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おみやげ3

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「木下さんは、きっとこのお土産を買った場所にいると思う」

俺と銀次さんは顔を見合わせた。

「センセ、ちゃんと説明してくれないと俺たちわかんない」

うんうん、と銀次さんも頷いている。

「あぁ、そうだな、すまない」

センセはこう語り始めた。

「木下さんは女性と一緒にいるんじゃないかって思うんだ」

「な、なんだって?!」

銀次さんが叫ぶ。
そんなに驚くこと?
木下さんは男の俺から見てもかっこいいし、不思議じゃないような?
銀次さんがわなわな震えだしたので心配になる。

「えーと、大丈夫?銀次さん?」

「すまねぇ、紗輝。取り乱しちまった。
親父はおかみさんが大好きだったからな」

「もう三年くらい経つよな?」

センセの言葉に銀次さんは頷く。

「あのときは大変だった。
親父がすごく落ち込んで」

木下さんの奥さんは急性心不全で亡くなったそうだ。
センセが教えてくれたっけ。
俺は高校生だったなぁ。
その時もセンセをどうにかして落としてやろうと毎日必死だった。
でもまだそれは叶っていない。
なんだか悲しくなってきた。

「木下さんは道の駅で会った女性に恋をしたのかもしれない」

「じゃあ、道の駅に2回立ち寄ったのって?」

センセはウインクして言った。

「また会おうって約束したのかもしれないし、もう一度会えるかもって寄ったのかもしれない」

「なら!」

銀次さんにセンセは頷いた。

「あぁ、きっと連絡が取れてまた会いにいったんだ。
だから銀次にあんなことをさせたんだろう」

「親父め、はっきり言えばいいものを!」

木下さんの性格じゃ無理だと思う。
俺とセンセは同じことを思ったらしくてお互いを見て笑ってしまった。
そのときだった。
銀次さんの胸元から音楽が鳴り出す。
スマホが鳴っているのか。

「親父かもしれない!」

銀次さんが電話に出ると、案の定、木下さんだった。
銀次さんの小言に豪快に笑っている木下さんの声がこちらにも聞こえてくる。

「今から迎えに来いだとさ。
まったく仕方ねえ親父だ」

でも銀次さんはすごく嬉しそうだ。
よかった、なにもなくて。
じゃあな、と銀次さんは挨拶もそこそこに院を出ていった。

「ふー」

「センセ、お疲れ」

センセは推理をするとすごく疲れるようだ。
これはあちこちお世話できるチャンスかもしれない。

「紗輝くん、今日の夕飯は出前が取りたいな」

「あー、うん。わかった。
寝転ぶならベッドまで運んであげましょうか?」

「む、頼む」

センセは正直に言って軽い。
そこがまたカワイイ。
守ってあげたくなる。
センセを持ち上げてベッドまで運んだ。
俺もベッドに乗る。センセを押し倒してみた。

「ね、セーンセ。
今日俺、頑張ったよね?」

「ん、そうだな。
紗輝くんがいなかったら解決できてないぞ」

にこっと笑ってこんなことを言ってくれる。
本当にカワイイな!!

「じゃあ、ごほうびくれない?」

「ご褒美か?」

きょとん、と俺をセンセは見つめてきた。

「あ、おこづかいか?」

あれ?センセの顔赤くない?
気のせいか?

「違うよ。おこづかいじゃなくてさぁ」

「さ、紗輝くん!んむ!」

もういいや、そう思って俺はセンセの唇を奪っておいた。

「にゃ!?さ、紗輝くん!!き、キスしてしま!!」

もう一度キスしておく、

「センセ。
俺、センセのこと大好きなんで。
事故じゃないよ、本気だからね?」

「ひゃい」

センセは真っ赤になって毛布に隠れてしまった。小動物か。
時々もぞもぞしてる。

「セーンセ、出前の注文するからね?
何がいいの?」

声をかけるとしばらくもぞもぞしてセンセは顔を出した。
まだ顔が赤いし、ちょっと泣いている。

「あ、天ざる」

それだけ言ってまた隠れてしまった。
これ、嫌われたかな?
ちょっと落ち込む。

「じゃ、注文してくるね」

「紗輝くん!!」

振り返るとセンセは毛布にくるまりながら身を乗り出してきた。

「お、俺だって紗輝くんが特別なんだ!
本当だぞ!」

「本当に?」

センセは大きく頷いている。
カワイイ。

「紗輝くん、お手柔らかに頼む」

「センセ、いただきまーす!!」

(おみやげ 完)
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