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その3 女神さまの指令

第44話 新春祭の日

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新春祭ノウルーズの日。
エステルちゃんは12歳になる子供たちの行列に参加していて。
ヘレーナさんもそれを見送ったり、広場に出かけたりしていた。

わたしはお留守番。
そこに猫耳幼女神バステト様がやって来たんだわ。

わたしはオリーブの木で爪とぎをしていた。
やり過ぎてオリーブの幹がボロボロににゃるとヘレーナさんに怒られるのだけど。
他ににゃいんだもの。
いくら猫ににゃったからと言ってもお家のジュータンでは爪とぎ出来にゃい。
だってペルシャ絨毯よ。
シルクや羊の毛を使い、色鮮やかに複雑な文様が描かれたジュータン。
日本で買ったらいくらするのかしら。
ボーナス貰っても手が出せないような一品。
それをヘレーナさんのお宅ではいくつも床に敷き詰めているの。

わたしも猫。
本能でついつい分厚いジュータンに爪を立てて、バリバリやりたくにゃっちゃう。
その度に、ダメよ、イケナイわ、と理性を総動員してるの。

それを考えれば、オリーブの樹が少し傷つくくらい多めに見て欲しいの。
樹なんてすぐ育っちゃう。
育てば分からにゃくにゃるモノよ。

そこに幼女がトテトテ入ってきたの。
ヘレーナさんの家の庭。
誰かお知合いの娘さんかしら。
もう三か月ほどこの家で暮らしてるけど。
まだ私の知らない親しい人は居るでしょう。

日本で言うにゃら幼稚園は卒業したくらい。
小学校低学年てトコロね。

にゃんだか猫耳をつけてるの。
日本でもひと昔前流行ったりしたわよね。
三角で毛の生えた耳を角のように頭の両側に着ける飾り。
幼女に似合っていて可愛らしいけど。
このホルムスでもこんなもの売っているのかしら。

「にゃーっはっは。
 飾りじゃニャいのよー。
 ホラ猫耳、ピクピク動くのよ。
 アナタが男の子だったらミミに触らしてお代を戴くトコロだけど。
 女の子ちゃんだから特別にただで触らしてあげるわー」

!!
この子、わたしの心の中の疑問に答えた?
偶然かしら?

何かフシギな雰囲気の子供。
肌は白くて黄色がかっている。
日本人みたい。
あれ。
一瞬、女の子が輝いて見えた。
と思ったら身体中黄金色に。
金色の眩しい光を放つ女性。

「どおお?
 黄金の石像女神様ばーじょん。
 これだと光ってて女神さまっぽいかしら?」

なんだかエジプトの石像みたい。
それだけじゃにゃい。
さっきまで可愛らしい幼女だったのに。
今目の前の女性は成人くらいのスタイル。
そして顔、顔がネコにゃの。
ネコミミつけただけじゃにゃくて、前に迫り出した鼻、顎まで避けた口。
顔中の獣毛、金色に光る虹彩のついた目。
リアルな猫貌に人間の身体。
全く違う姿に変ってたの。
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