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その6 危険な瞳

第91話 幻覚

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「この世の悪、魔物ダェーヴァどもめ。
 退治てくれよう、ネコザムライ!」

その言葉と共に、大剣が振られる。

ネコザムライと名乗った人影は人間としては大柄。
アザム団長より大きいかもしれにゃい。
190センチくらいは有りそう。

アクマで人間としては……よ。
ヴィルパークシャとはケタ違い。
高さ4メートル、体長10メートルはありそうにゃ象の魔物ダェーヴァ
剣を振ったところで、子供と大人くらいサイズは違う。
大ダメージを与えられるとは思えにゃい。

ところが。

ズバァーーーン!!!

凄まじい音がして象の魔物ダェーヴァの前脚が付け根から斬り落とされる。
ヴィルパークシャは下半身も大きな切り傷。
エラティ隊長が与えたダメージ。
もうヴィルパークシャは満身創痍ね。

暴れる魔物ダェーヴァとネコザムライは対峙している。

わたしはその横をさささっと通り過ぎる。
ヴィルパークシャもネコザムライも気ににゃるけれど。
わたしにはもっと気ににゃるコトがあるの。

エステルちゃん。
ヴィルパークシャの瞳を見て、立ちすくんでいた少女。
ネコザムライに突き飛ばされて繁みに倒れている。

ちょっと、乱暴よ!
そうしにゃければ、象の魔物ダェーヴァに踏み潰されていたかもしれにゃいのだから。
仕方にゃいと言えば仕方にゃいんだけど。
おんにゃの子はもっと丁寧に扱いにゃさい。

わたしはエステルちゃんの身体に近付く。
大きにゃケガはしてにゃさそうね。
その口元から声が漏れる。

「パパ……お父さん。
 なんでエステルを置いて行くの」


……エステルちゃん!

精神攻撃ね。
わたしがイヤにゃ幻覚を見せられたように、エステルちゃんもにゃにか見てるんだわ。

エステルちゃんのお父さんはライールさん。
砂船乗りシンドバットの水夫長。
彼はニ、三ヶ月の船旅に出てしまって、しばらくは帰ってこにゃい日々。

わたしはまだエステルちゃんと暮らしだして半年程度。
エステルちゃんは寂しそうににゃんてしていにゃかった。
お父さんのオシゴト。
もう12歳の彼女はそんにゃコトは分かってる。
ワガママ言ったりしにゃい。

だけど、もっと小さにゃ子供だった頃は……
トーゼン寂しかったり、悲しかったりしたコトも有ったでしょう。
そんな日々を思い出しちゃってるのかしら。
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