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第2章:ダンジョン攻略編(女神ダンジョン)

第61話 思えば遠くに来たものだ

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「うんうん、職業貰えたんだにゃ」
 ネコ先生は抱き合って泣いてる三人をうるうるした目で眺めている。
「良かったにゃ。これもレン君のおかげなんだにゃ。ホント、レン君ありがとうなのにゃ」
 かわいい猫手で目を押さえながら、蓮の方に向きなおったネコ先生。

「はにゃ?」

 だが、そこに居たはずの蓮が何故か見当たらない。

「レン君?どこにいるにゃ……」

 ボス部屋を見回しても、どこにもいないのだ。キョロキョロしていると、ボスを倒した事での転移の魔法陣が部屋の中央に現れた。今、そこに現れたと言う事は、先に蓮がここのダンジョンから脱出したとは考えられない。それに、リンゴはミーリアに抱かれているのだ。リンゴを残して勝手にどこかに行くとも考えられない。

「……レ、レン君…どこ?……もう、隠れてないで出てくるにゃーーー!!」」

 そう叫んでも、蓮からの反応はなく、ボス部屋にネコ先生の声が響くだけだった。


 ◇◇◇


「ここ、どこ?」

 今まで蓮の前で繰り広げられていた感動の場面。それだったはずなのに、今、自分の前には誰もいない。というか、何故か寝転がった状態で天井を見つめていたりするのだ。

 で、寝転がった頭の方、その奥から、唸り声と何か弱悪な気配がしたりする。

「ははは、まさかだよね…」

 溜息が漏れる。なんかデジャブ?

 ◇◇◇

 その部屋に居た魔物を倒すと案の定転移の魔法陣が現れた。蓮が一人寝ていた部屋は、モントヴル王国の『望みのダンジョン』ではないどこかのダンジョンのボス部屋のようだ。

 慌ててそのダンジョンとシンクロしてみると、ここは『草原ダンジョン(休眠中)』とあった。ボスを倒した事でどうも休止してしまったようで、休眠中だと情報が得られない。

「ダンジョンって眠っちゃうんだ。どうしよう、困ったなぁ~」

 そう言えば、日本でも、ボスを倒すとダンジョン内に魔素が充満するまで魔物が出ない状況になった事例があったと聞いた事がある。公園ダンジョンではそのような事は無かったので、詳しく調べていなかったのを今は後悔したわけだが。

「その時の復活のローテーションってどうだったかな?」

 いったいどうしてこうなった?頭を抱えてしまったが、このままここにじっと居ても仕方ないので、一度ダンジョンの外に出てみるかと出現した魔法陣に入る事にした。

 ダンジョンの外に出ると、ひんやりとした風が吹いていて、少し身体がぶるっとした。目の前には一面広大な草原が広がっていて、青い空のずっと向こう側に山並みが見える。

「あれれ、この風景、何処かで見たような気がするんだが」
「う~ん、空が高いなー」

 解説しよう!秋、大陸育ちの高気圧は、海で育つものと比べて空気が乾燥しており、水滴やチリが少ないことで透明感がある。また太陽光の持つ青や紫の波長が短い光を強く散乱する分子(酸素や窒素)を多く含んでいる。そこで高く澄んだ青空に見えるのだb

 ん?太陽?大陸育ちの高気圧?青く高い空?これって、日本の秋空に似てるね。

 いや、そんな事考えてる場合じゃない。太陽があるなら、高度とアナログ時計で方位が分かるかも?地球と違い粗雑ではあったけど、ヴォーバルニャの地図を見せて貰った事あったし。

「ははは、無理か、、、正確な時間なんて分かりません…」

 収納から一応スマホを出しては、ここは異世界GPSを起動しようかとスマホを見つめていると……。

「?!」

「あれ、モバイルデータ通信のステータスアイコンが利用可能になってるやん」

 まさか?慌ててブラウザを立ち上げ、ネットに繋げてみた。

「おおおおお!繋がる!!ここって地球じゃん!地球に戻れたんだ!!」

 思わず、ガッツポーズで叫んでしまった。

 まだネットが繋がってる。ああ良かった。まだ口座にちゃんと金入ってたんだとホッとした。いやいや、問題はそこじゃないだろと、一応、自分自身に突っ込んでみた。一番の問題は、今、自分がいる場所はどこかだ。早速マップで位置の確認だ。

 スマホのマップを立ち上げると、現在いる場所の地名が表示された。だが、漢字が小さくって、いやいや難しくて「読めなーい」のだ。そこからピンチインすると…。どんどんと地図が広がってゆき、確認できたそこは、、、

「ほ、北海道!!!!」

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