30 / 52
夏休み開始!
しおりを挟む
「はぁぁあ。もう疲れたよ、いっくん」
夕方になると克樹が樹のベッドにこうして倒れ込んでるのは既に日常茶飯事になっている。
今日は終業式だった。
明日からいよいよ夏休みが始まる。
夏休みは、ダンスレッスンに始まり、MVの撮影行程をこなしていかなければならない。
しかも夏休み明けにはテストもある。
課題はどの教科からもたっぷり出ていた。オーディションに出るためには全て期日に提出しなければならない。
風は衣装作りの件で、お盆にだけ実家に帰るらしい。樹と克樹もそうすることにしていた。
両親は二人を心配して、よく荷物を送ってくれる。大体中身はスナック菓子やジュースだ。
克樹がそれをムシャムシャ食べているのを樹はいつも見守っている。
「かっちゃんが疲れちゃうなんて珍しいね」
樹がベッドの隅にちょこんと座りながら言うと、克樹が起き上がってぐ、と足を180℃に開く。
克樹は体が柔らかい。
この学校に入ってからますますだ。
「あー、やっぱり疲れた時はストレッチだわ」
そんなことを言いながら足をめいっぱい広げた状態で体を前に倒す。
「伸びるー!」
「かっちゃんすごいね!いつの間にそんなに出来るようになったの?」
「疾風が毎日ストレッチやれって言うから渋々やってたらこうなった」
確かに、克樹を説得できるのは疾風くらいだ。
「かっちゃんは今回のオーディションどう思う?本当に出たい?」
「なになに?いっくん。
俺のことが心配なの?」
「うん。だってオーディションに出る事は急に決まったでしょ?
みんなに考える時間もなかったし」
克樹が体勢を戻して樹の頭を撫でる。
「みんなのことは分からないけど、俺はチャンスだと思ってる。
だって、せっかくの機会じゃん!」
克樹の前向きな気持ちが嬉しい。
「そう言ってもらえてよかった」
「でね、いっくん」
「?」
克樹にぎゅうっと抱き締められる。
「ね、夏休みもデート行こ」
「!!」
耳元で囁かれて、樹は顔が熱くなった。
ニコニコと克樹は笑っている。
「好きだよ、いっくん」
「う、うん」
ドキドキし過ぎて頷くことしかできない。
克樹はやはりカッコいい。
カチリ、とドアの開く音がした。風が戻ってきたらしい。
「あ、風ー。お疲れー」
克樹が声を掛ける。
「二人もお疲れ様。終業式も終わったしいよいよ夏休みだね」
風がにっこりと笑う。彼の優しい穏やかな部分が樹も克樹も大好きだった。
でね、と風が真剣な表情になる。
樹と克樹は何事だろうと首を傾げた。
「衣装なんだけど、もう少しなんだ。
樹はMVのこと、なんか決まった?」
樹はこの間、真城と話した時のことを二人に話した。
ダンスシーンに加えて一人ずつの歌唱シーンも入れることを知らせる。
「わぁ、本格的だね」
「この間真城先輩からダンスレッスンの時のデータをもらったんだ」
樹はスマートフォンを取り出した。
「わ、それこの前撮ってたやつ?観たい!!」
「僕も!」
樹はスマートフォンを二人にも見えるように掲げて、動画を流したのだった。
夕方になると克樹が樹のベッドにこうして倒れ込んでるのは既に日常茶飯事になっている。
今日は終業式だった。
明日からいよいよ夏休みが始まる。
夏休みは、ダンスレッスンに始まり、MVの撮影行程をこなしていかなければならない。
しかも夏休み明けにはテストもある。
課題はどの教科からもたっぷり出ていた。オーディションに出るためには全て期日に提出しなければならない。
風は衣装作りの件で、お盆にだけ実家に帰るらしい。樹と克樹もそうすることにしていた。
両親は二人を心配して、よく荷物を送ってくれる。大体中身はスナック菓子やジュースだ。
克樹がそれをムシャムシャ食べているのを樹はいつも見守っている。
「かっちゃんが疲れちゃうなんて珍しいね」
樹がベッドの隅にちょこんと座りながら言うと、克樹が起き上がってぐ、と足を180℃に開く。
克樹は体が柔らかい。
この学校に入ってからますますだ。
「あー、やっぱり疲れた時はストレッチだわ」
そんなことを言いながら足をめいっぱい広げた状態で体を前に倒す。
「伸びるー!」
「かっちゃんすごいね!いつの間にそんなに出来るようになったの?」
「疾風が毎日ストレッチやれって言うから渋々やってたらこうなった」
確かに、克樹を説得できるのは疾風くらいだ。
「かっちゃんは今回のオーディションどう思う?本当に出たい?」
「なになに?いっくん。
俺のことが心配なの?」
「うん。だってオーディションに出る事は急に決まったでしょ?
みんなに考える時間もなかったし」
克樹が体勢を戻して樹の頭を撫でる。
「みんなのことは分からないけど、俺はチャンスだと思ってる。
だって、せっかくの機会じゃん!」
克樹の前向きな気持ちが嬉しい。
「そう言ってもらえてよかった」
「でね、いっくん」
「?」
克樹にぎゅうっと抱き締められる。
「ね、夏休みもデート行こ」
「!!」
耳元で囁かれて、樹は顔が熱くなった。
ニコニコと克樹は笑っている。
「好きだよ、いっくん」
「う、うん」
ドキドキし過ぎて頷くことしかできない。
克樹はやはりカッコいい。
カチリ、とドアの開く音がした。風が戻ってきたらしい。
「あ、風ー。お疲れー」
克樹が声を掛ける。
「二人もお疲れ様。終業式も終わったしいよいよ夏休みだね」
風がにっこりと笑う。彼の優しい穏やかな部分が樹も克樹も大好きだった。
でね、と風が真剣な表情になる。
樹と克樹は何事だろうと首を傾げた。
「衣装なんだけど、もう少しなんだ。
樹はMVのこと、なんか決まった?」
樹はこの間、真城と話した時のことを二人に話した。
ダンスシーンに加えて一人ずつの歌唱シーンも入れることを知らせる。
「わぁ、本格的だね」
「この間真城先輩からダンスレッスンの時のデータをもらったんだ」
樹はスマートフォンを取り出した。
「わ、それこの前撮ってたやつ?観たい!!」
「僕も!」
樹はスマートフォンを二人にも見えるように掲げて、動画を流したのだった。
0
お気に入りに追加
113
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
BL学園の姫になってしまいました!
内田ぴえろ
BL
人里離れた場所にある全寮制の男子校、私立百華咲学園。
その学園で、姫として生徒から持て囃されているのは、高等部の2年生である白川 雪月(しらかわ ゆづき)。
彼は、前世の記憶を持つ転生者で、前世ではオタクで腐女子だった。
何の因果か、男に生まれ変わって男子校に入学してしまい、同じ転生者&前世の魂の双子であり、今世では黒騎士と呼ばれている、黒瀬 凪(くろせ なぎ)と共に学園生活を送ることに。
歓喜に震えながらも姫としての体裁を守るために腐っていることを隠しつつ、今世で出来たリアルの推しに貢ぐことをやめない、波乱万丈なオタ活BL学園ライフが今始まる!
ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが
咲
BL
俺には大好きな兄がいる。3つ年上の高校生の兄。美人で優しいけどおっちょこちょいな可愛い兄だ。
ある日、そんな兄に話題のゲームを進めるとありえない事が起こった。
「あれ?ここってまさか……ゲームの中!?」
モンスターが闊歩する森の中で出会った警備隊に保護されたが、そいつは兄を狙っていたようで………?
重度のブラコン弟が兄を守ろうとしたり、壊れたブラコンの兄が一線越えちゃったりします。高確率でえろです。
※近親相姦です。バッチリ血の繋がった兄弟です。
※第三者×兄(弟)描写があります。
※ヤンデレの闇属性でビッチです。
※兄の方が優位です。
※男性向けの表現を含みます。
※左右非固定なのでコロコロ変わります。固定厨の方は推奨しません。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
攻略対象者に転生したので全力で悪役を口説いていこうと思います
りりぃ
BL
俺、百都 涼音は某歌舞伎町の人気№1ホストそして、、、隠れ腐男子である。
仕事から帰る途中で刺されてわりと呆気なく26年間の生涯に幕を閉じた、、、、、、、、、はずだったが!
転生して自分が最もやりこんでいたBLゲームの世界に転生することとなったw
まあ転生したのは仕方ない!!仕方ないから俺の最推し 雅きゅん(悪役)を口説こうではないか((
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーキリトリーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
タイトルどうりの内容になってます、、、
完全不定期更新でございます。暇つぶしに書き始めたものなので、いろいろゆるゆるです、、、
作者はリバが大好物です。基本的に主人公攻めですが、後々ifなどで出すかも知れません、、、
コメント下さると更新頑張ります。誤字脱字の報告でもいいので、、、
R18は保険です、、、
宜しくお願い致します、、、
風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。
殺し屋が異世界転移してもやっぱり職業は変わらないみたいです
クレハ
BL
日本で殺し屋をしている鹿乃 亮華(カノ リョウカ)。
コードネームはリョカと名乗っている。
そんな彼が仕事帰りに近道しようと路地裏に入り通りに出るとそこは異世界でーーー
しかも何故か18歳の頃の自分に若返っているし黒く短かった髪は腰まで長くなってる!?
え、なに?この世界では黒髪黒目は存在しないの!?
愛用しているナイフ2本だけで異世界に放り出された殺し屋は異世界でもやっていけるのかーーー
※R18はあまりありません、雰囲気だけでも楽しんでいただければと思います。拙い文章ですがよろしくお願い致します。
地味系魔塔主様の愛され生活
7瀬
BL
史上最年少で魔塔主となったクロナは、帝国法に則って魔法学園に入学した。分厚い前髪で顔を隠した、冴えない落ちこぼれ魔法使として。
魔力を持ちながら魔法を使えないクロナが所属したクラスは出来損ない魔法使が集められたクラス『アスワド』。メンバーはたった6人。まともに魔法を使えない・使わない彼等は、果たして立派な魔法使になれるのか?
そして、一年先輩の第二皇子シロエは何故かクロナに興味津々。クロナはシロエと距離を取りたい様子だが、離れれば離れる程近づいて来る彼に戸惑いを隠せない。ただの落ちこぼれであるクロナにシロエが接近する理由とは?
様々な波乱の中でも楽しむことを忘れない!出来損ない最強魔塔主様の学園生活謳歌録、ここに開幕!!
※主人公総受け。固カプあり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる