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第2章:ダンジョン攻略編(孤高ダンジョン)

第34話 5人の勇者と堕ちた帝国(1)

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 蓮がダンジョン崩落に巻き込まれる数日前の事。

 女神ダンジョンを上位シーカー達で攻略するプロジェクトが立ち上げられた。そして、S級シーカー達が、破格の待遇で招集されたのだ。

 アメリカの自由の象徴である女神像の入口が、ダンジョンに乗っ取られた形になったのだ。その為、一般人が近寄れなくなってしまった。これは由々しき問題であり、自由は決して奪われてはいけないものなのだ。アメリカにとって、それは明白な天命であるからだ。


 現在、世界に公表されているS級シーカーは、たったの5人だ。その5人全員が呼ばれたのだ。

 そしてその5人でチームを組んでの、攻略が計画された。だが、彼ら5人は、1人を除いて、ソロでダンジョン攻略を行っている者たちで、強者ではあるが、かなりの曲者なのだ。

 S級シーカーの基準と言えば、国や世界ダンジョン協会への貢献度、もしくはドラゴン級の魔物をソロで討伐したかで決まってくる。

 現在、公表されているS級ダンジョンシーカーは、以下の5人だ。

 ・アラン・アンダーソン(アメリカ)
 ・アーヴィン・エバンズ(イギリス)
 ・フランソワ・モロー(フランス)
 ・本城《ほんじょう》 尊《たける》(日本)
 ・モーリッツ・ミュラー(ドイツ)


 まず最初に認定されたのは、アメリカ人で、アラン・アンダーソン。

 アランは、元グリーンベレーで、性格はかなりの豪傑肌の熱血漢、体術と銃器を得意とする戦闘狂である。

 その事から、周りとのレベル差がありすぎた事や、周囲を危険に晒すという困った癖もあり、その為、ソロシーカーになったようだ。対人戦闘にて彼に敵う者はいないと言われている。


 二人目は、イギリスのアーヴィン・エバンズ。

 イギリスのアーヴィンは、元秘密情報部(MI6)の諜報員だった。冷静沈着な策士で、かなりの切れ者だ。双剣使いの盗賊スキル持ちで、罠解除を得意とした。スピード特化で、どんな魔物にも、速さで負けることはない強者なのだ。


 三人目は、女性として初めてS級に認定された、フランソワ・モロー。貢献度最上級のシーカーだ。

 フランス人であるフランソワは、回復魔法の使い手で、また弓を使っての共鳴による状態異常の結界を張るスキル持ちである。

 物腰の柔らかい、穏やかそうに見える外見から想像できないほど、いざとなれば適格な判断を咄嗟に行う事が出来る芯の通った女性である。軍攻略チーム、また有名クランやチーム等のスケットでの参加が主で、ソロシーカーというわけではないが、貢献度として最上級の評価を得ていた。


 そして、四人目は、日本人だ。彼の名は本城 尊(ほんじょうたける)

 日本の本城は、元イケメン俳優で、ドラマでシーカー役を務めた際、シーカーの魅力に取りつかれてしまい、転職したと言う変わり種である。人一倍の正義感を持った男で、相当のナルシストで自信家ではあるが、言動に見合う活躍をする人物だ。

 魔法剣士のスキルを持ち、自身にバフをかけ、武器に魔法を付与し戦う、孤高の探索者として、評価がどんどん上がって行き、あっと言う間にS級まで上りつめた。

 そして最新での5人目にS級と認定されたシーカーは、ドイツのモーリッツ・ミュラーである。

 元メカニカルエンジニアでロボットや各種機器の設計から開発を行う仕事をしていた。堅物の職人気質で簡単に妥協せず、とことんやり遂げる、岩のような男である。

 休日にダンジョン探索を趣味にしていたが、『召喚使いスキル』を手に入れた事で、ゴーレム使いのプロシーカーとなった。


 全員が、かなりの曲者であり、一筋縄では行かない人物である。そんな彼らが、上手く合わせられるのか、まともに機能するのか、計画当初は、心配されていたのだが、いざ、合わせてみると、流石というべきか、ウソのようにマッチしたのだ。

 周りより、当の本人達が一番驚いていたようだ。何故なら、実力は均衡しているのだ。何を求めているかが分かる上、相手に遠慮する事をしなくて済むというのが一番大きかったようだ。

 この女神ダンジョンは、上位のアンデット系の魔物が徘徊する超危険なダンジョンで、階層へ移動するには魔法陣を利用する、塔形態の転移型ダンジョンだった。1階層からゾンビやスケルトンどもが、そこかしこと徘徊しており、少しも気が抜けない場所だったのだ。

 その為、発見以後は、危険が大きかったことで、しばらくは放置されていたのだ。ある時、ダンジョンから聖なるアーチファクトが発見された。そのアーチファクトは、四隅に置くことで、不浄な魂を寄せ付けない結界を作る事ができるという優れものだったのだ。

 そのアーチファクトのお陰で、ダンジョン内での休憩や野営が出来るようになった事で、この計画が進行した。


 そして、サポートのA級シーカーチームが数チームと、複数の荷物持ちの計30人ほどを引き連れての、攻略となった。S級達は先頭に立ち、次々と魔物を殲滅していく。

 順調に攻略が進むかと思われた、そんな時、ダンジョン崩落が起き、先頭に居た彼ら5人が巻き込まれてしまった。

 サポート達も、彼らがアンデットではない何かと戦っていた事は見ていたのだが、それが何かまでは確認は出来なかった。金色の直径が2メートルほどの巨大な物体であったという話である。
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