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第2章:ダンジョン攻略編(王都ダンジョン)

第44話 創意工夫は大事なのです。

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 魔王オーカスを倒した後、しばらく休んでから、上層へ向かう事にした。上層への道は、ゴーストが徘徊しており、それらを退かせながら進む事になる。ここで、少しレベルをあげたり、ゴースト系アンデッドの戦い方を慣らしておこうという事になった。

 難儀なことに、ゴーストに触れられる事でエナジードレインをされ、体力が削られるのだ。なので、近距離での接近戦はリスクが大きい。その為、遠距離での魔法攻撃が有効なのだ。接近戦で戦おうとすると、すばやさときようさ、そして判断力が大切になってくる。
 ゴースト戦では、アリシアとネコ先生が、活躍出来るのは判るのだが、何故かガリオンさんも、双剣で切り捨てているのだ。物理が効かないと言ってたのに、なんで?って思って聞いてみたら。

「この短剣は、バッファ師匠に貰ったんだよ」
 いいだろ?って言いながら銀色に光る剣を僕に見せながら嬉しそうに笑っている。「この素材は、ミスリルで出来てるんだ。このミスリルという素材は、魔法をよく通す金属で、この前のダンジョンで得た火魔法を付与してみたら、いい具合に魔法剣になってね。」

 えっ?と思い、僕は、思わずオッサンの顔を見たら、呆れた顔をされてしまった。

「坊主、お前、詳細鑑定が出来るようになったって浮かれてたけど、自分の剣をちゃんと詳細鑑定してみたのか?」

「あっ!」

「あっ!っじゃねぇよ」
「ガリオンは、貰った剣を有効に使う為に、自分で色々と試して、それで魔法が付与出来る事に気づいてのものじゃ。で、お前はどうなんだ?」
 なにか、お前自身で、創意工夫した事はあるか?と、問われてしまった。

 そう言われると、耳が痛いです。そういえば、この世界に最初に来た時は、誰にも頼れなかったので、自分のスキルを色々と試しての戦い方を模索してたと思う。
 だけど、今は、強力な武器や防具があって、使えるスキルが増え、頼れる人も増えて、それに頼る事が当たりまえになってたかもしれない。今の自分のダメさ加減に、すごく落ち込んでしまった。

 頭を壁に当てた状態で、膝を抱えてイジイジしてたら、オッサンに「うざいわい!」と、お尻を蹴り上げられてしまった。

 そこで、痛むお尻を撫でながら、揺らめくような赤い刃を持つ『孤高の剣』の詳細鑑定を、今更ながらにしてみる事にしたのだ。

 素材は、貴重な金属である「ヒヒイロカネ」。エネルギーの伝導率が高く、永久不変で錆びず、ダイヤモンドより固い金属だということだ。

 名前:孤高の剣
 素材:ヒヒイロカネ
 基礎効果:攻撃力+240 攻撃魔力+60、闇系にダメージ+10%
 追加効果:自分より強い相手に攻撃力倍化効果。

 詳細鑑定して、驚いてしまった。ぶっ飛んだ性能だった。

 ミスリル製は、ミスリル鉱山から採掘され、ドワーフにより鍛えられた物だ。僕のアームシールドにも使われているらしい。それに比べ、ヒヒイロカネの物は、ダンジョンでしか入手できない貴重な武器なのだ。なので、いくらドワーフであれ、今の技術では鍛え直す事は不可能なのだとか。

 伝導率が高いと言う事は、ミスリルと同じように、魔法を通す事が可能なのだ。だとしたら、火魔法は剣に付与できそうだが、もしかしたら、魔法だけでなくスキルも付与できないかな?と思ってしまった。

「僕の剣に、浄化を付与できないかな?」

 浄化は、魔法じゃないけど、なんか出来そうな気がするのだ。それが出来たら、アンデッドとの戦いが相当楽になると思う。そこで、上層のボスのリッチとの戦いの前までに、このスキル付与をマスターすべく、鼻息荒くゴーストへと向かって行った。

 ゴーストとの戦闘を相当数こなしたところで、レベルが2上がって32になった。そして、

 INT(魔法攻撃力):118
 RES(魔法防御力):96
 DEX(きようさ):141
 AGI(すばやさ):81

 INTは孤高の剣と合わせ、178になった。またDEXとAGIが上がった事で、武器への付加がスムーズに出来るようになったのだ。その上、リッチの得意魔法が闇魔法だということで、闇系かもしれない。それだと、全体の数値が+10%されるわけだ。

 そして、不死王リッチは、もちろん僕よりも強い!

 よし!準備は整ったという事で、このまま、塔へと向かう事になったのだ。

 教会敷地内の上層にある塔。その塔内は、狭い通路や途中で崩れての隙間が出来た階段などが続いており、上位神官達の私室があった所のようだ。壁やドア、予測不能の場所から出現するゴースト。それらから放たれる魔法を回避しながらの戦闘は、とても困難だった。そこで、ネコ先生の持つ、魔法を跳ね返す光の壁が、すごく役にたったのだ。魔法を避けながら最上階へと向かう。そして、その最上階は、神官専用の聖堂、祈りの場であった。

 最上階に行きつくと、崩れかけた聖堂の真ん中に、黒いオーラを纏《まと》った不死王リッチが悠然と待ち構えていた。リッチは、僕たちを認めると、地獄の底から放たれるような不気味な声を発してきたのだ。

「よく来た。待っていたぞ、異界の者よ。悠久の時を経て、ようやく我が望み果たされる時がきたか。さぁ、参られよ」

 そう言うと、リッチの周囲を魔法陣が広がって行き、その祈りの場は、時空を超越した不思議な雰囲気を醸し出す異次元の空間へと様変わりしたのだった。

 

約2,100文字
 

第44話 創意工夫は大事なのです。を編集






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