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アレクサンダーの長い長い夜(Side:アレクサンダー)
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(Side:アレクサンダー)
「相変わらずアレクは堅苦しいのね。ここにいる時は学生同士なんだから、王女殿下ーなんて呼ばなくていいのに」
「そういう訳にもいきませんよ……」
「せっかく留学出来たアレクがそれじゃあ、フェアランブルの古い慣習を変えるのも大変だぁ」
ぐっ……先程まで祖国の悪しき風習について考えていただけに、この指摘は辛い。
「で、どうしたの? 帰国が近いからもうこっちには顔出せないんじゃなかったっけ? 挨拶回りとか色々あるんでしょ?」
カーミラ王女殿下とは、留学してすぐの頃から学友として親しくなった。いずれフェアランブルに嫁ぐ身の王女殿下は、フェアランブルからの交換留学生である私の案内係を買って出て下さったのだ。
王族が自ら案内係を務めて下さる事も、女性である王女殿下が男の私の案内係になる事も私としては驚きだったのだが、クラスメイトの皆からは『古い!!』と総ツッコミをくらった。
今となっては良い思い出だ。
「実は、聞いて欲しい事があるのです」
私はジーンからの手紙の事を王女殿下に伝えた。
ここに来るまで、本当にこれを伝えて良いのか逡巡したが、あの2人を助ける為には私の力では足りない。
それに、……王女殿下には知っておく権利がある。何せ自身の婚約者の話なのだから。
「そう。アレクの出国はいつ?」
「来週の早々には」
「……流石に間に合わないわね。どうせなら一緒に行ければ道中楽しかったのに」
「えっと、それはどういう?」
「え? 行くのよ。私も。その夜会」
…………。
カーミラ王女殿下の行動力を甘く見た。
一国の王女のフットワークがこんなに軽くていいのか!?
「でもいいの? こんな事私に教えて。仮にこの婚約が流れたとして、困るのはどう考えてもフェアランブルよ?」
「……いいです」
「そう」
王女殿下はカップに残っていた紅茶を飲み終えると、スッと立ち上がった。
「では、私は行くわ。急に忙しくなったから」
そんな出来事があった数日後、私はアウストブルクを立った。
アウストブルクを出てフェアランブルの王都に着くまでの間も情報収集を怠る事はなかったが、その結果は目を覆いたくなる様な物ばかりだ。
今まで目を背けていた事のツケを払うかの如く慌ただしい日々を送り、気が付けば夜会当日。あまりにも時間が足りない。
カーミラ王女殿下からは、『フェアランブルに到着するのがギリギリになったから、夜会の会場に直接行くわ。こっそり紛れ込むから、控え室は貸してね!』と、使者が手紙を持って来た。
カーミラ王女を巻き込んでしまった様で胸が痛んだが、正直手段を選んでいられる程の余裕が私にはなかった。
夜会の会場で久し振りにみるアナスタシアは、光り輝く程に美しくなっていて心底驚いた。
ユージーンと2人、一目でそれと分かる揃いの衣装に身を包み寄り添っている姿は絵画の様に美しく、どう見ても愛し愛されている夫婦でしかない。
安心した私がそっとアナスタシアに手を振ったら、何故か即座にジーンの方が手を振り返して来たのには少し笑った。
実は何かの間違いや誤解の積み重ねであればいいと願う私の本心とは裏腹に、夜会では想像通りの展開になった。
幼い頃から親しくしていた王太子殿下も、可愛がっていたはずの妹のクリスティーナも……。
『信じたい』なんて綺麗事を盾にして逃げていた事の皺寄せは、想像以上に大事となって私の所へ戻って来た。
それでも、自分の控え室から無事にジーンとアナスタシアを出せた事に心の底から安堵する。
良かった、最悪な事にならなくて。
ジーンに『アナスタシアをよろしく』と言おうとして、なんか違うな? と考え。
じゃあアナスタシアに『ユージーンをよろしく』かといえば、それも違うな? となり。
考えた末にこう言った。
「2人で、支え合っていってね」
そして控え室へ戻った私を待ち構えていたのは、自国の王太子が正座させられている光景だった。
……情けなくてなんか泣きそう。
やろうとしていた事が下衆極まりないだけにフォローの仕様も無いが、王女殿下も中々に容赦ない。
扉が開く音で私が戻った事に気が付いたのだろう。下を向き項垂れていた王太子が、ギッとこちらを睨んできた。
「アレク! キサマ私を嵌めたのか!?」
「いいえ、ただ貴方がしてはならない事をしたのです、殿下。私はむしろ何度もお諌め致しました」
それでも尚も私に食い下がろうとする王太子は、王女殿下の目が氷点下にまで冷え切っている事に気付いていないのだろうか。
パンッと扇を鳴らすとカーミラ王女殿下は立ち上がる。
「こうなった以上は、アルフォンス王太子殿下との婚約は続けられません。白紙か破棄か……そこは殿下の態度と、国同士のお話し合い次第ですわね」
「そんな! そ、それだけはっ……! 私が悪かった、軽い遊びのつもりだったのです。真実の愛はあなたにしかない! カーミラ王女殿下!!」
王太子が王女殿下の足に縋り付いたのを見て、頭がカッと熱くなる。
「離れろ!!」
私がそう言って王太子を引き剥がそうとするより早く、誰も何もしていないのにパンッと王太子の身体が吹き飛んだ。
「まぁ恐ろしい。いくらまだ婚約者の間柄とはいえ、婚姻も結ばぬ内にあんな無体を働くなんて……」
そう言ってカーミラ王女殿下がわざとらしくよろけると、続きの間からドヤドヤとアウストブルクの騎士と侍女が現れる。
「な、な、カーミラ王女、貴方は騎士まで連れて来ていたのですか!?」
吹き飛ばされた王太子が目を白黒させながら叫ぶ。
「逆に私が護衛も供も連れずにフェアランブルに? あり得ませんわ。それに私が1人でフェアファンビル公爵令息の部屋にいるなど、それこそ問題でしょう? 私を貴方と同じだと思わないで下さいまし」
王女殿下は優雅に扇で顔を隠しそう言い返した。
アウストブルクの護衛騎士に連れられて王太子が部屋を出るのを見届けると、王女殿下は私に向き直って満面の笑顔でこう言った。
「では次は、陛下とお話を付けましょう? お目通りの約束は、もう取ってありますの」
ここへ来て、ようやく気付いた。
私がカーミラ王女殿下を巻き込んだのではない。
私が、いつの間にかカーミラ王女殿下の計画に巻き込まれていたのだ、と。
「女性というのは……実は強いのだな……」
「相変わらずアレクは堅苦しいのね。ここにいる時は学生同士なんだから、王女殿下ーなんて呼ばなくていいのに」
「そういう訳にもいきませんよ……」
「せっかく留学出来たアレクがそれじゃあ、フェアランブルの古い慣習を変えるのも大変だぁ」
ぐっ……先程まで祖国の悪しき風習について考えていただけに、この指摘は辛い。
「で、どうしたの? 帰国が近いからもうこっちには顔出せないんじゃなかったっけ? 挨拶回りとか色々あるんでしょ?」
カーミラ王女殿下とは、留学してすぐの頃から学友として親しくなった。いずれフェアランブルに嫁ぐ身の王女殿下は、フェアランブルからの交換留学生である私の案内係を買って出て下さったのだ。
王族が自ら案内係を務めて下さる事も、女性である王女殿下が男の私の案内係になる事も私としては驚きだったのだが、クラスメイトの皆からは『古い!!』と総ツッコミをくらった。
今となっては良い思い出だ。
「実は、聞いて欲しい事があるのです」
私はジーンからの手紙の事を王女殿下に伝えた。
ここに来るまで、本当にこれを伝えて良いのか逡巡したが、あの2人を助ける為には私の力では足りない。
それに、……王女殿下には知っておく権利がある。何せ自身の婚約者の話なのだから。
「そう。アレクの出国はいつ?」
「来週の早々には」
「……流石に間に合わないわね。どうせなら一緒に行ければ道中楽しかったのに」
「えっと、それはどういう?」
「え? 行くのよ。私も。その夜会」
…………。
カーミラ王女殿下の行動力を甘く見た。
一国の王女のフットワークがこんなに軽くていいのか!?
「でもいいの? こんな事私に教えて。仮にこの婚約が流れたとして、困るのはどう考えてもフェアランブルよ?」
「……いいです」
「そう」
王女殿下はカップに残っていた紅茶を飲み終えると、スッと立ち上がった。
「では、私は行くわ。急に忙しくなったから」
そんな出来事があった数日後、私はアウストブルクを立った。
アウストブルクを出てフェアランブルの王都に着くまでの間も情報収集を怠る事はなかったが、その結果は目を覆いたくなる様な物ばかりだ。
今まで目を背けていた事のツケを払うかの如く慌ただしい日々を送り、気が付けば夜会当日。あまりにも時間が足りない。
カーミラ王女殿下からは、『フェアランブルに到着するのがギリギリになったから、夜会の会場に直接行くわ。こっそり紛れ込むから、控え室は貸してね!』と、使者が手紙を持って来た。
カーミラ王女を巻き込んでしまった様で胸が痛んだが、正直手段を選んでいられる程の余裕が私にはなかった。
夜会の会場で久し振りにみるアナスタシアは、光り輝く程に美しくなっていて心底驚いた。
ユージーンと2人、一目でそれと分かる揃いの衣装に身を包み寄り添っている姿は絵画の様に美しく、どう見ても愛し愛されている夫婦でしかない。
安心した私がそっとアナスタシアに手を振ったら、何故か即座にジーンの方が手を振り返して来たのには少し笑った。
実は何かの間違いや誤解の積み重ねであればいいと願う私の本心とは裏腹に、夜会では想像通りの展開になった。
幼い頃から親しくしていた王太子殿下も、可愛がっていたはずの妹のクリスティーナも……。
『信じたい』なんて綺麗事を盾にして逃げていた事の皺寄せは、想像以上に大事となって私の所へ戻って来た。
それでも、自分の控え室から無事にジーンとアナスタシアを出せた事に心の底から安堵する。
良かった、最悪な事にならなくて。
ジーンに『アナスタシアをよろしく』と言おうとして、なんか違うな? と考え。
じゃあアナスタシアに『ユージーンをよろしく』かといえば、それも違うな? となり。
考えた末にこう言った。
「2人で、支え合っていってね」
そして控え室へ戻った私を待ち構えていたのは、自国の王太子が正座させられている光景だった。
……情けなくてなんか泣きそう。
やろうとしていた事が下衆極まりないだけにフォローの仕様も無いが、王女殿下も中々に容赦ない。
扉が開く音で私が戻った事に気が付いたのだろう。下を向き項垂れていた王太子が、ギッとこちらを睨んできた。
「アレク! キサマ私を嵌めたのか!?」
「いいえ、ただ貴方がしてはならない事をしたのです、殿下。私はむしろ何度もお諌め致しました」
それでも尚も私に食い下がろうとする王太子は、王女殿下の目が氷点下にまで冷え切っている事に気付いていないのだろうか。
パンッと扇を鳴らすとカーミラ王女殿下は立ち上がる。
「こうなった以上は、アルフォンス王太子殿下との婚約は続けられません。白紙か破棄か……そこは殿下の態度と、国同士のお話し合い次第ですわね」
「そんな! そ、それだけはっ……! 私が悪かった、軽い遊びのつもりだったのです。真実の愛はあなたにしかない! カーミラ王女殿下!!」
王太子が王女殿下の足に縋り付いたのを見て、頭がカッと熱くなる。
「離れろ!!」
私がそう言って王太子を引き剥がそうとするより早く、誰も何もしていないのにパンッと王太子の身体が吹き飛んだ。
「まぁ恐ろしい。いくらまだ婚約者の間柄とはいえ、婚姻も結ばぬ内にあんな無体を働くなんて……」
そう言ってカーミラ王女殿下がわざとらしくよろけると、続きの間からドヤドヤとアウストブルクの騎士と侍女が現れる。
「な、な、カーミラ王女、貴方は騎士まで連れて来ていたのですか!?」
吹き飛ばされた王太子が目を白黒させながら叫ぶ。
「逆に私が護衛も供も連れずにフェアランブルに? あり得ませんわ。それに私が1人でフェアファンビル公爵令息の部屋にいるなど、それこそ問題でしょう? 私を貴方と同じだと思わないで下さいまし」
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アウストブルクの護衛騎士に連れられて王太子が部屋を出るのを見届けると、王女殿下は私に向き直って満面の笑顔でこう言った。
「では次は、陛下とお話を付けましょう? お目通りの約束は、もう取ってありますの」
ここへ来て、ようやく気付いた。
私がカーミラ王女殿下を巻き込んだのではない。
私が、いつの間にかカーミラ王女殿下の計画に巻き込まれていたのだ、と。
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