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第二話
陰謀説
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「クロガネお祖父様に聞いたところ、デーモンという名の組織が古くからあるらしいんだ、そいつらが当時の記録を消したと言われている」
また私達は下に向かって歩きだしていた。
いったいどこまで下るんだろう?
階段は急だし、なんだか、すごく暗い気持ちになる。ナミネ姫はずっと振り返らない。彼女の背中がただ見える。
「その組織は何が狙いで?」
ウル様の言葉にナミネ姫は沈黙した。そして言う。
「着いたぞ」
いつの間にか階段が終わって、目の前に銀色の重厚そうな扉が突然現れる。
ナミネ姫はその隣にあったキーパッドを数回押した。
ゴゴゴという音がして、扉が開く。
すごいセキュリティだ。
ナミネ姫が中に入る。私達も続いた。
部屋の真ん中にある小さな机に置かれていた物、それは青い宝石の付いたペンダントだった。すごく綺麗だ。
ぽん、と軽い音がする。クシマキだ。
どうやら彼は私のいる場所に現れることができるらしい。
「これは確かにイリエ姫の物です!
あぁ、お懐かしい!」
クシマキの声がどんどん遠くなる。
私、どうしちゃったの?貧血かな?
ついに抗えなくなって、私は目を閉じた。
気が付くと私は船の上にいた。
これは夢?
カモメが鳴いている。ギラギラした太陽が暑い。本当に現実みたいだ。
「気が付いたか?」
そちらを見るとたくましそうな女性がいた。肌は褐色で、長い黒髪をポニーテールにしている。大きな青色の瞳。
「アリッサから話は聞いた。
君が夕夏か」
「はい」
ドキドキしながら頷く。
彼女がイリエ姫。確かに首に、あの青いペンダントをしている。
「こんなに可愛い女の子に頼まなくてはいけないなんてな」
イリエ姫は私を認めてくれない?
イリエ姫が笑う。
「違うよ、夕夏。君に危険な目にあって欲しくないだけだ」
「危険なの?」
イリエ姫が私を見つめる。
「夕夏、これからは特に気を付けろ」
「え?」
訳が分からずにイリエ姫の顔を見つめると、また光が私を包んだ。眩しい。思わず目を閉じて気が付くとウル様の顔が見えた。
いつもの香水の匂い。あぁ帰ってこられた。
「夕夏!大丈夫かい?」
「あ、ウル様」
「ウル!下がれ!!」
ナミネ姫の鋭い声。
何が起きてるの?
仮面をかぶった何かがこちらに疾走って来る。
それをナミネ姫が次々にサーベルで切って倒す。
切るとそれは煙のように消えてしまう。
人間じゃない?
こちらに一体接近してきている。早い!
「ウル!!」
ナミネ姫が叫んだ瞬間だった。
私の体からリボンが現れる。
それは私達を守ってくれた。
「どう、なってるんだ?」
ナミネ姫のうろたえたような声。
周りには静寂が戻っていた。
「く…」
ナミネ姫がうずくまる。
「ナミネ姫?」
あれは、血だ。ナミネ姫は先程の襲撃で傷を負ったんだ。
私は彼女に駆け寄った。
なんとかしないと。単純にそう思った。
私の体からまた、リボンが現れる。
それがナミネ姫の傷口に巻き付く。
ナミネ姫は呻いた。
「っ、なんだ?」
リボンが消える。
傷はなくなっていた。
治っている?
アリッサ姫は大変な力を私にくれたらしい。
「夕夏ちゃん、君は」
「夕夏」
ナミネ姫もウル様も驚いていた。
なにより、私が一番驚いていた。
私にできることがあったなんて。
また私達は下に向かって歩きだしていた。
いったいどこまで下るんだろう?
階段は急だし、なんだか、すごく暗い気持ちになる。ナミネ姫はずっと振り返らない。彼女の背中がただ見える。
「その組織は何が狙いで?」
ウル様の言葉にナミネ姫は沈黙した。そして言う。
「着いたぞ」
いつの間にか階段が終わって、目の前に銀色の重厚そうな扉が突然現れる。
ナミネ姫はその隣にあったキーパッドを数回押した。
ゴゴゴという音がして、扉が開く。
すごいセキュリティだ。
ナミネ姫が中に入る。私達も続いた。
部屋の真ん中にある小さな机に置かれていた物、それは青い宝石の付いたペンダントだった。すごく綺麗だ。
ぽん、と軽い音がする。クシマキだ。
どうやら彼は私のいる場所に現れることができるらしい。
「これは確かにイリエ姫の物です!
あぁ、お懐かしい!」
クシマキの声がどんどん遠くなる。
私、どうしちゃったの?貧血かな?
ついに抗えなくなって、私は目を閉じた。
気が付くと私は船の上にいた。
これは夢?
カモメが鳴いている。ギラギラした太陽が暑い。本当に現実みたいだ。
「気が付いたか?」
そちらを見るとたくましそうな女性がいた。肌は褐色で、長い黒髪をポニーテールにしている。大きな青色の瞳。
「アリッサから話は聞いた。
君が夕夏か」
「はい」
ドキドキしながら頷く。
彼女がイリエ姫。確かに首に、あの青いペンダントをしている。
「こんなに可愛い女の子に頼まなくてはいけないなんてな」
イリエ姫は私を認めてくれない?
イリエ姫が笑う。
「違うよ、夕夏。君に危険な目にあって欲しくないだけだ」
「危険なの?」
イリエ姫が私を見つめる。
「夕夏、これからは特に気を付けろ」
「え?」
訳が分からずにイリエ姫の顔を見つめると、また光が私を包んだ。眩しい。思わず目を閉じて気が付くとウル様の顔が見えた。
いつもの香水の匂い。あぁ帰ってこられた。
「夕夏!大丈夫かい?」
「あ、ウル様」
「ウル!下がれ!!」
ナミネ姫の鋭い声。
何が起きてるの?
仮面をかぶった何かがこちらに疾走って来る。
それをナミネ姫が次々にサーベルで切って倒す。
切るとそれは煙のように消えてしまう。
人間じゃない?
こちらに一体接近してきている。早い!
「ウル!!」
ナミネ姫が叫んだ瞬間だった。
私の体からリボンが現れる。
それは私達を守ってくれた。
「どう、なってるんだ?」
ナミネ姫のうろたえたような声。
周りには静寂が戻っていた。
「く…」
ナミネ姫がうずくまる。
「ナミネ姫?」
あれは、血だ。ナミネ姫は先程の襲撃で傷を負ったんだ。
私は彼女に駆け寄った。
なんとかしないと。単純にそう思った。
私の体からまた、リボンが現れる。
それがナミネ姫の傷口に巻き付く。
ナミネ姫は呻いた。
「っ、なんだ?」
リボンが消える。
傷はなくなっていた。
治っている?
アリッサ姫は大変な力を私にくれたらしい。
「夕夏ちゃん、君は」
「夕夏」
ナミネ姫もウル様も驚いていた。
なにより、私が一番驚いていた。
私にできることがあったなんて。
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