ある日、転生した♂が迷子の人魚♀になっていた！

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ユミルの恋人？

その日の夕方。

「ふむふむ！なんと！」

ここは女性専用の脱衣場だ。

俺の至近距離にノエルさんがいる。さっきから彼女は俺を観察しているようにも見える。
どうしたんだろう？
他に女性の姿はない。
脱衣場なので、風呂に入るために当然俺達は服を脱ぎ始めていた。


「サヤちゃんは誠に可愛らしいのう！
おっぱい触ってよいか？」

「だ、駄目です！」

な、なんだこの人は。
俺が固まっていると、彼女は残念じゃのうーなんて肩を落としている。全然堪えているようには見えないんだけどな。

「ふふふ」

「わっ！」

ノエルさんが俺に後ろから抱き着いてきた。
いい匂いだから困る。彼女の柔らかい豊かな胸が俺の背中に当たっている。

「サヤちゃんの肌はすべすべじゃなあ」
　
すりすりと頬擦りされる。
ノエルさんの肌も同じくらいすべすべだった。

「の、ノエルさん！セクハラはやめてください！」

俺がなんとかそう言うとノエルさんが妖艶に笑う。あまりに綺麗な笑顔に俺は思わず見惚れてしまった。

「サヤちゃんよ、お主は何者じゃ？
なぁに、悪いようにはせん。
あのユミルが動くのだからよほどのことじゃ…のぅ？」

ノエルさんは俺の耳元で囁く。
正直に言って怖い。

「お…私はその…」

ユミルと俺はここに来る帰りの船の上で簡単にルールみたいなものを決めた。なぜなら人魚狩りをする人間が、どこに潜んでいるかわからないからだ。その他にも、俺の正体を知った人に危険が及ぶのを防ぐためでもある。
ルールは大まかに言って二つだ。

一つ、俺が違う世界から転生してきたことは伏せる。

二つ、人魚であることは伏せ、人間として暮らす。

だが、ノエルさんの迫力がすごすぎる。でもユミルとした約束を破るわけにはいかない。
俺はなんとか声を振り絞った。

「わ、私はユミル様に危ないところを助けていただいて…それで」

「ふむ。ワシはそれだけではないと睨んでおる」

「え…」

ノエルさんはより俺を強く抱き締めた。

「ワシが思うに、ユミルはお主がよほど大事だと見える。もしや、ユミルはお主に惚れているのでは？」

なんか予想していた斜め上に行った。俺は首を横に振った。

「そんなのあり得ないです。私はまだ子供ですし」

ユミルは俺が人魚だから守ってくれているだけだ。恋人なんてものとは遥かに違う。そうなりたい気持ちがないわけではないけれど。

「ふむ。そうなのかのう。
ワシの勘が外れることは滅多にないんじゃがな」

ノエルさんは言いながら首を傾げている。それに俺は背筋が冷たくなった。これは今後も気を付けないといけない。

「の、ノエルさん、そろそろお風呂に入りませんか？」

「うむ。そうするかの！」

温かい湯船に浸かったら体に入っていた力が緩んだ。