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2章【学院生活と加護の目覚め】

※学院生になりました

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 ヴィヴィが貴族学院に通い始めた。

 俺は完全な専属護衛となり授業中以外は少し離れた場所で警護をしている。
 学院内は安全なので帰りに迎えに来ればいいのだが学院内での護衛の待機も許されていた。

「ねえ、ヴィヴィアン様の護衛騎士様って素敵ね。お義兄様なんですよね!」
 昼休みに中庭でお茶を楽しむ少女たち。
『お義兄』と言われて何だかもやっとしまうヴィヴィアン。
「騎士団の副団長様なのでしょう?」
「うちのお姉さまが独身貴族ベスト3のお一人と言ってましたわ」
「今おいくつ何でしょう?」
「アクセル様はわたしより12歳上ですから24です」
「そうなのですね。大人って感じですものね~」
「男らしいのにあの甘いマスク憧れちゃうわ」
「お兄様でご婚約者なんって本当に素敵」

「はぁ・・・」

「それに第二王子殿下のカミラ殿下が従兄なんて本当に羨ましいわ」
「殿下も美形イケメンですものね」
「はぁ、でも普段あまりお会いしませんので」

 言われてみれば入学式で顔を見て以来三ヶ月経つけど一度もお会いしてないわ。アクセル様が言ってた通り校舎も別だから中々会えないのかも。
 でも、あの調子で声を掛けられたらそれはそれで大騒ぎになるかも知れない。
 うん、なるべく会わない様にしよう!
 ヴィヴィアンは友人たちに聞こえないように呟いた。

 それから数週間後、今度は恒例の「新入生歓迎パーティー」の話題で盛り上がっているようだ。

「そう言えばもうすぐ新入生歓迎パーティーがあるでしょう?」
「ええ、パートナーは皆さん居らっしゃるの?」
「わたしはまだ決めてないわ」
「わたくしは婚約者がいるのでお父様にお願いするつもりですわ」
「わたくしクラスメイトのジョセフ様からお誘いを受けてますの」
「きゃ~ダンバード男爵のご令息ですよね。マリン様はそれでどうされるのですか?」
「他にもお誘いが来るかもしれませんから保留ですわよ」
「さすが、一年生で一番人気のマリン様ね」
「あら、わたくしは二番、一番はヴィヴィアン様ですもの」

 この会話を聞いてるだけではとても12歳の少女たちの会話とは思えない。
 俺が遅れているのか?
 そんな話で盛り上がっているがヴィヴィアンはついていけてないみたいだな。

 数日後ヴィヴィは廊下で数人の男子に囲まれていた。
 俺はいつも通り遠目で見ている。
 ヴィヴィに危害が加わりそうになら出て行くが、そう判断出来るまで傍に行かないのが鉄則だ。魔法もあるから遠隔攻撃も可能である。

 聞き耳を立てているとどうやらパーティーのエスコートの申し込みらしいと分かった。
 一年生のエスコートはクラスメイトでも良いし家族でも構わない事になっている。
 

 あれだけ可愛いヴィヴィだ。申し込まれても当然だ。でもあんなガキらに俺の天使のエスコートなんてさせられない。ガキ相手にガチになる俺もどうかと思うが、あの手を俺以外の誰が取る事は許せないのだから仕方ない。
 そう言えばダンスタイムがあったんだな。踊る踊らないは確か自由だった筈だが、、、俺も踊ったんだろうか?
 記憶にない・・・

 どうやら上手く断ったようで男子らが肩を落として帰って行った。

「どうしたヴィヴィ?」
 帰りの馬車の中で元気が無いよう見えるヴィヴィに問いかける。
「パーティーのことだけど・・・」
「さっき数人から誘われていたように見えたけど?」
 態と白々しく聞いてみる。
「ええ、なんか男子って苦手」
「そうなのか?」
「エスコート誰に頼もう。お義父様は外の領地に行ってるし・・・トマ爺は身内じゃないでしょう?」

 何故俺の名前が出て来ない?俺じゃ嫌なのか?

「身内なら俺がいるじゃないか」
「だって・・・」
「なんだ?言ってごらん」

「アクセル様はヴィヴィの婚約者ですもん。でも護衛のお仕事があるし、それよりみんなに婚約者ではなく兄妹と思われるのは嫌なの」

「つっ。。。。」

 天使のヴィヴィがこんな事を言ってくれるなんて、思わず手で顔を覆い悶えた。

「そうかヴィヴィは俺を義兄ではなく婚約者として見て欲しいか・・・」
「うん」

 俺はヴィヴィを抱き寄せ頬に優しく触れる。そして目尻にそっと口づけた。

「そうだな、ヴィヴィは俺の婚約者だ、妹じゃない」
 彼女の肩が僅かに跳ねたのが分かる。

「なら父上を呼ぼう。ヴィヴィのお願いならどんなに遠くの領地にいても飛んで帰って来てくれるさ」
「えっ、いいの?」
「ああ、勿論。父上なら俺も許せる。ダンスがあるならこれからの交流の為誘われたら他の男子と踊っても良い。俺とは邸で踊ろう、練習になるからな」

「うん、そうします。ありがとうアクセル様」
 顔を上げて微笑むヴィヴィに俺はそっと唇に触れるだけの口づけをした。
 ヴィヴィは驚き真っ赤になったあと恥ずかしかったのか俯き俺の胸に頭を付けてきた。
 その頭を抱えながら馬車の天井を仰ぎ思う。

ーーー余りの可愛らしさに思わず口づけてしまったが、俺はとうとう一線を越えてしまったのだろうか?
 12歳の少女に。。。。。。これは犯罪か?ーーー


 何とも言えない感情を抱えながら馬車は邸に着いてしまう。
 気持ちを切り替え何事も無かったようにトーマスとマギーそしてドリーに出迎えられる。

 ヴィヴィはお義父様に手紙を書くと言って二階へと駆けあがって行ってしまうとその後姿をお行儀が悪いと叱りながらドリーが追って行った。

 俺は自室で着替えながら考えていた。
 貴族であればヴィヴィの年頃に婚約者がいるのも珍しくはない。中には生まれた時から許婚が決まっていたりするものだ。
 婚約はしている。
 あの位の口づけは構わないだろうと。


 ヴィヴィがエスコートを頼んだ手紙は直ぐに遠方の領地にいる父に届けられ、返事を待つ間もなく両親揃ってモントレー公爵邸へと戻って来たのだった。



★ヴィヴィの成人まであと5年と9ヶ月★

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