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10話 フェンリル
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ちょっと、待ちなさい!!
説明してよ!
ギルファ!!
「大魔狼なの?古の時代に消えたと言うあの?」
私がそうギルファに聞けば、ギルファは首を傾げた。
「ああ、それ以外に何がある?」
ギルファは何が問題なのか分からないみたいね。
「普通、分からないわよ。大魔狼なんてもうこの世に存在しないと思う者が大半だもの。」
私はそう言った。
「………ああ、自然体魔力の減少か。こいつは見るところ、変異体のようだ。だから、自然体魔力の減少に自らの身体を封印することで、今の時代まで生き延びたのだろう。」
ギルファはそう説明してくれたけど、私にはイマイチ分からない。
「えっと……そうなの?きゅうちゃん。」
私はきゅうちゃんに聞いてみる。
『きゅうちゃんは辞めて欲しいのですが……そうですね。我は群れでも飛び抜けて強力な個体でした。自然体魔力の減少により群れの仲間が死んでいく中、我は自らの魔力を固定し、封印の眠りについたのです。自然体魔力が回復した時代に封印が解けるよう設定して。随分長い時、封印されていたようで眠りから覚めたとき、恐ろしい飢餓感に襲われてしまいました。そして、貴女を襲ってしまったのです。主の加護と貴女の潜在的な才能、魔力の質が魔物の好物と一致していましたので。』
きゅうちゃんはそう言った。
そうだったのね。
「なるほど、お前の時代よりこの時代の方が自然体魔力の量が多いのか。お前のような変異体魔物がこの時代に目覚める可能性は高いな。」
「そうでしょうね。でも、魔物が自ら封印をすることも発見よ。それに、自ら封印する魔物は古の時代の一般的な魔物よりも強いのでしょう?どう対策するの?」
「そうだな。対策など知らん。人間は強い。いずれ、強くなるさ。それに、変異体魔物の数はそれほど多くない。まだ猶予はあるだろうよ。」
それもそうね。
でも、ギルファ。
貴方は何故そんなに詳しいの?
「おい、ギルファ。何でそんなに詳しいんだよ?」
私の疑問を聞いたのは、イブリス様だった。
「……俺は何故お前が知らないのかを知りたいな。サーラス帝国の文献にはあるはずだろう?」
「そういう文献は俺みたいな第三皇子は閲覧出来ねぇんだよ。……てか、何で文献のこと知ってんだ。」
「さて、な。」
ギルファは追求を躱し、はぐらかす。
ギルファの必勝パターンだ。
こうなったら、ギルファへの追求は諦めるしかない。
「ギルファ、きゅうちゃんのことはどうするの?国からの追求が来るはずよね?」
「…狼でシラをきる。オプスキュリテ、縮小化をしろ。」
『御意。』
きゅうちゃんはギルファに返事をすると、どんどん小さくなり、普通の狼より少し大きいくらいの狼になった。
これならバレることは無いかもしれないけど。
「目撃者はどうするのよ。大魔狼だって知ってる人はいるのよ?」
「………お前達が見たのは、ただの狼だよな?だってそうだろう?大魔狼なんか、この時代にいないもんな?大魔狼を見た奴は、その大魔狼に噛み殺されると言う、言い伝えがあるもんな?」
ニヤリ、と笑い、その場にいた者たちにそうギルファは言った。
それは脅しよ、ギルファ。
その場にいる者達は青ざめ、コクコクと頷いた。
………ギルファが悪魔に思えて来たわ。
説明してよ!
ギルファ!!
「大魔狼なの?古の時代に消えたと言うあの?」
私がそうギルファに聞けば、ギルファは首を傾げた。
「ああ、それ以外に何がある?」
ギルファは何が問題なのか分からないみたいね。
「普通、分からないわよ。大魔狼なんてもうこの世に存在しないと思う者が大半だもの。」
私はそう言った。
「………ああ、自然体魔力の減少か。こいつは見るところ、変異体のようだ。だから、自然体魔力の減少に自らの身体を封印することで、今の時代まで生き延びたのだろう。」
ギルファはそう説明してくれたけど、私にはイマイチ分からない。
「えっと……そうなの?きゅうちゃん。」
私はきゅうちゃんに聞いてみる。
『きゅうちゃんは辞めて欲しいのですが……そうですね。我は群れでも飛び抜けて強力な個体でした。自然体魔力の減少により群れの仲間が死んでいく中、我は自らの魔力を固定し、封印の眠りについたのです。自然体魔力が回復した時代に封印が解けるよう設定して。随分長い時、封印されていたようで眠りから覚めたとき、恐ろしい飢餓感に襲われてしまいました。そして、貴女を襲ってしまったのです。主の加護と貴女の潜在的な才能、魔力の質が魔物の好物と一致していましたので。』
きゅうちゃんはそう言った。
そうだったのね。
「なるほど、お前の時代よりこの時代の方が自然体魔力の量が多いのか。お前のような変異体魔物がこの時代に目覚める可能性は高いな。」
「そうでしょうね。でも、魔物が自ら封印をすることも発見よ。それに、自ら封印する魔物は古の時代の一般的な魔物よりも強いのでしょう?どう対策するの?」
「そうだな。対策など知らん。人間は強い。いずれ、強くなるさ。それに、変異体魔物の数はそれほど多くない。まだ猶予はあるだろうよ。」
それもそうね。
でも、ギルファ。
貴方は何故そんなに詳しいの?
「おい、ギルファ。何でそんなに詳しいんだよ?」
私の疑問を聞いたのは、イブリス様だった。
「……俺は何故お前が知らないのかを知りたいな。サーラス帝国の文献にはあるはずだろう?」
「そういう文献は俺みたいな第三皇子は閲覧出来ねぇんだよ。……てか、何で文献のこと知ってんだ。」
「さて、な。」
ギルファは追求を躱し、はぐらかす。
ギルファの必勝パターンだ。
こうなったら、ギルファへの追求は諦めるしかない。
「ギルファ、きゅうちゃんのことはどうするの?国からの追求が来るはずよね?」
「…狼でシラをきる。オプスキュリテ、縮小化をしろ。」
『御意。』
きゅうちゃんはギルファに返事をすると、どんどん小さくなり、普通の狼より少し大きいくらいの狼になった。
これならバレることは無いかもしれないけど。
「目撃者はどうするのよ。大魔狼だって知ってる人はいるのよ?」
「………お前達が見たのは、ただの狼だよな?だってそうだろう?大魔狼なんか、この時代にいないもんな?大魔狼を見た奴は、その大魔狼に噛み殺されると言う、言い伝えがあるもんな?」
ニヤリ、と笑い、その場にいた者たちにそうギルファは言った。
それは脅しよ、ギルファ。
その場にいる者達は青ざめ、コクコクと頷いた。
………ギルファが悪魔に思えて来たわ。
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