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二話・殺人鬼
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週末の天気は土日とも晴れだった。僕と夢々兄さんはゆったり電車に揺られている。おじいちゃんの家は都内から少し外れた山の方にあった。駅から歩いていけるのが幸いだ。今、その家にはおばあちゃんと、お母さんの弟の清おじさんが暮らしている。清おじさんはずっと働いていない。僕がなんで?って幼い頃に聞いたら、精神の病だからとお母さんが投げつけるように言った。僕はそれきりお母さんとその話をしたことがない。あの時のお母さんは本当に怖くて、僕は泣き出したのを覚えている。そんな僕にお母さんは謝りながら僕をあやしてくれた。今日、ここに来ることを僕たちは両親に話していない。適当に図書館で一日勉強すると言ってある。嘘をついたのは悪いことだけど、そうでもしなかったらここに来られていない。絶対に駄目だって言われるだろう。でもたまにはおじいちゃんのお墓参りがしたい。
「詩史、これ預けとくわ」
兄さんが僕の手のひらに鍵を置いた。
「蔵の鍵。母さんが鏡台に隠してた」
「ええ?それを持ってきたの?」
夢々兄さんが笑う。
「ばーか。合鍵に決まってるだろーが」
「兄さん、本当にお宝があると思ってるんだね」
僕は呆れて笑うしかなかった。電車が目的地に到着する。僕たちは無人の駅を通り抜けて、田園が広がる道をひたすら歩き出した。今日は本当に暑い。じりじりと熱が体に籠もってくる。僕たちは来る前にコンビニでスポーツドリンクを買っていた。それは正解だったと言える。
「お、見えてきたな」
おじいちゃんの家は坂の上にあった。そこにももちろん田んぼがある。兄さんがインターフォンを鳴らす。でもなんの気配もない。おばあちゃんたち、出掛けてるのかな?兄さんが引き戸を引くと、それはすんなり開いた。中はますます暑い。そしてなんだか嫌な匂いがする。なんだ、この匂い。
「詩史、行くぞ」
「でも」
兄さんがどんどん中に入っていくから、僕も仕方なく後を追った。玄関で靴を脱いで、廊下を静かに歩く。
しばらく行くと誰かが倒れている。まさか。僕は目を疑った。おばあちゃんだ。うじがわいて腐りかけている。死んでいるの?
「詩史、とりあえず警察を」
「うがあっ!!」
「!!」
清おじさんが飛び掛かってきたのを僕たちは既の所で避けた。おじさんは手に鉈を持っている。まさかおばあちゃんはおじさんに殺されたの?そして僕たちも殺すつもり?
「詩史!庭まで走れ!!蔵には鍵が掛かる!そこまで振り返るな!!」
夢々兄さんが言うから僕は必死に走った。なんで、なんで、こんなことになっちゃったんだ。
「詩史、これ預けとくわ」
兄さんが僕の手のひらに鍵を置いた。
「蔵の鍵。母さんが鏡台に隠してた」
「ええ?それを持ってきたの?」
夢々兄さんが笑う。
「ばーか。合鍵に決まってるだろーが」
「兄さん、本当にお宝があると思ってるんだね」
僕は呆れて笑うしかなかった。電車が目的地に到着する。僕たちは無人の駅を通り抜けて、田園が広がる道をひたすら歩き出した。今日は本当に暑い。じりじりと熱が体に籠もってくる。僕たちは来る前にコンビニでスポーツドリンクを買っていた。それは正解だったと言える。
「お、見えてきたな」
おじいちゃんの家は坂の上にあった。そこにももちろん田んぼがある。兄さんがインターフォンを鳴らす。でもなんの気配もない。おばあちゃんたち、出掛けてるのかな?兄さんが引き戸を引くと、それはすんなり開いた。中はますます暑い。そしてなんだか嫌な匂いがする。なんだ、この匂い。
「詩史、行くぞ」
「でも」
兄さんがどんどん中に入っていくから、僕も仕方なく後を追った。玄関で靴を脱いで、廊下を静かに歩く。
しばらく行くと誰かが倒れている。まさか。僕は目を疑った。おばあちゃんだ。うじがわいて腐りかけている。死んでいるの?
「詩史、とりあえず警察を」
「うがあっ!!」
「!!」
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「詩史!庭まで走れ!!蔵には鍵が掛かる!そこまで振り返るな!!」
夢々兄さんが言うから僕は必死に走った。なんで、なんで、こんなことになっちゃったんだ。
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