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ドールズバトル①
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◆ドールズバトル
ブーンッ、と空気の揺れる音がしたかと思うと、次にガツンと大きな音がして、サツキさんの体が部屋の端まで吹っ飛んだ。
それはローズの回し蹴りだった。信じられない位の早い動きとパワーだった。
ローズの綺麗な脚が、旋回するように回った後、元の位置にすっと戻された。
ズルズルと壁を伝い落ちるサツキさんを見ながら、
「あなたは、こういう運命なのね・・」と皮肉った。「どんなに生まれ変わっても、ワタシに虐げられる運命なのよ」
倒れ込んだサツキさんは、それでもよろよろと起き上った。
「サツキさん、もういいです。そこでじっとしていてください」僕はサツキさんに声をかけた。サツキさんでは無理だ。
こんなパワーのあるA型ドールたちにかないっこない。僕が何とかしないと。
けれど、起き上がったサツキさんは、
「イムラさん、ワタシは平気です。ワタシにも、それなりの力がありますから」と応えた。
ローズは、そんなサツキさんを冷たく見ながら、
「あら、B型は、A型の為になら、何だってするようにできているのよ。A型のワタシに逆らっていいのかしら?」と言った。
確かにその通りだ。
B型はA型ドールを抜きん出てはいけない。A型ドールが傷つくようなことをしてはいけない。
けれど・・
サツキさんはこう言った。
「ローズさん・・確かにそうです。ワタシたちB型は、A型の方には絶対服従でした。そのように設定されていました」
サツキさんは一息つき、続けて、
「けれど、そのリミッターは・・ワタシが、Sドールに生まれ変わるのと同時に解除されています」
サツキさんのセリフを聞き終えると、ローズは「ちっ」と舌打ちのような音を出し、倒れているサツキさんの元へ歩き出した。
「おい、もうやめろ!」そう言って僕はローズの腕を掴んだ。
だが、僕の腕はいとも簡単に払い退けられた。
そしてローズは「非力な人間のくせに」と言って、倒れ込んでいるサツキさんの腕を掴み上げ、その腹部を蹴り上げた。
サツキさん「うっ」と声を洩らし、仰向けになってしまった。
サツキさんは、顔を歪め、苦痛を堪えているようだ。そんなサツキさんの下腹部にローズはズンッとヒールの足を乗せた。
すると、サツキさんの口から、何やら液体のようなものが飛び出した。
ああ、あの飲み会の時と同じ光景だ。
ローズの言う通り、これがサツキさんの運命なのかもしれない。
ドールにも苦痛や、屈辱はある。
そんな一切の感情を無視して、A型は、かつてのB型を虐げる。
以前、A型には一切逆らえなかったサツキさんは、S型に生まれ変わっても同じような境遇に陥れられている。
ごめん、サツキさん。こんなことにつき合せてしまって。
せっかく輪廻転生でこの世に出てきた結果がこれだ。
「ちくしょうっ」僕はそんな声を上げ、ローズの背後に挑んだ。
「これ以上、サツキさんに手を出したら、許さない」
S型ドールのサツキさんの所有者はこの僕だ。僕のサツキさんを虐げる者は僕が許さない。
しかし、僕の体は、ローズのところまで辿り着けなかった。
辿り着く代わりに、僕の体もサツキさんと同じように壁際まで吹っ飛ばされた。
僕の脇腹を横から蹴り込んだのは如月カオリだ。
女豹のような如月カオリ、そして、セクシー系のローズ、両者とも僕やサツキさんがかなう相手ではなかったようだ。
如月カオリは、僕とサツキさんを見下ろしながら、こう言った。
「人間が、ドールを守るだと?・・お前は、ふざけているのか?」
きつい口調だ。
だが、何が悪い。自分が所有する物を・・サツキさんを傷つけられるのを見て、それを守ることのどこが悪い!
僕と同じように倒れ込んでいるサツキさんは、手が変な方向に曲がっていた。
「イムラさん・・ごめんなさい。ワタシ、非力で」
そうサツキさんはしきりに謝っている。
ブーンッ、と空気の揺れる音がしたかと思うと、次にガツンと大きな音がして、サツキさんの体が部屋の端まで吹っ飛んだ。
それはローズの回し蹴りだった。信じられない位の早い動きとパワーだった。
ローズの綺麗な脚が、旋回するように回った後、元の位置にすっと戻された。
ズルズルと壁を伝い落ちるサツキさんを見ながら、
「あなたは、こういう運命なのね・・」と皮肉った。「どんなに生まれ変わっても、ワタシに虐げられる運命なのよ」
倒れ込んだサツキさんは、それでもよろよろと起き上った。
「サツキさん、もういいです。そこでじっとしていてください」僕はサツキさんに声をかけた。サツキさんでは無理だ。
こんなパワーのあるA型ドールたちにかないっこない。僕が何とかしないと。
けれど、起き上がったサツキさんは、
「イムラさん、ワタシは平気です。ワタシにも、それなりの力がありますから」と応えた。
ローズは、そんなサツキさんを冷たく見ながら、
「あら、B型は、A型の為になら、何だってするようにできているのよ。A型のワタシに逆らっていいのかしら?」と言った。
確かにその通りだ。
B型はA型ドールを抜きん出てはいけない。A型ドールが傷つくようなことをしてはいけない。
けれど・・
サツキさんはこう言った。
「ローズさん・・確かにそうです。ワタシたちB型は、A型の方には絶対服従でした。そのように設定されていました」
サツキさんは一息つき、続けて、
「けれど、そのリミッターは・・ワタシが、Sドールに生まれ変わるのと同時に解除されています」
サツキさんのセリフを聞き終えると、ローズは「ちっ」と舌打ちのような音を出し、倒れているサツキさんの元へ歩き出した。
「おい、もうやめろ!」そう言って僕はローズの腕を掴んだ。
だが、僕の腕はいとも簡単に払い退けられた。
そしてローズは「非力な人間のくせに」と言って、倒れ込んでいるサツキさんの腕を掴み上げ、その腹部を蹴り上げた。
サツキさん「うっ」と声を洩らし、仰向けになってしまった。
サツキさんは、顔を歪め、苦痛を堪えているようだ。そんなサツキさんの下腹部にローズはズンッとヒールの足を乗せた。
すると、サツキさんの口から、何やら液体のようなものが飛び出した。
ああ、あの飲み会の時と同じ光景だ。
ローズの言う通り、これがサツキさんの運命なのかもしれない。
ドールにも苦痛や、屈辱はある。
そんな一切の感情を無視して、A型は、かつてのB型を虐げる。
以前、A型には一切逆らえなかったサツキさんは、S型に生まれ変わっても同じような境遇に陥れられている。
ごめん、サツキさん。こんなことにつき合せてしまって。
せっかく輪廻転生でこの世に出てきた結果がこれだ。
「ちくしょうっ」僕はそんな声を上げ、ローズの背後に挑んだ。
「これ以上、サツキさんに手を出したら、許さない」
S型ドールのサツキさんの所有者はこの僕だ。僕のサツキさんを虐げる者は僕が許さない。
しかし、僕の体は、ローズのところまで辿り着けなかった。
辿り着く代わりに、僕の体もサツキさんと同じように壁際まで吹っ飛ばされた。
僕の脇腹を横から蹴り込んだのは如月カオリだ。
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如月カオリは、僕とサツキさんを見下ろしながら、こう言った。
「人間が、ドールを守るだと?・・お前は、ふざけているのか?」
きつい口調だ。
だが、何が悪い。自分が所有する物を・・サツキさんを傷つけられるのを見て、それを守ることのどこが悪い!
僕と同じように倒れ込んでいるサツキさんは、手が変な方向に曲がっていた。
「イムラさん・・ごめんなさい。ワタシ、非力で」
そうサツキさんはしきりに謝っている。
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