この世界の裏側に住む孤高の竜

1. 迷い込んだところ

私は、龍宮りゅうみや 彩葉あげは 。
日系イギリス人と日本人の子で、8分の3ほどのイギリスの血が混ざってるの。
そのため、私の髪は金色ともブラウンとも呼べる美しい髪を持っている。
私の自慢の髪である。
ただ、その髪を授けてくれた両親はもうこの世にはいない。
私が、6歳の時に事故で死んでしまった。
両親が死んだ事故から、9年。
私は今、中高一貫の私立校、桜ヶ丘高校へと進学した。
親戚筋を転々としていた私を養子として引き取ってくれた、桐谷夫妻は私の恩人といってもいい。
なぜなら私は、桐谷夫妻に引き取られるまで、親戚筋で嫌がらせを受けたり、学校ではイジメを受けたりしていた。
私は、今日学校が休みであり、映画を見に行く予定なのだ。
もちろん、一人で。
友達や彼氏もいないから。
私は、バックにお金や大好きなお菓子を入れた。
何か足りない気がして、ごそごそと物入れを漁った。
出てきたのは、若々しい両親の写真。
それもそっと、バックに入れた。
ライターやロープ、カメラもバックに入れておいた。何が起こるかわからないものね。
私は、ラフな格好の洋服におかしい所がないか、鏡で確認した。
そのとき。
水面に水紋が出来るように鏡が揺らいだ。
ちょん、と指で鏡をつついてみる。
すると、指が鏡に入り込んでいくのがわかった。
鏡からは、微かに美しい自然の風景が見える。
そして私の体は、鏡の中に吸い込まれていく。
不思議と恐怖はなかった。
あるのは冒険が始まる予感だけ。
そして、入り込んだ世界は鏡のように世界がアシンメトリーとして空と大地に分かれている。
私は、そんな世界に足をつけた。
「ここは……？」私はそう呟いた。
「ここは、世界の裏側。《破鏡ノ世》と言われている世界だ。」そう知らない50代くらいの男が答えた。
この男の人が言うには、世界の裏側に迷い込んだらしい。