上 下
17 / 102
その1 入団試験

第17話 アンズー

しおりを挟む
エステルちゃんが!
わたしの可愛いエステルちゃんが!!

鳥の魔物ダェーヴァの爪を受けたエステルちゃんの服が切り裂かれている。
そこから背にゃかが見えてるの。
エステルちゃんのこの国に住む人にしては白い肌。
そこから血が出ている。

にゃ!
にゃにゃにゃー!!
にゃにゃにゃにゃにゃにゃー!!!!
大丈夫にゃの?
大丈夫にゃの大丈夫にゃの??
大丈夫ダイジョーブ大丈夫にゃのーーー。


「なにっ!
 あれはアンズー?!
 こんな街に近い場所に出るなんて」

突き飛ばされていたトーヤーさんが前に進み出る。
慌ててエステルちゃんを後ろに庇う。

「ムチャをするな、エステルくん。
 だが、助かった。
 礼を言うよ。
 傷は大丈夫か?」

トーヤー隊長はエステルちゃんに語りかけにゃがらも、視線は魔物ダェーヴァから外さにゃい。
視線の先ではアンズーが上空を旋回しているの。

「はい、服が切られただけで大した事は有りません」

エステルちゃんがトーヤー隊長に答えてる。

良かったー。
わたしはエステルちゃんの背にゃかを観察する。
見たところ傷は深くにゃさそう。
皮膚の表面が切られて、血が垂れているだけね。

許さにゃい!
許さにゃい許さにゃい!!
許さにゃい許さにゃい許さにゃいわーーー。

けど。
エステルちゃんやトーヤー隊長の前でわたしが暴れる訳にもいかにゃいわね。
どうしようかしら。
わたしは辺りを見回す。

その間もトーヤーさんは視線をアンズーに向けてる。
腕に装着したクロスボウで狙いを付け矢を放つ。
さすがね。
矢は真っすぐ飛び、魔物ダェーヴァに刺さる。

「クッ、あまり効いていないか」

そうね。
アンズーだったかしら。
巨大にゃ青い羽根を持つ鳥の魔物ダェーヴァ
サイズは羽根を広げた状態で2メートル位はあるかしら。
よく見たら頭の形が変ね。
鳥類のクチバシじゃにゃいわ。
口から牙を覗かせてる。
頭部にはタテガミがにゃびく。
ライオンみたいな形の頭じゃにゃいの。
身体は鷲のようだわ。
獅子の頭をした鷲の胴体を持つ魔物ダェーヴァ
ヒトコトで言ってバケモノね。

トーヤー隊長のクロスボウは小型の物。
矢はアンズーの巨大な胴体に刺さっているけど。
魔物ダェーヴァは少し眉を寄せて不快な表情をした程度。
大きにゃダメージを与えた様に見えにゃいわ。

アンズーは爪を光らせ、飛び回る。
二人に襲い掛かろうとする。
トーヤー隊長もプロの護衛団員ね。
クロスボウの矢で牽制。
魔物ダェーヴァを近づけさせにゃい様にしてるわ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

偽物令嬢〜前世で大好きな兄に殺されました。そんな悪役令嬢は静かで平和な未来をお望みです〜

浅大藍未
恋愛
国で唯一の公女、シオン・グレンジャーは国で最も有名な悪女。悪の化身とまで呼ばれるシオンは詳細のない闇魔法の使い手。 わかっているのは相手を意のままに操り、心を黒く染めるということだけ。 そんなシオンは家族から疎外され使用人からは陰湿な嫌がらせを受ける。 何を言ったところで「闇魔法で操られた」「公爵様の気を引こうとしている」などと信じてもらえず、それならば誰にも心を開かないと決めた。 誰も信用はしない。自分だけの世界で生きる。 ワガママで自己中。家のお金を使い宝石やドレスを買い漁る。 それがーーーー。 転生して二度目の人生を歩む私の存在。 優秀で自慢の兄に殺された私は乙女ゲーム『公女はあきらめない』の嫌われ者の悪役令嬢、シオン・グレンジャーになっていた。 「え、待って。ここでも死ぬしかないの……?」 攻略対象者はシオンを嫌う兄二人と婚約者。 ほぼ無理ゲーなんですけど。 シオンの断罪は一年後の卒業式。 それまでに生き残る方法を考えなければいけないのに、よりによって関わりを持ちたくない兄と暮らすなんて最悪!! 前世の記憶もあり兄には不快感しかない。 しかもヒロインが長男であるクローラーを攻略したら私は殺される。 次男のラエルなら国外追放。 婚約者のヘリオンなら幽閉。 どれも一巻の終わりじゃん!! 私はヒロインの邪魔はしない。 一年後には自分から出ていくから、それまでは旅立つ準備をさせて。 貴方達の幸せは致しません!! 悪役令嬢に転生した私が目指すのは平凡で静かな人生。

勇者のハーレムパーティを追放された男が『実は別にヒロインが居るから気にしないで生活する』ような物語(仮)

石のやっさん
ファンタジー
主人公のリヒトは勇者パーティを追放されるが 別に気にも留めていなかった。 元から時期が来たら自分から出て行く予定だったし、彼には時期的にやりたい事があったからだ。 リヒトのやりたかった事、それは、元勇者のレイラが奴隷オークションに出されると聞き、それに参加する事だった。 この作品の主人公は転生者ですが、精神的に大人なだけでチートは知識も含んでありません。 勿論ヒロインもチートはありません。 そんな二人がどうやって生きていくか…それがテーマです。 他のライトノベルや漫画じゃ主人公になれない筈の二人が主人公、そんな物語です。 最近、感想欄から『人間臭さ』について書いて下さった方がいました。 確かに自分の原点はそこの様な気がしますので書き始めました。 タイトルが実はしっくりこないので、途中で代えるかも知れません。

夢にまで見た異世界転移だけど、勇者に成る気はありません。引き籠って生きたいのです。

克全
ファンタジー
「カクヨム」「アルファポリス」「ノベルバ」にも投稿しています。 山本光司は、バカな天使の手違いで、虐め殺人犯たちの天罰に巻き込まれてしんでしまった。 山本光司は詫びる神に奇跡の生還劇を願うが、多数の目撃者がいる無残に潰された身体を再生する事はできないと断られてしまった。 代わりに提案されたのが、これまで生きてきた記憶と知識、経験と技術を反映させた異世界転生だった。 だが山本光司は、日本レベルの娯楽と食事を楽しめない異世界転生や転移を断固拒否した。 激しい交渉の末に、異世界間スーパーで娯楽と食事を楽しめるようすると神に約束させたのだが、またしてもバカ天使の不手際で不完全なまま異世界に転移させられてしまうのであった。

キスから始まる異世界ハーレム冒険譚

楠富 つかさ
ファンタジー
夢の中で異世界へ行かないかと誘われた俺。そんな自分が貰えるという能力は『キスした相手の知識・能力を得られる』というもの。ただし、同性に限るという条件付。男とキスなんて絶対に嫌だと思った俺は女の子になることを選ぶ。そんな彼を待ち受けていた世界とは……。 この作品はハーメルン様でも掲載しておりますが、アルファポリス移転に際してタイトルを『キスから始まる異世界百合色冒険譚』から変更。タグやタイトルから百合というワードを撤去しました。 第13回ファンタジー小説大賞にエントリーしました。

伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃんでした。 実際に逢ってみたら、え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこいー伴侶がいますので! おじいちゃんと孫じゃないよ!

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...