243 / 289
第五章 アルク野獣の森
第243話 ケロ子とマリーゴールドその2
しおりを挟む
『身体強化』
ケロ子の体が一瞬大きくなった。
そんな風にショウマには見えた。
棒を八双に構えるケロ子。
左足を前に体を横にして棒を右側に構える。
ショウマから見ると野球のバッティングフォーム風。
そのまま棒を大きく振りつつマリーさんの方へ。
速度が違う。
棒の唸る音が違う。
今までとケロ子の動作速度が異なっている。
「はっやーい」
マリーが茶化すように言う。
ケロ子の棒はマリーゴールドまで届いていない。
ケロ子が踏み込んでくる。
その足の進路をマリーの革鞭が打った。
ケロ子の踏み出しが止まる。
棒を勢いのまま振る。
けど、マリーには届かない。
「『身体強化』も使いこなしてる。
ホントウに16歳とは思えないわ。
子供の頃から何かの武道をやってたのかしら?」
「いえっ、子供の頃はそんなに……
頑張って鍛えてるだけですっ」
ケロ子に子供の頃は無い。
ショウマさまの前で産まれた。
その時から既にケロ子は今のケロ子。
「うふふ、じゃあ私も」
『身体強化』
鞭を持った女性が唱える。
そうだ、マリーさんだって武道家。
『身体強化』を使える。
ケロ子は少し焦り出す。
実力で負けている気がしてしまった。
『身体強化』を使って追いついた。
そのつもりだったのにマリーさんにも使われてしまった。
うー。
負けないっ。
ケロ子は大上段に構える。
棒を頭の上に振りかぶる。
「ハァッ」
気合と共に飛び出す。
素早く足を踏み込む。
その勢いで棒を振り下ろす。
振り下ろしつつ、棒の持ち位置を移動する。
マリーさんから見れば予想より棒が長く伸びてくる事になるハズ。
タケゾウさんから教えてもらった。
ケロ子は少しだがタケゾウとも訓練している。
マリーさんが後ろに下がれば狙い通り。
後ろに下がって避けられるハズの棒がマリーさんまで届く。
ところがマリーさんは前に出てくる。
ケロ子の方に一歩踏み出す。
鉄鞭でケロ子の棒を横にずらす。
彼女の体には当たらない軌道。
勢いを殺されたっ。
狙いも外されたっ。
でも驚いてはいられない。
横にずらされた棒
そのままマリーさんの横を下まで振り抜く。
棒の回転を利用する。
手の中でクルンと回す。
棒の逆側を先端に下段から上へと攻撃。
ケロ子は下から上へと棒を払う。
マリーさんはそれさえも避ける。
体勢も崩してない。
今の、上半身の動きだけで避けたっ。
「アイタッ」
ケロ子は棒を落としかける。
マリーさんのムチ。
見えないところからケロ子の手を打った。
ケロ子とマリーさんは至近距離。
近接での攻防。
ケロ子の視界の外から革鞭が襲ってきたのだ。
素手だったら大ダメージ。
でも革のグローブを身に着けてる。
ショウマさまに買ってもらった六尺棒。
落とすものかっ。
どうしようっ。
まだマリーさんからはまともに攻撃して来てない。
ケロ子の攻撃を躱して軽く反撃。
まだ本気を出してないのがケロ子にだって分かる。
もっと強く。
もっと強くなりたい。
強くなる方法が有る気がする。
ケロ子はまた仕掛ける。
今度は下段に棒を払う。
足元を大きく攻撃。
相手は簡単には躱せない。
だけどマリーさんが鉄鞭で受け止める。
ケロ子の棒を受け流しながら革鞭で攻撃。
革鞭の動きは大きくしなり読みづらい。
マリーさんが手元でちょっと調整するだけで方向を変えたりする。
ショウマは観察している。
動きの速さ。
踏み込む速度。
棒の攻撃力。
それらで言えばケロ子は劣っていないと思う。
むしろマリーさんよりケロ子の方が速いかもしれない。
だけどマリーは手練れだ。
熟練の技。
戦闘方法が確立している。
右手の鉄鞭で相手の攻撃をガード。
受け流し、攻撃に集中してる相手を視界の外から革鞭で打つ。
パチン。
いきなり音が響く。
「アッ」
ケロ子が座り込むのがショウマに見える。
何が有ったの!?。
マリーさんの攻撃は喰らわなかったハズ。
「あらあら」
マリーさんが近寄って上着をケロ子に掛けてる。
「大丈夫?
ケロ子、どうしたの」
「す、すいませんっ。
ショウマさまっ」
「ご主人様、近付いちゃダメですよ。心配はご無用です。革鎧が切れた音ですよ。
ケガはしてないです」
みみっくちゃんが言う。
革鎧が壊れた?
そっか。
激しく動き回ってるものな。
ケロ子の革鎧は体にピッタリした薄手のヤツ。
ケロ子の体のフォルムが出るエロカッコいいヤツなのだ。
薄手だし破れる事もあるかも。
「聖者サーマッ。
彼女の鎧少し考えてあげて」
ええっ。
どういうコト。
あの鎧はショウマなりに選んだケロ子がカッコ良く見えるヤツなのだ。
エロカッコ良くだけど。
「『身体強化』よ。
あれを使うと筋肉が普段より多くなる。
体を動かしてない時ならなんて事はないんだけど。
今みたいに戦闘で全身の筋肉使ってたら……
多分鎧がパンパンで苦しかったハズよ」
「…………」
ケロ子の体が一瞬大きくなった。
そんな風にショウマには見えた。
棒を八双に構えるケロ子。
左足を前に体を横にして棒を右側に構える。
ショウマから見ると野球のバッティングフォーム風。
そのまま棒を大きく振りつつマリーさんの方へ。
速度が違う。
棒の唸る音が違う。
今までとケロ子の動作速度が異なっている。
「はっやーい」
マリーが茶化すように言う。
ケロ子の棒はマリーゴールドまで届いていない。
ケロ子が踏み込んでくる。
その足の進路をマリーの革鞭が打った。
ケロ子の踏み出しが止まる。
棒を勢いのまま振る。
けど、マリーには届かない。
「『身体強化』も使いこなしてる。
ホントウに16歳とは思えないわ。
子供の頃から何かの武道をやってたのかしら?」
「いえっ、子供の頃はそんなに……
頑張って鍛えてるだけですっ」
ケロ子に子供の頃は無い。
ショウマさまの前で産まれた。
その時から既にケロ子は今のケロ子。
「うふふ、じゃあ私も」
『身体強化』
鞭を持った女性が唱える。
そうだ、マリーさんだって武道家。
『身体強化』を使える。
ケロ子は少し焦り出す。
実力で負けている気がしてしまった。
『身体強化』を使って追いついた。
そのつもりだったのにマリーさんにも使われてしまった。
うー。
負けないっ。
ケロ子は大上段に構える。
棒を頭の上に振りかぶる。
「ハァッ」
気合と共に飛び出す。
素早く足を踏み込む。
その勢いで棒を振り下ろす。
振り下ろしつつ、棒の持ち位置を移動する。
マリーさんから見れば予想より棒が長く伸びてくる事になるハズ。
タケゾウさんから教えてもらった。
ケロ子は少しだがタケゾウとも訓練している。
マリーさんが後ろに下がれば狙い通り。
後ろに下がって避けられるハズの棒がマリーさんまで届く。
ところがマリーさんは前に出てくる。
ケロ子の方に一歩踏み出す。
鉄鞭でケロ子の棒を横にずらす。
彼女の体には当たらない軌道。
勢いを殺されたっ。
狙いも外されたっ。
でも驚いてはいられない。
横にずらされた棒
そのままマリーさんの横を下まで振り抜く。
棒の回転を利用する。
手の中でクルンと回す。
棒の逆側を先端に下段から上へと攻撃。
ケロ子は下から上へと棒を払う。
マリーさんはそれさえも避ける。
体勢も崩してない。
今の、上半身の動きだけで避けたっ。
「アイタッ」
ケロ子は棒を落としかける。
マリーさんのムチ。
見えないところからケロ子の手を打った。
ケロ子とマリーさんは至近距離。
近接での攻防。
ケロ子の視界の外から革鞭が襲ってきたのだ。
素手だったら大ダメージ。
でも革のグローブを身に着けてる。
ショウマさまに買ってもらった六尺棒。
落とすものかっ。
どうしようっ。
まだマリーさんからはまともに攻撃して来てない。
ケロ子の攻撃を躱して軽く反撃。
まだ本気を出してないのがケロ子にだって分かる。
もっと強く。
もっと強くなりたい。
強くなる方法が有る気がする。
ケロ子はまた仕掛ける。
今度は下段に棒を払う。
足元を大きく攻撃。
相手は簡単には躱せない。
だけどマリーさんが鉄鞭で受け止める。
ケロ子の棒を受け流しながら革鞭で攻撃。
革鞭の動きは大きくしなり読みづらい。
マリーさんが手元でちょっと調整するだけで方向を変えたりする。
ショウマは観察している。
動きの速さ。
踏み込む速度。
棒の攻撃力。
それらで言えばケロ子は劣っていないと思う。
むしろマリーさんよりケロ子の方が速いかもしれない。
だけどマリーは手練れだ。
熟練の技。
戦闘方法が確立している。
右手の鉄鞭で相手の攻撃をガード。
受け流し、攻撃に集中してる相手を視界の外から革鞭で打つ。
パチン。
いきなり音が響く。
「アッ」
ケロ子が座り込むのがショウマに見える。
何が有ったの!?。
マリーさんの攻撃は喰らわなかったハズ。
「あらあら」
マリーさんが近寄って上着をケロ子に掛けてる。
「大丈夫?
ケロ子、どうしたの」
「す、すいませんっ。
ショウマさまっ」
「ご主人様、近付いちゃダメですよ。心配はご無用です。革鎧が切れた音ですよ。
ケガはしてないです」
みみっくちゃんが言う。
革鎧が壊れた?
そっか。
激しく動き回ってるものな。
ケロ子の革鎧は体にピッタリした薄手のヤツ。
ケロ子の体のフォルムが出るエロカッコいいヤツなのだ。
薄手だし破れる事もあるかも。
「聖者サーマッ。
彼女の鎧少し考えてあげて」
ええっ。
どういうコト。
あの鎧はショウマなりに選んだケロ子がカッコ良く見えるヤツなのだ。
エロカッコ良くだけど。
「『身体強化』よ。
あれを使うと筋肉が普段より多くなる。
体を動かしてない時ならなんて事はないんだけど。
今みたいに戦闘で全身の筋肉使ってたら……
多分鎧がパンパンで苦しかったハズよ」
「…………」
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。

異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる