上 下
13 / 13
5

福袋2

しおりを挟む
店が開店し、俺たちはようやく店に入ることができた。
走らないように、という店員の呼び掛けに皆が応じて、早歩きで店内を進む。
エスカレーターを見つけてそれで二階まで上がった。

「いよいよだな!紗輝くん!」

「楽しみだね」

センセが楽しそうなだけでも十分俺は楽しいけどね。
福袋のあるフロアにはすぐにたどり着いた。
ワゴンにこれでもか、と置いてある。
床に陳列されているものもあり、それはとびきり大きい。
値段もなかなかだ。
きっとブランドのなにかが入っているんだろう。
センセが欲しい福袋は文房具のものだった。
しかも全て同じキャラクターもののファンシーなやつだ。
女子小学生か!と突っ込みたくなるけど、それも含めて好きなのでなにもいわない。
センセがそのキャラクターが好きなことは前から知っていた。
最近人気が出てきたのか、そのキャラクターのグッズが沢山出ていたらしい。
でもセンセなりに人目をはばかって買うのを諦めていた。
だけどついに、開き直った、らしい。
そう宣言してきたのは昨日だったけど。

今ならそうゆうことか、と思えるけど、昨日の時点ではなんでいきなりそんなことを言ったのか訳がわからなかった。

「紗輝くん、こっちの方が52グラム軽いような気がする」

「は?」

福袋の物色を始めていたセンセがいきなりこんなことを言い始めたので驚いた。
センセは両手に福袋を持って比べている。

「え?中身わかるの?」

「いや?」

ですよねー?封してあるし!

「これは、軽いからマスコットが入っているのかもしれないな」

センセが唸りながら言う。
ここで推理しちゃうの??
センセらしいといえばセンセらしい。
いや、いいのか?これで?

「紗輝くん、俺は限定で入っているボールペンが欲しいんだ。
ホームページに書いてあったんだが、キャラクターの人形が付いている重たいやつらしい。
だから少し重たい福袋を探したいんだ」

なるほど。
絶対ではないけど、少し可能性はひらけるかもね。

「センセに協力するよ。
そのために来たんだしね」

「紗輝くん、ありがとうな!」

センセと手分けして少し重たい福袋を3つ探し当てた。

「紗輝くん、3つは買えないんだが」

「意外と値段するもんね。
ひとつなら俺が買ってあげれるよ?」

「いいのか?!」

その笑顔ご褒美デス。

「いいよ。
当たればいいね」

3つの内から2つに絞ってセンセとレジに向かった。
こんな緊張する?
隣を見るとセンセも顔が強ばっている。
なんとか会計を終えて、俺たちは事務所に戻ってきた。

「紗輝くん、開けていいか?」

「うん」

センセは慎重に袋の封を開ける。

「ないな」

ボールペンは入っていなかった。
筆箱が重たかったらしい。
センセはもうひとつに取りかかる。

「あ!」

「センセ?」

センセが取り出したのは狙っていたボールペンだった。

「あったぞ!紗輝くん!!」

はい、今年イチの笑顔頂きました。

「よかったね、入ってて」

「紗輝くんのお陰だぁ!」

センセが涙目になってる。
可愛い。

「今年は良い年になりそうだな!」

「ね、センセ?
当たったし俺にも幸せ、おすそわけしてくれない?」

「へ?!」

センセに顔を寄せて聞いてみる。
途端に真っ赤になるセンセが可愛い。

「な、なにをすればいいんだ?」

「センセとちゅーしたいなぁー」

「っ!」

本当はそれ以上したいけど、無理にはしないって決めたしね。

「ね?センセ。
いいでしょー?」

こういう時、年下って便利だよね。
センセが甘えられるのに弱いこと知ってるし。

「わ、わかった」

センセは渋々だったけど頷いてくれた。

「センセからちゅーして?
いつも俺からばっかりだし」

「!!」

センセは恐る恐る顔を近付けてくる。
そっと唇に触れたと思ったら離れようとしたので、俺はすかさずセンセの体をおさえた。

「だめだよ、逃がさないから」

センセをそのまま持ち上げてみる。
可愛すぎてもう止まれないや。

「わわ!紗輝くん!
おろしてくれ!」

「やだー」

センセをベッドに押し倒した。

「今日はセンセ、食べるから。
もう我慢できないし」

「あ、痛くしないで」

ごめん、それ逆効果。
センセは震えながら泣いている。
下半身にくるわー。

「センセ、好きだよ。
愛してる」

「あ、紗輝くん」

抱き締めてキスした。
センセがしがみついてきてくれる。

「センセ、俺、手加減できないからね?」

「うん」

この人が俺は大好きです。

(福袋 完)
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

黄色い水仙を君に贈る

えんがわ
BL
────────── 「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」 「ああ、そうだな」 「っ……ばいばい……」 俺は……ただっ…… 「うわああああああああ!」 君に愛して欲しかっただけなのに……

【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。

白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。 最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。 (同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!) (勘違いだよな? そうに決まってる!) 気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

逃げるが勝ち

うりぼう
BL
美形強面×眼鏡地味 ひょんなことがきっかけで知り合った二人。 全力で追いかける強面春日と全力で逃げる地味眼鏡秋吉の攻防。

【完結】運命さんこんにちは、さようなら

ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。 とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。 ========== 完結しました。ありがとうございました。

処理中です...