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本編
第31話 『不安だらけ』 ①
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あの日から一週間程度経った日のこと。私は、あの日以来露骨にアイザイア様を避けていました。理由なんて簡単、会いたくなかったから。日が経てば、日が経つほど、会いにくくなるのは分かっていました。それでも、会おうとは思えなかった。また、八つ当たりしてしまいそうでしたから。
そして、今日もいつも通りアイザイア様の生活時間をずらし、王宮内を空き時間に散歩していました。もちろん、アイザイア様の生活空間には入っていません。もしも、会ってしまえば今まで避けてきたことも、問い詰められてしまいそうだったからというのも関係しています。
(……でも、やっぱり)
そろそろ、会ってお話するべきなんじゃないか。そう、思ってしまいます。しかし、会うという勇気が出なくて、またその気持ちはしぼんでいく。どうしても、会えない。会って、八つ当たりなんてしたくないから。そんなお互いが不幸になるしかない道しかないのならば、もういっそ合わない方が良いんじゃないか。そう、思ってしまったんです。
そんな時、不意に見慣れた金色の髪が視界の端に入りました。そのお姿を見たとき、私は心の中で「まさか……」と呟いていた。嫌な予感が、していました。ここは、普段アイザイア様が滅多に訪れない場所。人目にもあまりつかないため、アイザイア様を始めとした五人の王子様方は滅多にここにやりつかないのに。なのに……どうして、ここにいらっしゃるのだろうか。いいや、王宮はアイザイア様の生活スペースなのだから、いらっしゃっても当然なのですが……。それでも、ここで王子様を見かけたことは一度もなかったので……。
「……追って、みようかな」
ここで鉢合わせてしまったのも、何かの縁だ。もしかしたら、神様が仲直りしなさい、話し合いなさいと言ってくれているのかもしれない。そう前向きにとらえた私は、アイザイア様の後を追うことにしました。でも、堂々と追うことは出来ません。だから、物陰に隠れながらゆっくりとアイザイア様の後を追いました。他の人から見れば明らかな不審者です。ですが、幸いにも今は一人。王宮内ならば警備がしっかりしているから、と一人で行動していたのが功を奏していたようです。
(いったい、どこに行かれるのかしら……)
心の中でそんなことを思いながら、アイザイア様の後を追います。すると、何やら人影がアイザイア様のおそばに駆け寄りました。その人影は、ドレスを身に纏っていらっしゃることから、女性だということが分かります。遠くから目を凝らして、私はその人影の正体を掴もうとします。アイザイア様はその人影を引きはがし……何かをおっしゃっているようです。見られたらまずいとか、そう言うことでしょうか?
(……やっぱり、そう言うことだよね)
もしかしたら、これは密会現場なのかもしれません。私は、そう思ってしまいました。だって、こんな人の居ない場所で二人きりで女性と会っているとなれば、密会に違いありません。つまり……アイザイア様は、私のことが好きではないということなのでしょう。私のことは、恋愛対象外だ、ということなのでしょう。所詮、私はアイザイア様にとって妹のような存在。そういう、こと……。
(あの人影は、レノーレ、様?)
そんな時、特徴的な縦ロールが視界に入り、その人影が誰なのか理解しました。あの背丈も、あの豪華な装飾品がつけられたドレスも、派手派手な縦ロールも。すべてが、レノーレ様の特徴と合致します。……その時、あの噂が頭をよぎりました。
『アイザイア様はレノーレ様とお会いしている』
その噂が、頭の中でループする。その度に、私は傷ついてしまった。……どうして、どうして。そう、思ってしまったからです。私たちは恋人同士ではないというのに。所詮、政略結婚の相手でしかないというのに。
(なんだか、やっぱり胸が痛い気がするわ……)
胸元を押さえながら、私は柱に隠れお二人を観察していました。気が付かないうちに頬を伝っていた涙は、一体何だったのか。それがわかることは、ありませんでした。
そして、今日もいつも通りアイザイア様の生活時間をずらし、王宮内を空き時間に散歩していました。もちろん、アイザイア様の生活空間には入っていません。もしも、会ってしまえば今まで避けてきたことも、問い詰められてしまいそうだったからというのも関係しています。
(……でも、やっぱり)
そろそろ、会ってお話するべきなんじゃないか。そう、思ってしまいます。しかし、会うという勇気が出なくて、またその気持ちはしぼんでいく。どうしても、会えない。会って、八つ当たりなんてしたくないから。そんなお互いが不幸になるしかない道しかないのならば、もういっそ合わない方が良いんじゃないか。そう、思ってしまったんです。
そんな時、不意に見慣れた金色の髪が視界の端に入りました。そのお姿を見たとき、私は心の中で「まさか……」と呟いていた。嫌な予感が、していました。ここは、普段アイザイア様が滅多に訪れない場所。人目にもあまりつかないため、アイザイア様を始めとした五人の王子様方は滅多にここにやりつかないのに。なのに……どうして、ここにいらっしゃるのだろうか。いいや、王宮はアイザイア様の生活スペースなのだから、いらっしゃっても当然なのですが……。それでも、ここで王子様を見かけたことは一度もなかったので……。
「……追って、みようかな」
ここで鉢合わせてしまったのも、何かの縁だ。もしかしたら、神様が仲直りしなさい、話し合いなさいと言ってくれているのかもしれない。そう前向きにとらえた私は、アイザイア様の後を追うことにしました。でも、堂々と追うことは出来ません。だから、物陰に隠れながらゆっくりとアイザイア様の後を追いました。他の人から見れば明らかな不審者です。ですが、幸いにも今は一人。王宮内ならば警備がしっかりしているから、と一人で行動していたのが功を奏していたようです。
(いったい、どこに行かれるのかしら……)
心の中でそんなことを思いながら、アイザイア様の後を追います。すると、何やら人影がアイザイア様のおそばに駆け寄りました。その人影は、ドレスを身に纏っていらっしゃることから、女性だということが分かります。遠くから目を凝らして、私はその人影の正体を掴もうとします。アイザイア様はその人影を引きはがし……何かをおっしゃっているようです。見られたらまずいとか、そう言うことでしょうか?
(……やっぱり、そう言うことだよね)
もしかしたら、これは密会現場なのかもしれません。私は、そう思ってしまいました。だって、こんな人の居ない場所で二人きりで女性と会っているとなれば、密会に違いありません。つまり……アイザイア様は、私のことが好きではないということなのでしょう。私のことは、恋愛対象外だ、ということなのでしょう。所詮、私はアイザイア様にとって妹のような存在。そういう、こと……。
(あの人影は、レノーレ、様?)
そんな時、特徴的な縦ロールが視界に入り、その人影が誰なのか理解しました。あの背丈も、あの豪華な装飾品がつけられたドレスも、派手派手な縦ロールも。すべてが、レノーレ様の特徴と合致します。……その時、あの噂が頭をよぎりました。
『アイザイア様はレノーレ様とお会いしている』
その噂が、頭の中でループする。その度に、私は傷ついてしまった。……どうして、どうして。そう、思ってしまったからです。私たちは恋人同士ではないというのに。所詮、政略結婚の相手でしかないというのに。
(なんだか、やっぱり胸が痛い気がするわ……)
胸元を押さえながら、私は柱に隠れお二人を観察していました。気が付かないうちに頬を伝っていた涙は、一体何だったのか。それがわかることは、ありませんでした。
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