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一章
6・勉強会
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「ランスさん、どうだっただろうか?」
「はい。面白いお話でした!」
夕方頃、ランスは屋敷に呼ばれ、タウと文字の読み書きの練習をしている。タウの出社が早い日は帰りも早い。そんなことから、勉強会はこの時間で落ち着いた。ランスはタウに絵本を読んでもらい、文字を学んでいる。タウが幼いころから好んでいるというその絵本は、これまた立派な装丁だ。タウの家はもともと金持ちなのだろう。
「タウ様は本がお好きなんですか?」
「ああ。友達らしい友達もいなかったし、いつも私の孤独を癒してくれた」
タウは寂しいと今も感じているのだろうかとランスは心配になった。そっと彼の大きな手に自分の手も重ねる。
「今は俺が傍にいます」
「ランスさん、そうだな。今は貴方がいるから孤独ではない」
その言葉にランスはホッとした。タウには悲しい感情のままでいて欲しくない。
「ランスさん、この前植えたスノーベリーだが、元気だろうか?」
「はい。元気ですよ。きっとタウ様に見て欲しいんでしょうね。すごく大きくなっています」
ランスがそう言ってくすりと笑うと、タウはほっとしたような表情になった。
「それは良かった。近いうちにスケッチをしに行こう」
「はい。それまでにしっかり手入れをしておきますね」
ランスとタウの間には見えないが確かなつながりが出来つつある。しかもかなり近い距離で。
お互いに話に夢中になっている時は平気なのだが、少し沈黙が続くと、意識し合ってしまう。ランスはこの時、好きだと言ってしまおうかと思うのだが、自分と屋敷の主であるタウとでは吊り合わないのではという不安から言えないでいる。そしてタウは自分をどう思っているのかと不安にもなる。彼は男で自分も男だ。同性愛ということばこそあれ、自分が該当してしまうとは思わなかった。
「ランスさん、今度読んでみたい本はあるだろうか」
「あ、えーと」
ランスは迷うふりをした。こういうふうにタウから切り出された時は勉強会も終わりに近いという証だからである。もっとタウと一緒にいたいとランスは思うようになっている。
「タウ様のお気に入りを読んでみたいです」
タウは自分と一緒にいたくないのだろうかと寂しい気持ちで笑ったら、タウがゆったりと近寄って来た。
「ランスさん、悲しい顔をしないでくれ」
え、とランスが思っている間もなく彼に唇を奪われていた。
そのまま抱き寄せられ、更に深いキスをされている。
「た、タウ様?」
自分でも真っ赤になっていると分かるほど顔が熱い。
「すまない。ランスさんがあまりにも可憐で」
「い、嫌じゃないです!そ、その俺も、タウ様の事好きです」
「ランスさん。それは本当か?」
「はい。本当です」
タウにまた抱きしめられている。彼のたくましい背中をランスはぎゅっと抱きしめた。再び口づけられている。先ほどとは違った求められているというキスだ。
「っつ、ふ・・ン」
俺、こんな声出るの?―
ランスは自分の甘い声に驚きながらタウに応えるべく必死だった。しばらくしてタウが口づけをほどく。ランスは彼にもたれかかった。頭がぼうっとする。
「ランスさん、私と恋人になって欲しい」
「え?でも俺、ただの庭師ですよ?」
「貴方は私の天使だ」
ぶわあっと顔が熱くなる。タウはどこまでも自分を天使だと思い込んでいるらしい。
「貴方が好きだ、ずっと愛させてほしい」
「お、俺もタウ様が好きです」
二人は再び抱き合っていた。
***
タウ様と恋人になっちゃった―
ランスは離れに戻ってきている。ベッドに潜り込みながらランスは先ほどのキスを思い出していた。それだけで体が反応してきてしまう。本当はタウにもっと触ってもらいたかった。だがタウに断られたのだ。今の自分ではランスをめちゃくちゃにしてしまうからと。
めちゃくちゃってなんだよ―
そう思いながら下着ごとパンツを下ろすと、反応した性器が現れる。久しく自慰などしてないが、上手く出来るだろうかと訝しみながら、ランスはそっと自身を緩く握りこんだ。
敏感になっているそこに触れるだけでぶるっと震えてしまいそうになる。
「ん、っつ、たう様・・・・もっと」
先端を擦り上げるだけでびくびくと腰が揺れる。
「や・・・ら、め」
ぐりぐりと緩急を付けながら擦る。あ、と思ったらすでに達していた。
久し振りの絶頂に、ランスは崩れ落ちる。
「タウ様にしてもらいたかったな」
そう呟いたランスはタオルで精液を拭い服を直した。
「パーティーって美味しいものが食べられるって本当かな」
明日、そのパーティーは開かれる。ランスはベッドで丸くなった。
「はい。面白いお話でした!」
夕方頃、ランスは屋敷に呼ばれ、タウと文字の読み書きの練習をしている。タウの出社が早い日は帰りも早い。そんなことから、勉強会はこの時間で落ち着いた。ランスはタウに絵本を読んでもらい、文字を学んでいる。タウが幼いころから好んでいるというその絵本は、これまた立派な装丁だ。タウの家はもともと金持ちなのだろう。
「タウ様は本がお好きなんですか?」
「ああ。友達らしい友達もいなかったし、いつも私の孤独を癒してくれた」
タウは寂しいと今も感じているのだろうかとランスは心配になった。そっと彼の大きな手に自分の手も重ねる。
「今は俺が傍にいます」
「ランスさん、そうだな。今は貴方がいるから孤独ではない」
その言葉にランスはホッとした。タウには悲しい感情のままでいて欲しくない。
「ランスさん、この前植えたスノーベリーだが、元気だろうか?」
「はい。元気ですよ。きっとタウ様に見て欲しいんでしょうね。すごく大きくなっています」
ランスがそう言ってくすりと笑うと、タウはほっとしたような表情になった。
「それは良かった。近いうちにスケッチをしに行こう」
「はい。それまでにしっかり手入れをしておきますね」
ランスとタウの間には見えないが確かなつながりが出来つつある。しかもかなり近い距離で。
お互いに話に夢中になっている時は平気なのだが、少し沈黙が続くと、意識し合ってしまう。ランスはこの時、好きだと言ってしまおうかと思うのだが、自分と屋敷の主であるタウとでは吊り合わないのではという不安から言えないでいる。そしてタウは自分をどう思っているのかと不安にもなる。彼は男で自分も男だ。同性愛ということばこそあれ、自分が該当してしまうとは思わなかった。
「ランスさん、今度読んでみたい本はあるだろうか」
「あ、えーと」
ランスは迷うふりをした。こういうふうにタウから切り出された時は勉強会も終わりに近いという証だからである。もっとタウと一緒にいたいとランスは思うようになっている。
「タウ様のお気に入りを読んでみたいです」
タウは自分と一緒にいたくないのだろうかと寂しい気持ちで笑ったら、タウがゆったりと近寄って来た。
「ランスさん、悲しい顔をしないでくれ」
え、とランスが思っている間もなく彼に唇を奪われていた。
そのまま抱き寄せられ、更に深いキスをされている。
「た、タウ様?」
自分でも真っ赤になっていると分かるほど顔が熱い。
「すまない。ランスさんがあまりにも可憐で」
「い、嫌じゃないです!そ、その俺も、タウ様の事好きです」
「ランスさん。それは本当か?」
「はい。本当です」
タウにまた抱きしめられている。彼のたくましい背中をランスはぎゅっと抱きしめた。再び口づけられている。先ほどとは違った求められているというキスだ。
「っつ、ふ・・ン」
俺、こんな声出るの?―
ランスは自分の甘い声に驚きながらタウに応えるべく必死だった。しばらくしてタウが口づけをほどく。ランスは彼にもたれかかった。頭がぼうっとする。
「ランスさん、私と恋人になって欲しい」
「え?でも俺、ただの庭師ですよ?」
「貴方は私の天使だ」
ぶわあっと顔が熱くなる。タウはどこまでも自分を天使だと思い込んでいるらしい。
「貴方が好きだ、ずっと愛させてほしい」
「お、俺もタウ様が好きです」
二人は再び抱き合っていた。
***
タウ様と恋人になっちゃった―
ランスは離れに戻ってきている。ベッドに潜り込みながらランスは先ほどのキスを思い出していた。それだけで体が反応してきてしまう。本当はタウにもっと触ってもらいたかった。だがタウに断られたのだ。今の自分ではランスをめちゃくちゃにしてしまうからと。
めちゃくちゃってなんだよ―
そう思いながら下着ごとパンツを下ろすと、反応した性器が現れる。久しく自慰などしてないが、上手く出来るだろうかと訝しみながら、ランスはそっと自身を緩く握りこんだ。
敏感になっているそこに触れるだけでぶるっと震えてしまいそうになる。
「ん、っつ、たう様・・・・もっと」
先端を擦り上げるだけでびくびくと腰が揺れる。
「や・・・ら、め」
ぐりぐりと緩急を付けながら擦る。あ、と思ったらすでに達していた。
久し振りの絶頂に、ランスは崩れ落ちる。
「タウ様にしてもらいたかったな」
そう呟いたランスはタオルで精液を拭い服を直した。
「パーティーって美味しいものが食べられるって本当かな」
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