かつて「お前の力なんぞ不要だっ」と追放された聖女の末裔は、国は救うけれど王子の心までは救えない。

「浄化の力を持つ聖女よ、どうか我が国をお救いください」
「......ねえ、それやったら、私に何か利点があるの?」

 聖なる力を持つ姫巫女(略して聖女)の末裔サーシャの前に突如現れ、そんな願いを口にしたのは、見目麗しいプラチナブロンドの髪を持つ王子様だった。

 だが、ちょっと待った!!

 実はサーシャの曾祖母は「お前のその力なんぞ不要だわっ」と言われ、自国ライボスアの女王に追放された過去を持つ。そしてそのまま国境近くの森の中で、ひっそりとあばら家暮らしを余儀なくされていたりもする。

 そんな扱いを受けているサーシャに、どの面下げてそんなことが言えるのだろうか。

 ......と言っても、腐っても聖女の末裔であるサーシャは、嫌々ながらも王都にて浄化の義を行うことにする。

 万物を穢れを払うことができる聖女は、瘴気に侵された国を救うことなど意図も容易いこと。
 でも王子のたった一つの願いだけは、叶えることができなかった。

 などという重いテーマのお話に思えるけれど、要は(自称)イケメン種馬王子アズレイトが、あまのじゃく聖女を頑張って口説くお話です。

※一話の文字数は少な目ですがマメに更新したいと思いますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
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