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バルセロス・バザール

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『あるさん、こっちです♡』

レンさんを追うように俺は歩いている。
それにしても、ここ本当に広いよなぁ。

周りには沢山屋台が並んで色々な物が売られているのが分かる。

レンさんの後をなんとか付いていって辿り着いた場所、そこは門が閉まっていた。
店なのか?
門は格子状の物で、誰も通さないという固い意思を感じる。

「レンさん、ここって?」

尋ねるとレンさんが何かを取り出して翳した。
その瞬間、門が鈍い音を立てて開き始める。

『ここはあるクエストをこなすと、入れるようになるんですよ。あるさんも是非探してみてくださいね』

へー、そんなクエストもあるのか。面白いな。
レンさんの後に続いて店に入る。

『いらっしゃい。なんだ、レンかい。誰を連れてきたね?』

中には店主と思しき老婦人がレジの前に座っていた。

『おばあさま、この方はあるさんっていいます。私の大切な人ですよ』

『ほう。確かに良い男だね」
 
アバターと差があり過ぎて恥ずかしいな。

「あ、あるといいます」

『レンに変な虫が付かないようちゃんと見張っておいとくれ』

『おばあさまったら』

レンさん、この世界に馴染み過ぎじゃない?
すごいな。いや、それが出来ているのは彼女のコミュニケーション能力の高さだよな。
さすが喫茶店に勤めているだけある。

『レン、彼氏を自慢しにきただけじゃないんだろう?』

『か…彼氏…』

レンさんが困ってる。そりゃあな!
なんか悲しいけど仕方がない。

『え、えーと今日は素材を売りに来ました。
品質は確かです』

俺は出せる限りの素材を選んで出した。

『ふうむ』

老婦人はしばらく考えているようだ。
駄目だったのかな?ドキドキしてきた。

『レン、お前さんの目は確かだ。
あるは信頼できる人間らしい』

『はい!そうなんです!』

レンさんが身を乗り出す。

『全部で45000リドーだね』

それが高いのか安いのか、俺には分からない。

『買い叩くんですか!!おばあさま!』

あ、安かったのか。
レンさんもこうして怒るんだな。
可愛いけど。

『レン、よくお聞き。
お前達にクエストを頼みたいのさ』

『クエスト?』

レンさんが可愛らしく首を傾げている。

『あぁ。腕利きにしか頼めない危険な仕事だよ。その代わり報奨金は1人20万リドーだ』

『そんなに?』

『それくらい出さなきゃ周りの店に文句を言われるよ。
内容を話すよ。二人共よくお聞き』

クエストの内容は実にシンプルだった。
この国一番のお金持ちが明日、バザールに遊びに来るらしい。つまり、その人の護衛だ。
確か名前はトマソンといった。
どんな人かな?
わがままな人じゃなければいいな。

結局、素材はおばあさんの言い値で売った。
とりあえずお金がなくちゃ何もできない。
その後、レンさんオススメのお店で回復アイテムを買ったり、強化出来そうな装備を強化した。まだ強くなれるんだな。
嬉しい。

途中で、レンさんと別れて(レンさんも基本的にソロだし)出来そうなサブクエストを何個かこなした。
そこで改めてこの国について分かった。

この国はモリグといって、まだまだ発展途上な国だ。
だからまだ、未開拓の土地が多いらしい。
でも、俺達プレイヤーがクエストをこなすと少しずつ国も発展していくようだ。
どんな国になるかは、俺達プレイヤー次第なのだという。
面白いなあ。
他に、レンさんが帰り際に運営が出している掲示板を見た方がいいと言っていた。
前にも言っていたな、忘れていた。
寝る前に覗いてみよう。

さて、これからゲームの練習をしよう。
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