上 下
100 / 131
第4章:帝国編

第100話 地下ダンジョンへ

しおりを挟む
 今、六人は帝国の城に潜入している。抜け道である下水道を通って行った先、城へと入る隠し扉からの侵入である。メンバーはS級勇者たち五人と幻の六人目の勇者である蓮だ。もちろんリンゴも一緒だ。

 蓮がダンジョンとシンクロする事が出来る事を伝えると、S級勇者たちがそれに食いついてきたのだ。

 この世界を救うとかには余り乗り気ではなかったものの、ダンジョン攻略はしたいらしく、帝国の地下のダンジョンには興味深々だったようだ。

 蓮もそこの事を聞いては、行かないわけにはいかない。そこで、調査がてら六人で攻略してみようと言う事になった。

「勇者様、我々も連れて言ってはくれないか?少しは役に立つとは思うのだが」

 そう、アリシアたちも行きたいと言ったのだが、大人数だと動きにくいと言う事で今回は断わられたようだ。

 その事を、とても残念がっていたアリシアに、今回はまず偵察を兼ねての挑戦だから、次回はお願いしたい。そう本城が髪をかき揚げながら、爽やかな笑顔でフォローを入れていたのを、隣で聞いていたフランソワが、そんな本城をゴミを見るような目で見ていた。

 さすがにS級勇者たちも、まずは、蓮のシンクロでダンジョンの把握をし、攻略できそうならボス部屋まで突っ込む。無理そうなら肩慣らしと言う事としたいようだった。
 それにだ、S級《勇者》たちは各自が蓮との連携をどう取れるかの実戦での経験もしておきたいと言う事もあったようだ。

 そこで、その間は別のダンジョンにて、クライドたちのレベルアップをすると言う事になった。またご隠居や公爵は、自分たちの出来る事を押し進めておくと。

「それなら、我々は色んなルートで出来る限りの調査して置くことにしましょう。ほかにも各所へ連絡を密にしておきましょう」

 蓮を襲ったフレルという男の首輪はアーヴィンは難なく外してくれた。その事で、襲った組織や理由が分かるかもしれない。囚われていたエルフたちの件やラウド聖教国と司教の件もある。叩けは色んな物がでてきそうだ。

 各自が出来る事をやる、という事で話はまとまっての、それぞれが動きだした。


 ◇◇◇


 そして、蓮たちは帝国地下のダンジョン前にいた。

 帝国地下のダンジョン、その巨大な門の周りは、悍ましくも邪悪なオーラで埋め尽くされていた。

 門の前には、女性の像らしき下半身だけがそこに建っており、上半身はすでに壊されて、無残にも粉々になって下に散乱している。たぶんその像がここを封印していた本体であったのだろう。

 その門の周りには棚や机、椅子が倒された荒廃した状態で、以前はそこに警備兵が常駐していたであろう痕跡はあるのだが、今ではそこを誰も守っている者などはいない。

 何故なら、正常な状態でここにいる事は到底無理であろうほどの、そこは邪悪な魔素で覆われていたからだ。

「うわ、酷い状態ですね。これは聞きしに勝る荒れ様ですね」

 蓮は恐る恐るこのダンジョンに入ると、恐々とシンクロをしてみたのだが……。

「うわぁーーー!」

 思わず、飛び跳ねるように後ろへ仰け反ってしまった。

 すごい量の情報が蓮の中へ流れてきた事で、その量の多さと複雑さ、その上、全ての情報が想定以上の邪悪な様であった事で、まるで暗黒面に引き寄せられそうな感覚を覚えて、慌てて、シンクロを解除してしまったのだ。

「どうした?」

「これは酷いですね。とりあえずはココ、もしかしたら聖女必要かもですよ」

しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

人類最強は農家だ。異世界へ行って嫁さんを見つけよう。

久遠 れんり
ファンタジー
気がつけば10万ポイント。ありがとうございます。 ゴブリン?そんなもの草と一緒に刈っちまえ。 世の中では、ダンジョンができたと騒いでいる。 見つけたら警察に通報? やってもいいなら、草刈りついでだ。 狩っておくよ。 そして、ダンジョンの奥へと潜り異世界へ。 強力無比な力をもつ、俺たちを見て村人は望む。 魔王を倒してください? そんな事、知らん。 俺は、いや俺達は嫁さんを見つける。それが至上の目的だ。 そう。この物語は、何の因果か繋がった異世界で、嫁さんをゲットする物語。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

人の身にして精霊王

山外大河
ファンタジー
 正しいと思ったことを見境なく行動に移してしまう高校生、瀬戸栄治は、その行動の最中に謎の少女の襲撃によって異世界へと飛ばされる。その世界は精霊と呼ばれる人間の女性と同じ形状を持つ存在が当たり前のように資源として扱われていて、それが常識となってしまっている歪んだ価値観を持つ世界だった。そんな価値観が間違っていると思った栄治は、出会った精霊を助けるために世界中を敵に回して奮闘を始める。 主人公最強系です。 厳しめでもいいので、感想お待ちしてます。 小説家になろう。カクヨムにも掲載しています。

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

処理中です...