フェアリーゲート

護國鬼

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第6章 異世界からの帰還

久々の討伐

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 取引所を後にして、柊達は直ぐにガ一ディアンの事務所に戻った。異世界への冒険中の此方の世界の状況を把握する為だ。

 ほとんどが、目撃情報やら、誤情報で急を要する依頼では無かったが、1件だけ、緊急性のある物があった。

 それは、とある地方都市である市と個人からの重複依頼だった。内容は山菜取りに山に入った高齢の夫婦が、ゴブリンの群れに襲われ、刃物で、滅多刺しにされて殺害されたというものであった。

 一緒に山に入った山菜取りの仲間が石を投げて、追い払ったおかげで遺体だけは、警察が収容できたが酷い有り様で、市は山を立ち入り禁止にすると共に討伐依頼を方々に出した。また、遺族も遺体の余りの無残さに怒りを覚え、懸賞金の発表をした。

 これが、柊が異世界から帰還する前日のことであった。少し距離のある現場ではあったが、人を殺すことに躊躇いをもたない群れである。いつ山を降りて来て、被害を出すかは分からない。

 柊は休養をとるつもりであったが、予定を変更してこの依頼を受ける事にした。

 何時も通り松浦が依頼人と連絡を取り、柊と井上で、出動の準備を整える。チ一ムが段々と形になって来ていた。

 
 1日で準備を整えたガ一ディアンは、その日のうちに出発し、次の日には現場の田ノ浦市に到着した。しかし、ここで、1つの問題が発生した。他のモンスタ一討伐会社との依頼のWブッキングが判明したのだ。

 相手は、モンスタ一退治のスペシャリストたる適合者が居ない、錬金術師達の作ったアイテムで武装した元自衛官等を主力とした会社であった。

 他の地域でゴブリン等を主に討伐してきて、実積を挙げてきた会社だが、辛うじて死者が出て居ないような危険な会社であった。

 依頼自体は、ガ一ディアンが先に受けていたのだが、市の職員が別の人間が電話に出て依頼の契約をした為に起きた横の連絡が取れていなかった為に起きたものであった。

 結局、市としては、必要経費は負担し、討伐の貢献度に応じて、報酬を分割することになった。遺族の報酬金もそれに、準ずる事になった。

 相手の会社だが、「侍」という会社名であったが、あからさまに、ガ一ディアンを敵視していた。捜索範囲について相談しようにも、こちらで勝手にやると車両ごと立ち去ってしまった。

 前途多難が予想された。





 何とか日にちを開けずに書けました。地名、団体名は架空のものを書いているつもりなので、よろしくお願いします。

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