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本編
第21話 『これからは……』 ③
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私のその返答を聞かれてか、アイザイア様は露骨にため息をつかれました。ですが、その様子はまるで初めからこうなることが予想出来ていたような、そんな雰囲気に私には見えました。
しかし、初めからそうなることがわかっていらっしゃったのならば、明らかな疑問が残ります。どうして、拒否されると分かっていて、アイザイア様はそんなことをおっしゃったのでしょうか? そう言った疑問が、私の中には残りました。
「あ、あの……どうして……」
私がそう言うと、アイザイア様は勢いよく私の両肩を掴まれました。勢いが良すぎたため、私が思わず倒れそうになってしまうのを、アイザイア様が助けてくださいます。倒れそうになった原因を作ったのは、間違いなくアイザイア様ですが、助けてくださったのも間違いなくアイザイア様ということから、私は素直に「ありがとうございます」とお礼を言っていました。
「……いや、モニカを野放しにすることが出来ないんだ。……せめて、今の粛清が終わるまでは……モニカを、守らなければ……」
でも、私の言葉をアイザイア様は聞いていらっしゃらないようでした。それどころか、一人ぶつぶつと何かを呟いておられます。それが、私は怖かった。いつものまぶしい笑顔は、一体どこへ行ったのでしょうか? それに、いつものように優しく頭をなでてくださるアイザイア様は、どこへ行かれてしまったのでしょうか。そうとさえ、思ってしまいます。今までは子供扱いされているようで不満だった頭を撫でられるということも、今となっては欲しくて仕方がない。わがままだと、分かっています。それでも、今のアイザイア様が怖いと思ってしまうのもまた事実。
「……モニカ。どうしても、その条件を受け入れられない?」
アイザイア様は、いきなり顔を上げられると私にそう問いかけてこられました。それに、私は静かに頷きました。どうしても、受け入れることが出来ないわけではなかった。出来れば、アイザイア様のお願いなのだから受け入れたいとも思っています。ですが、自由に憧れているのもまた事実。どちらが大切かと問われれば……間違いなく、アイザイア様。しかし、私は素直にそう言えなかった。これが、私の悪いところだったのかもしれません。勘違いを、生んでしまう原因だったのかもしれません。
「……そう、じゃあ、もういいよ。もう一つだけ、手段があるんだ」
そうおっしゃったアイザイア様は、いきなり私の腕を掴まれました。その力の強さに、私は一瞬顔をしかめてしまいます。いつもならば、こんなことはされないはずなのに。なのに……どうして、今日はこんなにも乱暴なことばかりされるの? そんな風に、心が戸惑ってしまう。
「……モニカ。これからのモニカには、しばらく自由はないよ。……俺が、他でもないモニカのために監禁してあげる」
しかも、次におっしゃったお言葉は手t年その驚きを、はるかに凌駕するレベルのお言葉でした。
(……監禁? わ、私を……? 意味が、分かりません……!)
それは、一体どういうことなのでしょうか? そう思い、アイザイア様と視線を合わせますが、アイザイア様はただにっこりとされた表情を浮かべるだけでした。他には、何もおっしゃってくださらない。
「……それが嫌ならさ、ちゃーんといい子にしていようね。俺の言うことを聞いて、ちゃんといい子にしていたら……モニカの嫌がることは、しないからさ」
アイザイア様がおっしゃったそのお言葉は、狂気に満ちていたように私には聞こえました。
しかし、初めからそうなることがわかっていらっしゃったのならば、明らかな疑問が残ります。どうして、拒否されると分かっていて、アイザイア様はそんなことをおっしゃったのでしょうか? そう言った疑問が、私の中には残りました。
「あ、あの……どうして……」
私がそう言うと、アイザイア様は勢いよく私の両肩を掴まれました。勢いが良すぎたため、私が思わず倒れそうになってしまうのを、アイザイア様が助けてくださいます。倒れそうになった原因を作ったのは、間違いなくアイザイア様ですが、助けてくださったのも間違いなくアイザイア様ということから、私は素直に「ありがとうございます」とお礼を言っていました。
「……いや、モニカを野放しにすることが出来ないんだ。……せめて、今の粛清が終わるまでは……モニカを、守らなければ……」
でも、私の言葉をアイザイア様は聞いていらっしゃらないようでした。それどころか、一人ぶつぶつと何かを呟いておられます。それが、私は怖かった。いつものまぶしい笑顔は、一体どこへ行ったのでしょうか? それに、いつものように優しく頭をなでてくださるアイザイア様は、どこへ行かれてしまったのでしょうか。そうとさえ、思ってしまいます。今までは子供扱いされているようで不満だった頭を撫でられるということも、今となっては欲しくて仕方がない。わがままだと、分かっています。それでも、今のアイザイア様が怖いと思ってしまうのもまた事実。
「……モニカ。どうしても、その条件を受け入れられない?」
アイザイア様は、いきなり顔を上げられると私にそう問いかけてこられました。それに、私は静かに頷きました。どうしても、受け入れることが出来ないわけではなかった。出来れば、アイザイア様のお願いなのだから受け入れたいとも思っています。ですが、自由に憧れているのもまた事実。どちらが大切かと問われれば……間違いなく、アイザイア様。しかし、私は素直にそう言えなかった。これが、私の悪いところだったのかもしれません。勘違いを、生んでしまう原因だったのかもしれません。
「……そう、じゃあ、もういいよ。もう一つだけ、手段があるんだ」
そうおっしゃったアイザイア様は、いきなり私の腕を掴まれました。その力の強さに、私は一瞬顔をしかめてしまいます。いつもならば、こんなことはされないはずなのに。なのに……どうして、今日はこんなにも乱暴なことばかりされるの? そんな風に、心が戸惑ってしまう。
「……モニカ。これからのモニカには、しばらく自由はないよ。……俺が、他でもないモニカのために監禁してあげる」
しかも、次におっしゃったお言葉は手t年その驚きを、はるかに凌駕するレベルのお言葉でした。
(……監禁? わ、私を……? 意味が、分かりません……!)
それは、一体どういうことなのでしょうか? そう思い、アイザイア様と視線を合わせますが、アイザイア様はただにっこりとされた表情を浮かべるだけでした。他には、何もおっしゃってくださらない。
「……それが嫌ならさ、ちゃーんといい子にしていようね。俺の言うことを聞いて、ちゃんといい子にしていたら……モニカの嫌がることは、しないからさ」
アイザイア様がおっしゃったそのお言葉は、狂気に満ちていたように私には聞こえました。
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