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お母さんの買い物
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◆お母さんの買い物
僕にはどうしても知りたいことができた。
それは、フィギュアプリンターで作成したドールを外に連れ出すことについてだ。
最初は、何かのついでに山田課長に会った時にでも聞けばいい。そう思っていた。山田課長がドールを家からどうやって持ってきているのか、それは車に載せてなのか?
又、会社の業務に従事させているB型ドールは外に出たりしているのか?
今度訊けばいい・・そう思っていた。
だが、そうも言っていられない状況が出来た。
それは、会社の同僚の植村にあることを相談されたからだ。
僕と植村は昨日と同じく会社の屋上で昼休憩をとっていた。
僕はコンビニ弁当、植村は母親ドールの手製弁当をそれぞれ食べている。
僕が「旨そうだな」と小さく言うと植村は「最高だ」と答えた。
最高・・それはよかったな。
それに比べて僕は、あまり味のしないカツ重弁当だ。昨日のハムカツと変わらない。
なんか、植村が羨ましい・・本来なら僕もドールのイズミお手製のお弁当を持参してくるはずだった。だが昨日、無残にもその夢は砕け散った。
植村は、美味いと太鼓判を押す卵焼きを頬張りながら、
「なあ・・実は・・んっ・・困ったことが・・むっ・・起きてな」
「おい、食ってから話せよ」
僕が言うと植村は「すまん」と言って口の中の物を片づけた。
そして、
「その前に、井村の家のドールは・・どうなんだ?」
「どう・・って?」
「つまり・・外に行きたいとか言わないか?」
外・・そう言えば、友達同士は一緒に外に行くものだ、とイズミは言っていた。
そして、こうも言っていた。
「ワタシは外の世界を見てみたい」と。
僕は植村に「言ってるよ。外に出たいって」と答えた。
「井村の家の子もそうか」
植村はそう言って笑った。「俺のお母さんだけじゃなかったんだな」
ん?
「おい、植村、おまえ、今、『お母さん』って言わなかったか?」
植村はAIドール、つまり物と変わらないものを「お母さん」と呼んだ。
ま、僕もAIドールを「イズミ」と呼んでいるが、それは家の中だけだ。
植村は僕の言葉に、
「ああ・・言ったよ・・だって、お母さんみたいなもんだろ」と答えた。
「そりゃそうだけど・・」
本当にそうか? 違うだろ?
AIドールは、「物」で、「商品」で・・人形で・・
「じゃ、訊くけどさ、井村・・お前は、自分の家のドールを・・ただの『物』と思っているのか?」
「ただの・・じゃないけど・・人間ではないことは確かだ」
そんなあやふやな返事をする僕に植村は、
「じゃ、井村は家では、ドールを何て呼んでるんだよ?」と訊ねた。
少し考えた後、
「・・『イズミ』だ・・そう呼んでる」と僕は正直に答えた。少し恥ずかしいな。
植村とは割と何でも話せる仲だが、僕の趣味嗜好が露呈されたようだ。
「だろ? もうそう呼んだ時点で、物じゃないよな?」植村は強くそう言った。
僕は植村に返せなくなり、
「それより、植村の本題の話は何だったんだよ?」と訊ねた。
「あ・・そうだ」と言って、植村は、
「お母さんが買い物に行きたい・・って、そう言ってるんだ」
「買い物?・・何を買うんだ?」
買い物は外に出なくてはならない。ドールにはそれがタブーだ。法律の抜け穴もありそうだが、今の時点ではその方法がわからない。
「実は買い置きの食材がもうないんだ・・」
「お前が、植村が買えばいいだろ・・ふつうに」
話は簡単だ。植村が食材を買いに行けばいい。それで済む。
「実は話がそう簡単でもないんだよ・・だから、井村に相談してるんだ」
井村はそう強く言った。
そんなことを言われても話を聞かないうちは何のことかわからない。
そんな僕の表情を見ながら植村はこう言った。
「俺の思念で作られたドールは、自分のことをドールと思っていないんだ」
植村のお母さんドールは、自分自身をAIドールだと認識していない・・だと?
「それはおかしい・・そのお母さんドールは、自分で充電とか、してるんだろ? それに錠剤だって飲んでいるはずだ・・それなのに自分自身のことを人間の母親だと思っているのか?」
自分の体を充電する人間なんていない。錠剤だけで生きている人間もいない。
この世に生を受け時に初期設定する人間もいない。
「おかしいだろ。井村の言うこともわかるよ」と植村は言った。
「何だよ、それ」茶化しているのか?
僕は「それより、何の話なんだ?」と、植村に元の相談内容に話を振った。
「だから、さっきも言ったように、お母さん自身が、『買い物に行きたい』って言ってるんだ」
「だが・・確か、ドールは外への持ち出しは禁止のはずだろ?」
「それは、何とかなるんだ。特に気にはしていない」
そう植村は自信たっぷりに言った。
ドールを外に連れ出すことは何とかなる・・そう言った。
「おい、植村、今、何とかなる、って言ったよな?」
何とかなるものなのか?
「ああ、言ったけど」
「どうやって、ドールを店まで連れて行くんだ?」
植村は「井村もけっこう知らないことがあるんだな」と小ばかにしたように言って「車とか、乗せれるし、一緒に歩いている奴もけっこういる」と言った。「この前なんか、じいさんがドールと一緒に公園を散歩してるのも見たぜ」
「ほんとかよ。そんなの見たことないぞ」
僕が外で見たのは、あのB型ドール・・どこかに連れ去られたドールだけだ。
何事にも関心を示さなかった結果がこれか・・
しかし、それだったら・・ドールを外に連れ出してもいいのなら、話は簡単だ。
「それなら、そのお母さんドールと一緒に店まで行けばいいじゃないか」
何も問題はない。いったい何の相談だよ!
僕の言葉に植村は、
「それがだな・・」と言い難そうに小さく言った。
僕が「何だよ・・何か問題でもあるのか?」と強く言うと、植村は、
「この前、井村に言ったろ、俺の母親ドールは、年が35歳前後にしか見えない話」
「ああ、確か、植村と年がそう変わらなく見えるから、親子に見えない話だろ?」
それを聞いた時、羨ましいとも思ったぞ。
「それ、まずいだろ」
「何がまずいんだよ。年上の恋人と歩く感覚じゃないのか。それはそれでいいだろ」
「まずいんだよ」
植村は奥歯に物が挟まったような言い方をした。
僕が鬱陶しそうな顔をすると、植村は僕に話を聞いてもらえなくなるとでも思ったのか、
「ドールと一緒にいるところを・・経理の清水さんに見られたらどうするんだよ」
そう植村ははっきりと言った。
は?
僕があんぐり口を開けていると、
「清水さんは、近くに住んでるんだ。もし、俺がドールと一緒にいるところを見られでもしたら」と言った。
何だよ。それは・・
「別にいいじゃないか」
と僕が軽く返すと、
「よくないっ・・清水さんに誤解されるだろ」と植村は言った。
そんなムキになった植村の顔を見て、
「なんだ、そういうことか・・」と僕は理解した。
それならそうと、早く言えよ。
植村は経理の清水さんに気がある。
お母さんドールとはいえ、年のそう違わない女性と歩いているところを清水さんに見られると、勘違いされる・・そういうことだ。
僕も清水さんは、素敵な女性だと思っている・・それは言わないことにする。下手をすれば恋のライバル関係になる。
「はっきり清水さんに言えばいいだろ・・これは、ドールなんです、と。だから、特別な関係ではないんです、と」
僕があっさり言うと、
植村は「井村は、俺と同じ立場だったら、清水さんにそう言えるか?」と言った。
少し僕は考えた。
ドールのイズミのように、思考を重ねた。
植村と同じ立場・・僕が誰かを好きだと仮定する。
その女性は近くに住んでいる・・僕がイズミを連れて外を歩く。
すると、その女性に見られる・・
うーん・・好ましくない状況だな。
そうは思うが・・
「だが、植村よ・・そのお母さんドールは、植村が元々そんな目的で買ったんじゃないのか?」
僕も似たような目的だが、植村も異性としてのドールを欲して、買ったのだ。
そもそものドールの購入目的がそれなら、そのドールの願いを叶えてやればいい。
植村は「そうだよ・・俺がモテないから、フィギュアプリンターを買ったんだ」と言った。
そんな植村に僕は、
「清水さんに気があるのなら、告白でも何でもして、思いを伝えて、清水さんにふられてから、ドールを買ったらよかったんだよ」と言った。「中途半端な状態で買うから、話がややこしくなるんだ」
偉そうに僕は言ったが、僕も人のことは言えない。
すると植村は「おい、俺が清水さんにふられることが前提で話してるだろ?」と抗議した。
終わりの見えないこの会話に僕は、
「僕に植村のドール・・お母さんドールを会わせてくれないか?」と言った。
「会ってどうするんだ?」
「ドールの気持ちを確かめたい」
そう僕は強く言った。
ドールの気持ち・・それは植村のお母さんドールだけでなく、イズミ・・も、
そして、あの連れ去られたB型ドールのことも知りたい、
そんな気持ちからそう言ったのだ。
そこで、僕の知りたかったこと・・
「それで、ドールをどうやって外に出せばいい?」
僕の問いに植村はこう答えた。
「簡単だ・・顔を隠せばいい。それだけだ」
非常にシンプルな回答だ。帽子やマスクでどうにかなる。いったい誰が、他人の顔を覗き込むだろう。
そして、最後にこれだけは植村に確認しておいた。
「それで、植村のドール・・いや、お母さんドールを買った会社は、どこの販売会社なんだ?」
植村は僕の問いをすぐに返した。
「たしか・・中○の会社だったな」と、うろ覚えのように言った。
植村のお母さんドールは、中○規格の中○製だ。
つまり、イズミとは異なるドールだ。
予想では、寿命が短いタイプだ。
それを良しとするか、不幸だと考えるかは、植村次第だ。
僕にはどうしても知りたいことができた。
それは、フィギュアプリンターで作成したドールを外に連れ出すことについてだ。
最初は、何かのついでに山田課長に会った時にでも聞けばいい。そう思っていた。山田課長がドールを家からどうやって持ってきているのか、それは車に載せてなのか?
又、会社の業務に従事させているB型ドールは外に出たりしているのか?
今度訊けばいい・・そう思っていた。
だが、そうも言っていられない状況が出来た。
それは、会社の同僚の植村にあることを相談されたからだ。
僕と植村は昨日と同じく会社の屋上で昼休憩をとっていた。
僕はコンビニ弁当、植村は母親ドールの手製弁当をそれぞれ食べている。
僕が「旨そうだな」と小さく言うと植村は「最高だ」と答えた。
最高・・それはよかったな。
それに比べて僕は、あまり味のしないカツ重弁当だ。昨日のハムカツと変わらない。
なんか、植村が羨ましい・・本来なら僕もドールのイズミお手製のお弁当を持参してくるはずだった。だが昨日、無残にもその夢は砕け散った。
植村は、美味いと太鼓判を押す卵焼きを頬張りながら、
「なあ・・実は・・んっ・・困ったことが・・むっ・・起きてな」
「おい、食ってから話せよ」
僕が言うと植村は「すまん」と言って口の中の物を片づけた。
そして、
「その前に、井村の家のドールは・・どうなんだ?」
「どう・・って?」
「つまり・・外に行きたいとか言わないか?」
外・・そう言えば、友達同士は一緒に外に行くものだ、とイズミは言っていた。
そして、こうも言っていた。
「ワタシは外の世界を見てみたい」と。
僕は植村に「言ってるよ。外に出たいって」と答えた。
「井村の家の子もそうか」
植村はそう言って笑った。「俺のお母さんだけじゃなかったんだな」
ん?
「おい、植村、おまえ、今、『お母さん』って言わなかったか?」
植村はAIドール、つまり物と変わらないものを「お母さん」と呼んだ。
ま、僕もAIドールを「イズミ」と呼んでいるが、それは家の中だけだ。
植村は僕の言葉に、
「ああ・・言ったよ・・だって、お母さんみたいなもんだろ」と答えた。
「そりゃそうだけど・・」
本当にそうか? 違うだろ?
AIドールは、「物」で、「商品」で・・人形で・・
「じゃ、訊くけどさ、井村・・お前は、自分の家のドールを・・ただの『物』と思っているのか?」
「ただの・・じゃないけど・・人間ではないことは確かだ」
そんなあやふやな返事をする僕に植村は、
「じゃ、井村は家では、ドールを何て呼んでるんだよ?」と訊ねた。
少し考えた後、
「・・『イズミ』だ・・そう呼んでる」と僕は正直に答えた。少し恥ずかしいな。
植村とは割と何でも話せる仲だが、僕の趣味嗜好が露呈されたようだ。
「だろ? もうそう呼んだ時点で、物じゃないよな?」植村は強くそう言った。
僕は植村に返せなくなり、
「それより、植村の本題の話は何だったんだよ?」と訊ねた。
「あ・・そうだ」と言って、植村は、
「お母さんが買い物に行きたい・・って、そう言ってるんだ」
「買い物?・・何を買うんだ?」
買い物は外に出なくてはならない。ドールにはそれがタブーだ。法律の抜け穴もありそうだが、今の時点ではその方法がわからない。
「実は買い置きの食材がもうないんだ・・」
「お前が、植村が買えばいいだろ・・ふつうに」
話は簡単だ。植村が食材を買いに行けばいい。それで済む。
「実は話がそう簡単でもないんだよ・・だから、井村に相談してるんだ」
井村はそう強く言った。
そんなことを言われても話を聞かないうちは何のことかわからない。
そんな僕の表情を見ながら植村はこう言った。
「俺の思念で作られたドールは、自分のことをドールと思っていないんだ」
植村のお母さんドールは、自分自身をAIドールだと認識していない・・だと?
「それはおかしい・・そのお母さんドールは、自分で充電とか、してるんだろ? それに錠剤だって飲んでいるはずだ・・それなのに自分自身のことを人間の母親だと思っているのか?」
自分の体を充電する人間なんていない。錠剤だけで生きている人間もいない。
この世に生を受け時に初期設定する人間もいない。
「おかしいだろ。井村の言うこともわかるよ」と植村は言った。
「何だよ、それ」茶化しているのか?
僕は「それより、何の話なんだ?」と、植村に元の相談内容に話を振った。
「だから、さっきも言ったように、お母さん自身が、『買い物に行きたい』って言ってるんだ」
「だが・・確か、ドールは外への持ち出しは禁止のはずだろ?」
「それは、何とかなるんだ。特に気にはしていない」
そう植村は自信たっぷりに言った。
ドールを外に連れ出すことは何とかなる・・そう言った。
「おい、植村、今、何とかなる、って言ったよな?」
何とかなるものなのか?
「ああ、言ったけど」
「どうやって、ドールを店まで連れて行くんだ?」
植村は「井村もけっこう知らないことがあるんだな」と小ばかにしたように言って「車とか、乗せれるし、一緒に歩いている奴もけっこういる」と言った。「この前なんか、じいさんがドールと一緒に公園を散歩してるのも見たぜ」
「ほんとかよ。そんなの見たことないぞ」
僕が外で見たのは、あのB型ドール・・どこかに連れ去られたドールだけだ。
何事にも関心を示さなかった結果がこれか・・
しかし、それだったら・・ドールを外に連れ出してもいいのなら、話は簡単だ。
「それなら、そのお母さんドールと一緒に店まで行けばいいじゃないか」
何も問題はない。いったい何の相談だよ!
僕の言葉に植村は、
「それがだな・・」と言い難そうに小さく言った。
僕が「何だよ・・何か問題でもあるのか?」と強く言うと、植村は、
「この前、井村に言ったろ、俺の母親ドールは、年が35歳前後にしか見えない話」
「ああ、確か、植村と年がそう変わらなく見えるから、親子に見えない話だろ?」
それを聞いた時、羨ましいとも思ったぞ。
「それ、まずいだろ」
「何がまずいんだよ。年上の恋人と歩く感覚じゃないのか。それはそれでいいだろ」
「まずいんだよ」
植村は奥歯に物が挟まったような言い方をした。
僕が鬱陶しそうな顔をすると、植村は僕に話を聞いてもらえなくなるとでも思ったのか、
「ドールと一緒にいるところを・・経理の清水さんに見られたらどうするんだよ」
そう植村ははっきりと言った。
は?
僕があんぐり口を開けていると、
「清水さんは、近くに住んでるんだ。もし、俺がドールと一緒にいるところを見られでもしたら」と言った。
何だよ。それは・・
「別にいいじゃないか」
と僕が軽く返すと、
「よくないっ・・清水さんに誤解されるだろ」と植村は言った。
そんなムキになった植村の顔を見て、
「なんだ、そういうことか・・」と僕は理解した。
それならそうと、早く言えよ。
植村は経理の清水さんに気がある。
お母さんドールとはいえ、年のそう違わない女性と歩いているところを清水さんに見られると、勘違いされる・・そういうことだ。
僕も清水さんは、素敵な女性だと思っている・・それは言わないことにする。下手をすれば恋のライバル関係になる。
「はっきり清水さんに言えばいいだろ・・これは、ドールなんです、と。だから、特別な関係ではないんです、と」
僕があっさり言うと、
植村は「井村は、俺と同じ立場だったら、清水さんにそう言えるか?」と言った。
少し僕は考えた。
ドールのイズミのように、思考を重ねた。
植村と同じ立場・・僕が誰かを好きだと仮定する。
その女性は近くに住んでいる・・僕がイズミを連れて外を歩く。
すると、その女性に見られる・・
うーん・・好ましくない状況だな。
そうは思うが・・
「だが、植村よ・・そのお母さんドールは、植村が元々そんな目的で買ったんじゃないのか?」
僕も似たような目的だが、植村も異性としてのドールを欲して、買ったのだ。
そもそものドールの購入目的がそれなら、そのドールの願いを叶えてやればいい。
植村は「そうだよ・・俺がモテないから、フィギュアプリンターを買ったんだ」と言った。
そんな植村に僕は、
「清水さんに気があるのなら、告白でも何でもして、思いを伝えて、清水さんにふられてから、ドールを買ったらよかったんだよ」と言った。「中途半端な状態で買うから、話がややこしくなるんだ」
偉そうに僕は言ったが、僕も人のことは言えない。
すると植村は「おい、俺が清水さんにふられることが前提で話してるだろ?」と抗議した。
終わりの見えないこの会話に僕は、
「僕に植村のドール・・お母さんドールを会わせてくれないか?」と言った。
「会ってどうするんだ?」
「ドールの気持ちを確かめたい」
そう僕は強く言った。
ドールの気持ち・・それは植村のお母さんドールだけでなく、イズミ・・も、
そして、あの連れ去られたB型ドールのことも知りたい、
そんな気持ちからそう言ったのだ。
そこで、僕の知りたかったこと・・
「それで、ドールをどうやって外に出せばいい?」
僕の問いに植村はこう答えた。
「簡単だ・・顔を隠せばいい。それだけだ」
非常にシンプルな回答だ。帽子やマスクでどうにかなる。いったい誰が、他人の顔を覗き込むだろう。
そして、最後にこれだけは植村に確認しておいた。
「それで、植村のドール・・いや、お母さんドールを買った会社は、どこの販売会社なんだ?」
植村は僕の問いをすぐに返した。
「たしか・・中○の会社だったな」と、うろ覚えのように言った。
植村のお母さんドールは、中○規格の中○製だ。
つまり、イズミとは異なるドールだ。
予想では、寿命が短いタイプだ。
それを良しとするか、不幸だと考えるかは、植村次第だ。
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