39 / 62
『秋は栗なのか芋なのか』の章
第39話
しおりを挟む
輝子ちゃんが話し出す。
「私が柿崎さんに会ったのは12歳の時でした」
「六郎さん、辛さどうですか?
わたしもう少し辛くてもいいです」
「ならキムチ足しましょう。
お肉も入れますよ」
「幼い頃、私は六郎さんにスゴク懐いていて……
だから玉江さんが六郎さんの事を」
「美味っしい!。
やっぱりキノコ、秋の味覚ですね」
「和泉さん、お肉ももう煮えてますよ」
「あのお二人とも、私の話聞いてます?」
だってお鍋だし。
「やだなぁ、輝子ちゃん。
ちゃんと聞いてるよ」
「そうです、輝子さん。
真面目に聞いてますよ」
と言いつつ、六郎さんはお鍋に具材を放り込む。
和泉さんはお鍋をモグモグ。
辛みのついたお豆腐がまた美味しい。
輝子ちゃんは諦めたのか。
眉をピクつかせながら、話の続き。
輝子ちゃんは六郎さんに懐いてた。
だから玉江さんが『六郎の事を任せられる嫁が来た』そう言ってた柿崎さんの事をスゴク気にしてたのだ。
「嫁って、嫁?!
それ、あたしのコトなの」
「母がそんなコト言ってたなんて自分は知りませんよ」
「言ってたんです、玉江さんは」
親戚の女性陣。
みんなに玉江さんは宣言してたらしい。
和泉さんも六郎さんもビックリ。
おどろき、もものきである。
お互いの顔を見て、赤くなって、顔を逸らしたり。
そんなコトしてる二人だ。
輝子ちゃんはさらに眉をピクピク。
この人達、私の話聞く気無い。
「だからっ。
私は凄く柿崎さんの事が気になっていて。
それで」
小学生の輝子ちゃんが見た柿崎和泉さん。
柿崎さんは大人びていて素敵だった。
玉江さんのお葬式の席で。
テキパキ働く女性。
自分だってショックの筈なのに。
そんな所は見せない。
会った事もロクに無い筈の、長尾家、上杉家の親戚に囲まれて。
物怖じせずに堂々としてる大人の女性。
「私はスゴク恰好良いと思って、
この人ならいいやと。
この人が六郎さんのお嫁さんになるんだと楽しみにしてたのに」
それなのに、いつまで経っても結婚式の招待状は届かない。
まさか別れてしまったとか。
そんなコトも無いらしい。
一体どうなっているのか。
「それで久々にお会いできて、お話が聞けるなと思っていたら」
自分のコトは覚えてないし。
酔っぱらって、夜遅くに帰って来るし。
着替えてる部屋の扉をイキナリ開けるし。
部屋はスゴク散らかってるし。
それに私の事覚えて無いし!
初めまして、って言われたし!
どうなっているのか!!
「私が柿崎さんに会ったのは12歳の時でした」
「六郎さん、辛さどうですか?
わたしもう少し辛くてもいいです」
「ならキムチ足しましょう。
お肉も入れますよ」
「幼い頃、私は六郎さんにスゴク懐いていて……
だから玉江さんが六郎さんの事を」
「美味っしい!。
やっぱりキノコ、秋の味覚ですね」
「和泉さん、お肉ももう煮えてますよ」
「あのお二人とも、私の話聞いてます?」
だってお鍋だし。
「やだなぁ、輝子ちゃん。
ちゃんと聞いてるよ」
「そうです、輝子さん。
真面目に聞いてますよ」
と言いつつ、六郎さんはお鍋に具材を放り込む。
和泉さんはお鍋をモグモグ。
辛みのついたお豆腐がまた美味しい。
輝子ちゃんは諦めたのか。
眉をピクつかせながら、話の続き。
輝子ちゃんは六郎さんに懐いてた。
だから玉江さんが『六郎の事を任せられる嫁が来た』そう言ってた柿崎さんの事をスゴク気にしてたのだ。
「嫁って、嫁?!
それ、あたしのコトなの」
「母がそんなコト言ってたなんて自分は知りませんよ」
「言ってたんです、玉江さんは」
親戚の女性陣。
みんなに玉江さんは宣言してたらしい。
和泉さんも六郎さんもビックリ。
おどろき、もものきである。
お互いの顔を見て、赤くなって、顔を逸らしたり。
そんなコトしてる二人だ。
輝子ちゃんはさらに眉をピクピク。
この人達、私の話聞く気無い。
「だからっ。
私は凄く柿崎さんの事が気になっていて。
それで」
小学生の輝子ちゃんが見た柿崎和泉さん。
柿崎さんは大人びていて素敵だった。
玉江さんのお葬式の席で。
テキパキ働く女性。
自分だってショックの筈なのに。
そんな所は見せない。
会った事もロクに無い筈の、長尾家、上杉家の親戚に囲まれて。
物怖じせずに堂々としてる大人の女性。
「私はスゴク恰好良いと思って、
この人ならいいやと。
この人が六郎さんのお嫁さんになるんだと楽しみにしてたのに」
それなのに、いつまで経っても結婚式の招待状は届かない。
まさか別れてしまったとか。
そんなコトも無いらしい。
一体どうなっているのか。
「それで久々にお会いできて、お話が聞けるなと思っていたら」
自分のコトは覚えてないし。
酔っぱらって、夜遅くに帰って来るし。
着替えてる部屋の扉をイキナリ開けるし。
部屋はスゴク散らかってるし。
それに私の事覚えて無いし!
初めまして、って言われたし!
どうなっているのか!!
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
古屋さんバイト辞めるって
四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。
読んでくださりありがとうございました。
「古屋さんバイト辞めるって」
おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。
学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。
バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……
こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか?
表紙の画像はフリー素材サイトの
https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる