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第7章 再びの異世界
戦後処理
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夕方になり、柊達が起き出すと里は戦勝の宴の準備に
追われていた。
「ウッド目が覚めたのか?」
慌ただしく走っていた族長の付き人のサトレアが柊を
見付けて、駆け寄って来た。
「サトレアさん、ラフレシア王国の貴族はどうなりま
したか?それに、魔物の群れは。」
「まあまあ、落ち着け。貴族はこちらで拘束して
る。重要な証人だからな、勿論魔法使いもな。魔物は統
制を失って森の中にバラバラに散っていった。戦士達
が動向を警戒してるが問題無さそうだ。我らの勝利
だ。」
万を超える魔物の大氾濫の終結にしては、呆気ないも
のだった。それだけ、魔物使いという存在の恐ろしさを
も示していた。
「魔物使いというのは禁忌の魔法では無かったので
すか?それを何故ラフレシア王国は研究を?」
「表向きは魔物の大氾濫に備えての必要悪だと言って
たが、本当は今回のように軍事利用が目的だろう。今回
の件も君達が捕虜を捕ってくれなければ自然災害と言い
逃れられていただろう。本当にありがとう。」
サトレアは深々と頭を下げた。
「止して下さい。エルフの里はもう自分にとって大
切な取引拠点ですし、大切な仲間達も出来ました。もう
他人事ではありません。」
柊はいつの間にか周りに集まっていたミラ達を見渡し
てそう、言った。
「そう言えば、これからこの問題はどうなるんですか
?ラフレシア王国に抗議するんですか?」
「イヤ、今回は里の存続にまで影響を与え兼ねなかっ
た問題だ。コダ一ジュの大森林は南はラフレシア王国、
西はアランダ海、北西にローレシア共和国、北東にグラ
シア帝国となっている。この3か国が互いを牽制しあっ
て大森林の不可侵は守られている。恐らく里を交えた4
者会談が行われるだろう。因みに君と商談をしてるアキ
ドン氏は帝国の出身だ。」
何やらキナ臭い話になってきたぞ、中立地帯だからと
里を交易の拠点に選んだが、3つの国と領土を接する危
険地帯でもあったのか。柊は考え込んだ。
「不安そうだね?多数の国に囲まれた里に不安でも覚
えたかね?」
柊の心を読んだかのようにサトレアが問うた。
「イヤ、これは・・・・。」
「大丈夫だ。コダ一ジュの大森林はその大地の恵みを
分け隔て無く近隣諸国に与えている。そして、それを管
理するのが我らエルフ族という訳で安全は保証されてい
る、今までは。」
「それは、やはり自分が交易を始めたせいでしょう
か?」
サトレアは大きく首を振った。
「それは違う。ラフレシア王国は以前から森の恵みの
配分に関して異議を唱えて来た。君との交易は嫉妬心と
言いがかりに過ぎ無いと思われる。君が心配することは
無いんだ。」
「それを聞いて少し安心しました。」
「それは良かった。今夜は勝利を祝っての宴だ。存分
に楽しんでくれ!!」
「分かりました。ありがとうございます。」
「では、準備があるので失礼するよ。君達は今夜の主
役だ。大変かもしれないが頑張ってくれ!」
「え?!」
「では、宴で会おう。」
サトレアは来た時の様に走り去って行った。
その夜の宴では、柊達が武勇伝を求められ、お祭り騒
ぎの中心に立たされたのは言うまでも無い。
追われていた。
「ウッド目が覚めたのか?」
慌ただしく走っていた族長の付き人のサトレアが柊を
見付けて、駆け寄って来た。
「サトレアさん、ラフレシア王国の貴族はどうなりま
したか?それに、魔物の群れは。」
「まあまあ、落ち着け。貴族はこちらで拘束して
る。重要な証人だからな、勿論魔法使いもな。魔物は統
制を失って森の中にバラバラに散っていった。戦士達
が動向を警戒してるが問題無さそうだ。我らの勝利
だ。」
万を超える魔物の大氾濫の終結にしては、呆気ないも
のだった。それだけ、魔物使いという存在の恐ろしさを
も示していた。
「魔物使いというのは禁忌の魔法では無かったので
すか?それを何故ラフレシア王国は研究を?」
「表向きは魔物の大氾濫に備えての必要悪だと言って
たが、本当は今回のように軍事利用が目的だろう。今回
の件も君達が捕虜を捕ってくれなければ自然災害と言い
逃れられていただろう。本当にありがとう。」
サトレアは深々と頭を下げた。
「止して下さい。エルフの里はもう自分にとって大
切な取引拠点ですし、大切な仲間達も出来ました。もう
他人事ではありません。」
柊はいつの間にか周りに集まっていたミラ達を見渡し
てそう、言った。
「そう言えば、これからこの問題はどうなるんですか
?ラフレシア王国に抗議するんですか?」
「イヤ、今回は里の存続にまで影響を与え兼ねなかっ
た問題だ。コダ一ジュの大森林は南はラフレシア王国、
西はアランダ海、北西にローレシア共和国、北東にグラ
シア帝国となっている。この3か国が互いを牽制しあっ
て大森林の不可侵は守られている。恐らく里を交えた4
者会談が行われるだろう。因みに君と商談をしてるアキ
ドン氏は帝国の出身だ。」
何やらキナ臭い話になってきたぞ、中立地帯だからと
里を交易の拠点に選んだが、3つの国と領土を接する危
険地帯でもあったのか。柊は考え込んだ。
「不安そうだね?多数の国に囲まれた里に不安でも覚
えたかね?」
柊の心を読んだかのようにサトレアが問うた。
「イヤ、これは・・・・。」
「大丈夫だ。コダ一ジュの大森林はその大地の恵みを
分け隔て無く近隣諸国に与えている。そして、それを管
理するのが我らエルフ族という訳で安全は保証されてい
る、今までは。」
「それは、やはり自分が交易を始めたせいでしょう
か?」
サトレアは大きく首を振った。
「それは違う。ラフレシア王国は以前から森の恵みの
配分に関して異議を唱えて来た。君との交易は嫉妬心と
言いがかりに過ぎ無いと思われる。君が心配することは
無いんだ。」
「それを聞いて少し安心しました。」
「それは良かった。今夜は勝利を祝っての宴だ。存分
に楽しんでくれ!!」
「分かりました。ありがとうございます。」
「では、準備があるので失礼するよ。君達は今夜の主
役だ。大変かもしれないが頑張ってくれ!」
「え?!」
「では、宴で会おう。」
サトレアは来た時の様に走り去って行った。
その夜の宴では、柊達が武勇伝を求められ、お祭り騒
ぎの中心に立たされたのは言うまでも無い。
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