オービタルエリス

jukaito

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第4章 ケラウノスパイデス・オラージュ

第82話 巨人を断つ雷

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 海賊船へ物凄い勢いで向かうマシンノイドの光をツァニスも察知していた。

「あれは……!」

 あれこそ自分に相応しい強敵だと認識した。
 半壊したヴィラージュ・オールを引きずって、海賊船へ向かおうとする。

『ツァニス坊、待て』

 ザイアスから通信が届く。

「グレイルオス様、いえ、キャプテン! 何故ですか!?」
『――あいつは俺の獲物だ』
「――!」

 ザイアスの返答に、ツァニスは絶句する。
 ザイアスの顔と声がとても先程まであった海賊船長としての余裕と威厳などといったものが微塵も無く、少年のような若々しさと力強さに満ち溢れていた。

「デューブロンテ……!」

 ツァニスは思い出したようにその単語を口にする。

「かつて火星や金星との戦争で一騎当千の活躍をし、その名を轟かせた皇族一の大英雄とまでいわれた御方!」

 ツァニスもまた英雄に憧れてやまない少年の眼差しで海賊船を見つめた。





「さあ、くるがいい!」

 ザイアスは海賊船のデッキに立ち、カットラスを振るう。

『――!』

 シュクセシオンの操縦席のモニター越しからでも、ただならぬ気配としてギムエルは感じ取った。

ガタン!!

 轟音を立てて、シュクセシオンは海賊船の船の甲板に立つ。

「俺がこの船の船長! キャプテン・ザイアスだ!!」
『キャプテン? ならば貴様かケラウノスを放つ海賊というのは!?』
「ああ、そうだ!」

 ザイアスはカットラスを振るい、雷を迸らせる。

『ならば貴様を討ち取り、この海賊船を沈めてやる!!』
「出来るものならやってみろ!!」

 カットラスを引き抜いて一閃する。すると、斬撃がシュクセシオンの胴部をかすめる。

「……フ!」

 それが挨拶代わりだ、と言わんばかりにザイアスは一笑する。

「お、おのれぇぇぇぇぇぇッ!!」

 シュクセシオンもランスとプラズマライフルを引き抜く。

「フン!」

 ザイアスはその様子を鼻で笑い、ケラウノスで逆にプラズマライフルを撃ち抜く。

『クッ!!』

 ギムエルは怯んだが、すぐに立て直してランスをザイアスへ振るう。

カキィィィィン!

 ザイアスはその身を覆いつくすほどの巨大なシュクセシオンのランスを難なく受け止める。
 だが、その衝撃を完全に殺していた。
 
『――!』

 ギムエルはキィと睨み、ランスを振るう。
 甲板でヒトが持つカットラスとマシンノイドのランスが激突する。
 それはさながらヒトが宇宙に進出する以前から語りづがれる巨人族と神々の戦いのようであった。





「無茶しやがって! どうすればいいんだ!?」

 ダイチはブースターを吹かして、ソルダとシュヴァリエの追っ手を振り切る。が、このままエリスだけを連れ出して逃げるわけにもいかないし、エリスもそれを望んでいないことぐらいわかる。

「このまま、突っ込みなさい!!」
「突っ込むってな」

 ダイチが戸惑っていると、不意にマップデータが送られてくる。

「これは……!」
『話は全部聞かせてもらったでー!』

 イクミが通話に割り込んでくる。

「イクミ!?」
「またタイミングの良いところに。はかっておったのか?」
『通話ぐらいは聞かせてもらってたからな』
(おい!)

 イクミは得意顔で盗聴宣言して、ダイチは内心「おい!」とツッコミを入れる。

『その所長はん、マーカー思いっきりつけとったから追うのは楽やったで』

 ピコン、とマップの中に赤点が点滅する。

「さすがね! ダイチ、ここに突っ込むのよ!」
「はあ、ちょっと待て!」

 いくらなんでもこのまま攻め込むのは危険すぎる。

「まだ捕まっているヒトがいるのよ! 放っておけないわ!」

 エリスの脳裏には死なせてしまったハイアンの顔が浮かぶ。
 結局、両親も混乱の中で助け出せたのかどうかもわからない。
 その婚約者も助け出さなくては、窮地を救ってくれた彼に申し訳が立たない。そんな責任感にとらわれていた。
 エリスの事情を知る由もないダイチも、彼女の必死さが伝わってくる。
 それに、捕まった火星人を放っておけないのは同意できる。

「仕方ねえ! しっかり捕まってろよ!!」
「誰に言ってるのよ!? フルスロットルで行きなさい!!」
「おう!」

 ダイチはヴァ―ランスの腕に乗っているエリスに構わずブースターを吹かす。
 エリスは指に捕まって、激しい揺れと向かい風の中、平然としている。

(なんてバランス感覚だ。心配することなかったんじゃねえか……)

 ダイチは感心する。

バババババババババン!!

 背後から追いかけてくるソルダがマシンガンを発砲してくる。
 ダイチは右へ迂回し、収容所の塔を回って追撃をかわそうとする。

「ダイチ! もう一度ブーストじゃ!」
「ああ、あれ大丈夫なのかよ!?」

 収容所に一気に辿り着くために一度使用したが、相当な無茶をした感覚はある。
 もう一度使ったらバラバラになるのでは

「大丈夫じゃ! 妾も制御してみせる!!」
「制御って……」

 フルートもこのヴァ―ランスの操縦者としてGFSにも登録されている。
 おかげでこの機体はカタログスペック以上のパワーとスピードを発揮しているような気がしてならない。
 そのチカラを頼りにしすぎたら、恐ろしいことになる予感がする。
 軌道エレベーターを破壊する程の大出力になった【バスタービームライフル】のように。

「使わんと振り切れんぞ!」
「ああ!」

 それは言われるまでも無く事実であった。
 このまま振り切れずにやられるか、一か八かのブーストで勝負を仕掛けるか。

「一か八かだ!」

 ダイチは決断し、ブーストを起動させる。

「ブースト・オン!!」

 二度目のブーストに身体がバラバラになるかもしれない感覚にとらわれる。
 腕、足、頭と身体の感触を確かめる。
 大丈夫だ。このまま飛べるはずだ。

「いけえええええ!!」

 ダイチは前のめりになる。そうすることで少しでもスピードが出る気がした。
 音を置き去りにするほどの速度を出しているせいで、マシンガンの音は聞こえてこない。だが、振り切れている実感はある。
 そして、確実に所長のマーカーへと近づいている。
 障害物になる棟や橋を【アサルトランチャー】で破壊して進む。

「はは、やるわね!!」

 エリスは滅茶苦茶楽しそうにしている。
 ダイチとしてはブーストが止まらない為、やむを得ずやっていることでいたたまれない気持ちでいっぱいだった。
 こんなことはさっさと終わらせてしまいたい。ダイチはそう思い、さらにブースターを吹かせる。

「目的地はすぐそこじゃ!」
「ああ!」

 次の塔の先がゴロン所長のいる拠点だとマーカーは告げている。

ブオオオオオオオン!!

 そこへシュヴァリエが立ち塞がる。

「くそ、またお前か!!」

 ダイチは最早見慣れてきたマシンノイドに悪態をつく。

『心配いらへん! 助っ人がようやくきたで!』
「助っ人!?」

 シュヴァリエがビームに撃ち抜かれる。

『遅れてごめん!!』

 マイナが駆るアシガルが見える。ライフルをもっていることから彼女が撃ってくれたのだろう。

『グッドタイミングだろ!』

 クライスのブレードでシュヴァリエの腕を斬り落とす。

「マイナ! デラン!!」
『おう! ちゃんと助け出したみたいんだな!!』
『ま、簡単に死ぬようなヒトじゃないと思ってたけど!』
「この! 好きに言ってくれちゃって!」

 手に捕まっているエリスは猛烈に言い返す。

「よし、もう一息じゃ!」
「ああ!」
 ダイチはブースターを吹かせ、目標地点へ飛び出す。

「見えた!」

 エリスの指差す先にステンドガラスの天井に覆われた木星人達がいた。おそらくあの中にいる誰かがゴロン所長なのだとダイチは察した。

「このまま、突っ込め!」
「おう!」

 ダイチは威勢よく返事し、ステンドガラスへブレードを突き出し、割り込み入る。

「おおぉぉぉぉぉぉぉ、なんてことしやがるぅぅぅぅぅぅッ!!?」

 顔を知らないダイチでも、「あいつか!」とわかるほどの悲鳴という存在感を示す。

「そこのひげぇッ!!」

 エリスはヴァ―ランスの指から飛んで、ゴロンヘ殴りかかる。

バシィン!!

 ゴロンは思いっきり顔面を殴られてぶっ飛ぶ。

「ゴフガッ!?」
「フン、どうよ!」
「きさまぁぁッ、よくもよくもぉぉぉッ!! 火星人の分際で! 分際で! 分際でぇぇぇぇッ!!」

 ゴロンは耳を塞ぎたくなるわめき声を上げて立ち上がる。

「思いっきり殴ったのに、頑丈なのね」
「ブランフェール収容所所長は伊達ではなぁぁぁぁいッ!!」

 ゴロンが叫ぶと、周囲に護衛の衛兵が集まってくる。

「者ども! この小娘の身体を一片たりともこの世に残すなぁぁぁぁ!」

カチャカチャカチャカチャカチャ

 銃や剣を構える。

「させるか!」

 ヴァ―ランスのアサルトランチャーを撃つ。
 大半の衛兵はそれで吹き飛ぶ。
 ヒトにこんなものを撃っていいの、と躊躇いはあった。しかし、エリスを助けるに迷ってはいられなかったし、そんな余裕を持てる状況ではないとの判断でもあった。

「やるじゃん、ダイチ!」
「お、おおう!」

 エリスに褒められると、こそばゆい気持ちになる。

「ダイチよ、このバスターを使えばよいのではないか?」

 フルートはそんな提案をしてくる。
 だが、【バスタービームライフル】を使うのはいくらなんでも躊躇ってしまう。
 あんな想定以上の大出力のビームを放つと、所長や衛兵どころかこの収容所ごと吹き飛ばしかねない。そうなったら、火星人は助け出せない。
 だが、これを使えば敵を倒せる。しかし、それは目的をも蹂躙する破壊の手段だ。

「いや、使うわけにはいかねえ!」

 ダイチはそれだけ答えて、サーベルで衛兵達をなぎ倒す。ヒトに対してはこれで十分すぎる脅威となることをダイチは思い知る。
 そこにソルダ達が通路から駆けつけてくる。

「こいつ!」

 ダイチはすかさずハンドガンでソルダを撃ち落とす!

「ええい、何をやっている!! たかが火星の機体に!!」

 ゴロン所長はわめく。

「火星、火星って、ヒトの故郷をバカにするいい加減にしなさい!」
「うるさい! 火星は我が偉大なる木星に敗北した敗戦星はいせんぼしではないか!!」
「だからって、あんたが敗戦する運命には変わりないでしょ!」
「何をぉぉぉぉぉぉぉッ!!」

 ゴロン所長は電磁鞭を振るう。

バチン!!

 これをエリスはあっさり拳で払いのける。

「はあッ!?」
「もう、それは見飽きたわ!」

 エリスはうんざり気味に言い、拳を打ち鳴らす。

「バ、バカな! 俺の鞭使いはクリュメゾン一なんだぞ!」
「それがなんだっていうのよ! 宇宙は広いのよ!!」

 エリスは拳をゴロンの腹に叩き込む。

「ゴフッ!?」

 さらに回し蹴り、顔面への突きと一気に畳みかける。

「ガァァァァッ!!? 貴様ら、何をしている!? 早く、こいつを、こいつを倒さないか!!」

 ゴロンは叫び、衛兵たちは集まる。

「ヒートアップ!!」

 だが、エリスの熱気と闘志におされて、あっさりなぎ倒される。

「ていりゃぁぁぁぁッ!」

 渾身の拳打を打ち込む。
 ゴロン所長は勢いよく床を転がり、最後は壁にめり込む。

「しょ、所長……」

 その無残な姿を見上げた衛兵達は呆然とする。

「やったか、エリス!?」
「ええ、もちろん!」

 力強くそう答えたところで、ダイチは「さすがだ」と感心する。

「これで、大勢は決したようじゃな」
「そうだな。キャプテン達はどうなったんだろうな?」
『いや、そっちはな』

 イクミが通信で会話に入ってくる。

ズドン!!

 そして、新しく映し出された立体スクリーンからいきなり爆音が鳴り響く。

「うお、なんだこれ!?」

ガキィン! ガキィン! ガキィン! ガキィン! ガキィン!

 それは海賊船の甲板で、さっきまでダイチが立っていた場所だ。
 そこでザイアスとオレンジ色の塗装した異形の巨人がカットラスとランスをぶつけあっている。
 凄まじい光景であった。
 動きと勢いを見るだけでオレンジ色の巨人はジェアン・リトスよりも数段上だということがわかる。
 その攻撃を易々と受け切って見せているザイアスはやはり只者ではない。

「すげえ……!」

 ダイチは思わず感嘆の声を漏らす。

「うむ、キャプテンという男、相当強いな」

 強い、なんて言葉言い表していいのかすらわからない。それだけ彼の力はすさまじい。

スパッ!

 ザイアスがカットラスを一閃すると、オレンジ色の巨人の腕が斬り落とされる。次にケラウノスによって足を焼かれる。
 腕を斬り落とされた隙を突かれてしまったことにより、一気に形勢が決まってしまった。

 「ぐあ!」と叫ぶ操縦者の悲鳴が聞こえてきそうだ。





「これで終わりだぜえええええッ!!」

 ザイアスは威勢よく掛け声を上げる。
 そこから振り下ろされるカットラスはケラウノスを纏っており、まさに神の雷による裁きといっていい。

ザシュゥゥゥゥッ!!

 真っ二つに両断されて、崩れ落ちる。

「ま、お前もよくやったほうだぜえ」

 ザイアスはニヤリと笑い、カットラスをしまう。

「こ、こんな、バカな……」

 ケラウノスの直撃を受けて薄れゆく意識の中でギムエルは現実を受け入れることが出来なかった。
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