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第三章 亜人の村はサワガシイ
第171話 イタチその2
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「なるほどですよ。運び人になったイタチは『収納』の使い方を研究したですね。そのまま運び人として活躍できなかったですか。村で求められていたのは戦士ですか。そうかもしれませんね」
そう言ってるのは誰なのか。
誰かにイタチは話している。
子供の頃の話。
誰にも話さなかった。
話せなかった事。
子供の頃だ。
幼いころからイタチは頭が良かったと思う。
物事を考えるのが好きだった。
自分達は亜人だ。
周りにはいろんな人達が暮らしている。
翼の有る人、角の有る人、身体が緑色の人。
でも仲が良い。
あまりケンカ騒ぎも起きない。
何故ならほとんどの者が帝国のアチラコチラから逃げて来た者だからだ。
ここに来れば、同じ亜人の仲間と暮らせる。
そう思ってやってくる。
この村の暮らしだってそこまで楽ではない。
しかし、他の場所に比べれば。
キチンと働く。
農作業をする。
村の仕事を手伝う。
若いモノなら戦士として戦う。
そうすれば仲間として認められるのだ。
帝国の他の場所では必ずしもそうではない。
森や湖に囲まれている。
食料にも大きく困る事は無い。
だから仲が良い。
そういうのって本当に仲良いって言うのかな。
単に弱い者同士がくっついてるだけじゃない。
そんな話を女の子とする。
隣の家の子。
男の子はすぐ戦闘訓練だと言ってケンカをしたがる。
イタチはどちらかと言うと体が弱いのだ。
やられ役になるに決まってる。
やられ役をやりたがる人間がいるだろうか。
そんなモノになりたがるハズが無い。
イタチの考える事って難しいよ。
ひねくれてるよ。
そんなイヤな見方しなくてもいいじゃない。
女の子はそう言いながらも聞いてくれる。
イタチはもう10歳。
10歳くらいになったら男の子は『野獣の森』探索に参加する。
見習いとして戦士達に付いて行くのだ。
別に決まってる訳じゃないけど、みんなそうだ。
キバトラなんか8歳でもう参加していた。
アイツは体が大きい。
力も強い。
8歳でも10歳の子より大きかった。
イタチもそろそろ行かないと。
いつまでもやられ役ではいられない。
武器はどうしよう。
まともに剣の練習をしたことが無い。
槍にしよう。
中距離からの攻撃が出来る。
先頭に立って突っ込んでいき戦う。
そういうのはイタチに向いていない。
それは他の男に任せる。
キバトラとかにお似合いだ。
キバトラだけじゃなく、剣や斧を持って突っ込んでいって戦いたがる男は多い。
同じことをしたらイタチは出遅れる。
魔獣に向かって突っ込んでいく。
その時に必ず躊躇してしまうだろう。
正面で戦うより脇から支援する方が自分に向いてる。
周りの大人達に大丈夫かと言われつつ、『野獣の森』探索に参加する。
イタチは同年代の子供より細い。
体が出来ていないのが分かる。
心配する者もいた。
女の子が見送りに来てくれた。
イタチ、頑張ってね。
ケガしないよう気を付けてね。
今さら止めるワケにはいかない。
思ったより上手くいったと思う。
イタチは落ち着いて行動できた。
戦士達に魔獣の話は聞いていた。
あれは“火鼠”。
火を吐いてくる。
喰らうと大人の戦士でも一撃で大ケガする。
注意して避けてから攻撃するのだ。
あれは“猩猩”。
戦闘力は大したことない。
でも冒険者達のドロップ品を盗んでいく。
戦闘中と思って荷物を脇に置いておいたりすると持っていってしまう。
嫌われ者の魔獣だ。
イタチが気づいたお陰で、チームは何も盗まれずに済んだ。
戦士達も褒めてくれた。
やるじゃないか。
腕力自慢のヤツだけじゃなくて注意深いヤツも必要だからな。
オマエならいい戦士になるぜ。
戦士を引退した老人たちに事前に話を聞いておいて良かった。
何とかなった。
大人の戦士達に認められたのだ。
同年代の子供にバカにされることも少なくなるだろう。
オレは上手くやった。
そう思っていたのに。
上手くやったハズなのに。
何故こうなったんだ。
イタチは魔獣に攫われた。
“埋葬狼”に。
「そうですか、子供の時に攫われたですか。それは不安だったでしょう。大変だったねですよ、イタチ」
少女が言う。
誰だろう。
知ってる女の子じゃない。
何故。
俺はこんな話をしている。
知らない少女に。
【次回予告】
普通、戦士は厚手の鎧を着ている。ボディラインなんて分からない。色気なんぞ皆無なのである。ところがこの女は体のラインが良く分かるのだ。まだ若いだろう。成人したばかりくらいの顔立ち。なのに体は良く育っている。馴染みの娼婦よりもいい肢体。スポンサーである紳士服の男がいなかったら襲い掛かりたいくらいである
「理由はいい。ケロ子殿を連れ去ったのが奴らだとハッキリしたな」
次回 『夕暮れの死闘』
ハチ子、ハチ美はやる気だ。
(ボイスイメージ:銀河万丈(神)でお読みください)
そう言ってるのは誰なのか。
誰かにイタチは話している。
子供の頃の話。
誰にも話さなかった。
話せなかった事。
子供の頃だ。
幼いころからイタチは頭が良かったと思う。
物事を考えるのが好きだった。
自分達は亜人だ。
周りにはいろんな人達が暮らしている。
翼の有る人、角の有る人、身体が緑色の人。
でも仲が良い。
あまりケンカ騒ぎも起きない。
何故ならほとんどの者が帝国のアチラコチラから逃げて来た者だからだ。
ここに来れば、同じ亜人の仲間と暮らせる。
そう思ってやってくる。
この村の暮らしだってそこまで楽ではない。
しかし、他の場所に比べれば。
キチンと働く。
農作業をする。
村の仕事を手伝う。
若いモノなら戦士として戦う。
そうすれば仲間として認められるのだ。
帝国の他の場所では必ずしもそうではない。
森や湖に囲まれている。
食料にも大きく困る事は無い。
だから仲が良い。
そういうのって本当に仲良いって言うのかな。
単に弱い者同士がくっついてるだけじゃない。
そんな話を女の子とする。
隣の家の子。
男の子はすぐ戦闘訓練だと言ってケンカをしたがる。
イタチはどちらかと言うと体が弱いのだ。
やられ役になるに決まってる。
やられ役をやりたがる人間がいるだろうか。
そんなモノになりたがるハズが無い。
イタチの考える事って難しいよ。
ひねくれてるよ。
そんなイヤな見方しなくてもいいじゃない。
女の子はそう言いながらも聞いてくれる。
イタチはもう10歳。
10歳くらいになったら男の子は『野獣の森』探索に参加する。
見習いとして戦士達に付いて行くのだ。
別に決まってる訳じゃないけど、みんなそうだ。
キバトラなんか8歳でもう参加していた。
アイツは体が大きい。
力も強い。
8歳でも10歳の子より大きかった。
イタチもそろそろ行かないと。
いつまでもやられ役ではいられない。
武器はどうしよう。
まともに剣の練習をしたことが無い。
槍にしよう。
中距離からの攻撃が出来る。
先頭に立って突っ込んでいき戦う。
そういうのはイタチに向いていない。
それは他の男に任せる。
キバトラとかにお似合いだ。
キバトラだけじゃなく、剣や斧を持って突っ込んでいって戦いたがる男は多い。
同じことをしたらイタチは出遅れる。
魔獣に向かって突っ込んでいく。
その時に必ず躊躇してしまうだろう。
正面で戦うより脇から支援する方が自分に向いてる。
周りの大人達に大丈夫かと言われつつ、『野獣の森』探索に参加する。
イタチは同年代の子供より細い。
体が出来ていないのが分かる。
心配する者もいた。
女の子が見送りに来てくれた。
イタチ、頑張ってね。
ケガしないよう気を付けてね。
今さら止めるワケにはいかない。
思ったより上手くいったと思う。
イタチは落ち着いて行動できた。
戦士達に魔獣の話は聞いていた。
あれは“火鼠”。
火を吐いてくる。
喰らうと大人の戦士でも一撃で大ケガする。
注意して避けてから攻撃するのだ。
あれは“猩猩”。
戦闘力は大したことない。
でも冒険者達のドロップ品を盗んでいく。
戦闘中と思って荷物を脇に置いておいたりすると持っていってしまう。
嫌われ者の魔獣だ。
イタチが気づいたお陰で、チームは何も盗まれずに済んだ。
戦士達も褒めてくれた。
やるじゃないか。
腕力自慢のヤツだけじゃなくて注意深いヤツも必要だからな。
オマエならいい戦士になるぜ。
戦士を引退した老人たちに事前に話を聞いておいて良かった。
何とかなった。
大人の戦士達に認められたのだ。
同年代の子供にバカにされることも少なくなるだろう。
オレは上手くやった。
そう思っていたのに。
上手くやったハズなのに。
何故こうなったんだ。
イタチは魔獣に攫われた。
“埋葬狼”に。
「そうですか、子供の時に攫われたですか。それは不安だったでしょう。大変だったねですよ、イタチ」
少女が言う。
誰だろう。
知ってる女の子じゃない。
何故。
俺はこんな話をしている。
知らない少女に。
【次回予告】
普通、戦士は厚手の鎧を着ている。ボディラインなんて分からない。色気なんぞ皆無なのである。ところがこの女は体のラインが良く分かるのだ。まだ若いだろう。成人したばかりくらいの顔立ち。なのに体は良く育っている。馴染みの娼婦よりもいい肢体。スポンサーである紳士服の男がいなかったら襲い掛かりたいくらいである
「理由はいい。ケロ子殿を連れ去ったのが奴らだとハッキリしたな」
次回 『夕暮れの死闘』
ハチ子、ハチ美はやる気だ。
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