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賞金稼ぎ

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俺はふと目を覚ました。カーテンから太陽の陽射しが入ってくる。

「ん?…何時だ…喉乾いた」

ムクリ、と起き上がってスマホを見るとちょうど正午だった。
あれ、メッセージが来ている。

『ある、次の大会に向けて皆で練習してるから、いつでも俺んち来いよ』

俺は冷蔵庫からお茶のパックを取り出してコップに注いだ。
こうやって毎回ちゃんと誘ってくれて嬉しいな。
メッセージに返信する。

「昼飯食べたらすぐ行くよ」

すぐ既読が付いた。

『わかった、待ってるわ。怜央がうるさいから輝きのアリアも持ってきてくれ』

「わかった」

きっといつものメンツが揃っているんだろう。
俺は昨日残ったご飯とおかずを温めて食べることにした。
まだ頭がぼーっとしている。

「いただきます」

食べ始めたらだんだん頭が冴えてきた。
よし、着替えて行くか。

いつもの部屋着を脱いで、ジーンズを履いた。
上は黒のパーカーを着る。
ジャンパーを羽織って、リュックに必要な物を入れて出かける準備が完了した。
カーテンは閉めたままにしよう。帰ってきたら多分、夜だろうしな。

俺は家を出た。
俺の家は五階建てのアパートの三階にある。
エレベーターがあるのが救いだ。
それがここを選んだ理由の一つだった。
駅もまあまあ近いし、それなりに満足している。


「うぅ、さっぶ」

駅に向かいながら風の冷たさに震えた。
電車に乗り込むとかなり混んでいる。
そうか、日曜日でみんな休みか。

「お、ある。よく来た!」

「こんにちは」

いつもゲーマー仲間が集まるのは、リーダーであるせつ先輩の家だ。

雪先輩は面倒見が良くて、俺も何かとお世話になっている。
彼は俺より5つ年上だ。プロゲーマーになったのが13歳の時だというから驚きだった。
彼の名前は前から知っていたけれど、こんなに親しくなるとは思わなかった。
人生って色々あるよなぁ。

「あ、あるー!おれのきゃらくたー見てくれよ!」

玲央が手を振ってくる。

「あれからアリア、進めたの?」

座りながら尋ねたら玲央がゲーム機の画面を見せてくれた。

「今、やっとレベル15なんだー。
ソロは黒魔導師にはきつかったー」

俺は玲央の言葉に思わず笑ってしまった。

「でも強くなってるじゃん。装備も整えたの?かっこいいね」

「いーや?これは予約特典でもらえるんだー。
早く他の装備が欲しいー」

「へー。予約特典って装備なんだね」

「俺のも見るか?」

「あ、俺も!!あるのも見せろよ!」

雪先輩まで詰め寄ってきたからおかしかった。皆、ゲームが大好きなんだな。まあ俺もなんだけど。

リュックからゲーム機を取り出して、俺も自分のキャラクターを見せた。

「わ…あるのアバターかっこいいな」

「俺もこうすればよかった」

「フレンド申請していい?」

俺がそう尋ねるとみんな頷いてくれた。

「あるはまだストーリーを始めてないんだなー」

と玲央が言う。
俺はもうすぐゲームの大会に出場することを告げた。

「え…それすげえ規模が小さいやつじゃん」

と雪先輩が言う。
ここにいる皆はもっとレベルの高い大会に出ることが多いもんな。
その方が賞金も高いし、名前だって知ってもらえる。

「俺、一円でも多く稼ぐためにゲーマーになったからさ」

「出た、賞金稼ぎのある!」

そう俺を囃し立てたのは俺より1つ年上のきょうだ。
派手な外見でチャラいやつだと初めは思っていたけれど、すごくいいやつだった。

「頑張れよ、ある」

雪先輩が肩を叩いてくれた。

「じゃ、あるも練習したいだろうし、早速始めるか!」
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