踏会で鉢合わせる。
「踊ってやってもいいぞ?」
「は?誰が貴方と踊るものですか」
ノエルはさっさと家に帰って寝ると、また舞踏会当日の朝に戻っていた。
そしてまた舞踏会で言われる。
「踊ってやってもいいぞ?」
「だから貴方と踊らないって!!」
舞踏会から逃げようが隠れようが、必ず舞踏会の朝に戻ってしまう。
もしかして、ジュリオスと踊ったら舞踏会は終わるの?
それだけは絶対に嫌!!
※ざまあなしです
※ハッピーエンドです
☆☆
全5話で無事完結することができました!
ありがとうございます!
うるさい!お前は俺の言う事を聞いてればいいんだよ!と言われましたが
仏白目
恋愛
私達、幼馴染ってだけの関係よね?
私アマーリア.シンクレアには、ケント.モダール伯爵令息という幼馴染がいる
小さな頃から一緒に遊んだり 一緒にいた時間は長いけど あなたにそんな態度を取られるのは変だと思うの・・・
*作者ご都合主義の世界観でのフィクションです
婚約解消と婚約破棄から始まって~義兄候補が婚約者に?!~
琴葉悠
恋愛
ディラック伯爵家の令嬢アイリーンは、ある日父から婚約が相手の不義理で解消になったと告げられる。
婚約者の行動からなんとなく理解していたアイリーンはそれに納得する。
アイリーンは、婚約解消を聞きつけた友人から夜会に誘われ参加すると、義兄となるはずだったウィルコックス侯爵家の嫡男レックスが、婚約者に対し不倫が原因の婚約破棄を言い渡している場面に出くわす。
そして夜会から数日後、アイリーンは父からレックスが新しい婚約者になったと告げられる──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる