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第三章 亜人の村はサワガシイ

第198話 亜人の村の日々その6

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そのままユキトの家にも行ってみるショウマ。
女性達がナデシコさんとイチゴちゃんと一緒に革細工している筈だ。

「あっ聖者サマ」
イチゴちゃんがショウマに気付いて走ってくる。

初めて会った時、人形のようと感じた少女はスッカリ元気になった。
足が石化していたのが治ったのだ。

「イチゴちゃんっ。
 元気っ」
「うん、ケロコ姉。
 元気だよっ。
 今日はどうしたの?」

「散歩がてら様子を見に来ただけだよ」

ナデシコさんも近づいてくる。
石化して寝込んでいた女性は今や革の魔法武具製作班のリーダー格なのだ。

「聖者サマ、こんにちは」
色っぽく微笑むナデシコさん。

二児の母だというのが信じられないくらい、彼女は若くて色っぽい。
実はショウマは彼女とムニャムニャしてしまった。
御殿でショウマが従魔少女と昼間っからムニャムニャしてたトコを見られてしまったのだ。
石化を治したお礼に改めて来たナデシコさん。
そいでもって、お礼をどうしたらいいのかしらというナデシコさん。
うわー、年上の女性、色っぽいなーというショウマの視線に気づかないほど鈍感じゃ無かった。
ユキト、イチゴの父は大分以前に亡くなったらしい。
独り身で寂しさを感じていた彼女とショウマはムニャムニャムニャ。
そんなカンジ。


「ナデシコさん。
 製作班の調子はどう?」
「順調です。
 みんなやり方を覚えてくれたのでペースは上がっていくと思います」

『野獣の森』で手に入れた材料で魔法武具を作る。
それを街で売って大金持ちになろう作戦。

作戦は順調だ。
門の兵士達にはみみっくちゃんを覚えてもらった。
一度ショウマと出向き、彼女に関してはショウマの従者なんでよろしくね、と指輪を見せながらせまった。
女隊長は直角礼で承知した。

みみっくちゃんが呑み込んで一気に魔法武具を持っていく。
ミチザネの知り合いと言う商店で販売中。
販売価格の7割がこっちに入ってくる。

「あっ、ケロコさん
 こんにちは」

ユキトだ。
ユキトは今隣の離れにいる事が多い。
作って貰ったのだ、誰かに。
「だから死ぬって言ってんだろ」

従魔用の別宅である。
今そこには“獅子山羊キマイラ”と“土蜘蛛”がいる。

ユキトが従魔師見習いになったのだ。
『野獣の森』から溢れてくる魔獣には人間を襲わない魔獣もいる。
たまに村の人間と波長が合って、飼い犬のようになるのだ。
コノハさんのタマモもそうだ。

ユキトは実は“獅子山羊”を飼っていた。
たまにショウマ達の食卓に持ってきていたヤギの乳。
あれは“獅子山羊”の乳だったらしい。

ウソでしょ。
僕もう飲んじゃったよ。
頭が獅子、身体は山羊という魔獣。
どう見てもバケモノだ。
大丈夫かな。
お腹壊したりしない?

子供の時魔獣を飼っている経験が有ると従魔師になりやすい。
正にコノハさんがそれ。
ユキトも成人を待たずに従魔師見習いになった。
本人は戦士になりたかったみたい。
丁度良い、そのまま『野獣の森』で“土蜘蛛”をボコボコにしてユキトの従魔にした。

「えっ! やだよ。
 オレあんまりムシ好きじゃないんだ」
そういうユキトだったが、ケロ子がお願いしたらすぐ気が変わった。

魔法武具作るのに『土蜘蛛の糸』も必要なのだ。
ドロップ品だけど、“土蜘蛛”捕まえたら量産できないかな。
目論見は当たった。
1日3個~5個従魔にした“土蜘蛛”は吐き出してくれた。

『土蜘蛛の糸』はベンリだった。
かなり高品質な糸として使える。
普通の服や織物の材料としても使える。
品質は絹よりキレイで丈夫。

エリカは言ってた

「蜘蛛が吐き出した糸で作った!?
 そんな服着れるワケないじゃない」

「絹糸で作った服、持ってないの?」
「持ってるわよ。
 とっておきの下着が絹製……
 って何聞き出そうとしてるのよ!」

「いや、何もしてないけど」
「エリカ様、ご存じないのですか?
 ミチザネは知っていますぞ。
 絹糸も虫が吐き出したモノです。
 蚕という蛾の幼虫が体から出した糸です」

「ウソでしょ。
 ミチザネまで、エリカを担ごうとしたってダマされないわ」

いや、ホントウなんだけどな。



「兄ちゃん。
 また『野獣の森』に連れってくれよ。
 戦士になりたいんだよ。
 成人するまでに戦っておけば戦士になれるかも」
「従魔師の方が貴重だからなー。
 そっちの方が絶対稼げるよ」

「稼げる?
 そうか嫁や子供を養っていける……
 でも戦士の方がカッコイイ。
 しかし経済力も……」

ユキトはチラチラとケロ子の方を見ながら考え出してしまった。
放っておこう。



さてコノハさんの家も近い。
ついでに寄って行こうかな。


「こんにちはー。
 サツキさん調子はどう」

「うわ、来やがった」
チェレビーが顔をしかめる。
ショウマにすっかり苦手意識を持ったらしい。

サツキさんとコノハさん、チェレビーを中心に戻って来た女性達が薬作り班として働いてる。

「ショウマさん……
 こんにちは」
コノハさんは挨拶はしたものの横を向いてしまった。

なんだかこのところショウマを避けてる雰囲気なのだ。
ショウマの方も気まずい。
まずタマモを自分の従魔にしてしまった。
火急の際だったから仕方ないと思うけど、コノハさんの従魔の横取りだ。
それなんてNTR?
コノハさんはその事に気付いてるんだかどうだか。

さらに気まずい理由も有る。
「あっ、聖者サマ」
嬉しそうに笑いながらやってくるサツキさん。
コノハさんの母親とは思えないくらい若い。

ショウマは実はサツキさんともムニャムニャムニャ。
コノハの父親は大分以前に無くなっていて一人で寂しかった彼女。
ショウマにお礼にやってきて……以下略。

「チェレビーさんのお陰で大分レシピが増えました。
 今なら、相手をマヒにする薬や毒に犯す薬も作れます」

「あはははは。
 攻撃系の薬はホドホドにね。
 亜人じゃない冒険者も増えてるから、
 彼らの分の回復薬を必要になってくるんだ」
「はい、おまかせください」

サツキさんはニッコリ笑う。
コノハさんに似て身長は低め。
体形の良く分からない服を着てるけど。
実は凹凸の有るボディをしていらっしゃるのだ。
良く似た母娘。
その脱がした身体も確認してしまったショウマである。
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