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第一章 ハジマリの地下迷宮
第25話 屍食鬼の罠その2
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「扉ですっ、ショウマさま」
分かれ道から左に進んだショウマとケロ子はすぐに扉にぶつかった。
通路の行きどまりだ。
左右は壁で扉を開ける以外の進む道は無い。
扉の先が部屋なのか、はたまた通路が続いてるのか予想しようもない。
「ひょっとしてコレ?
単純すぎない?」
さきほどケロ子が拾ったカギを取り出すショウマ。
扉のカギ穴に差し込んでみる。
ハマるみたいだ。
「ホントウに?
ウソくさくない?
でも初めてカギのかかった場所が出てきたのか。
ならこのくらい単純でもアリ?」
ブツブツ言いながら扉を開けるショウマである。
中は暗い空間だった。
『明かり』が照らしても果てが見えない。
「広いですっ。
でもここも臭いですっ」
「確かに臭いがさらにキツイね」
広い空間にも関わらず腐臭が充満している。
扉の中にショウマもケロ子も入る。
ガタンと音がした。
ショウマが振り返ると扉が閉まっている。
「うわ、閉じ込められた?
監禁された?
女子高生監禁事件?」
ケロ子が扉を開けようとするが、ビクともしない。
「ダメですっ、ショウマさまっ!」
「うー、やられた。
定番に引っかかった。
仕方ない。
先に進もう。
抜け道か、扉を開ける方法が何処かに有るよ」
『あーかーりー』
ショウマが唱える。
通常より大きな光で空間を照らすつもりだ。
そこは大きな室内だった。
初めて光で照らされた空間。
そこは充満していた!
ナニで?
アンデッドで!
“歩く骸骨”がいる。
大量にいる。
今まで遭遇したのは3体が上限だ。
ショウマは3体までしか出ない敵だなと思ってた。
大間違いだった。
数えきれない骨が歩き廻っている。
“動めく死体”がいる。
骸骨ではない。
まだ人間の形状を留めた死体だ。
一歩歩くたびに腐った液体が零れ落ちていく。
“骸骨犬”がいる。
人間ではない。
犬の死体が、骨が動き廻っているのだ。
身体からはウジが沸き、蠅が飛び廻っている。
その蠅の動きに反応し“骸骨犬”がまた動く。
それらの死体が、
白骨が無数に存在してる。
数十のいや無数の骨が蠢いている。
「!」
「ゾンビ映画?」
「ショウマさまっ」
「グロい!
臭い!
そりゃ臭いよ」
「ケロ子、避けてて。
大きいの行くよ」
ショウマは唱える。
ケロ子の戦闘経験値は一端置いておこう。
こんなのに襲われたらコワイし、服も汚れる。
衣装を汚されるのは無しだ。
『舞い踊る業火』
炎の柱が立ち昇る。
ショウマの前から前方へと。
炎の柱が立ち昇る。
全てを燃やし尽くす。
腐った肉が、汚れた骨が炎に浄化されていく。
「やった。
さすがショウマさまっ」
炎が消えたのを確認してケロ子は前に進み出る。
あんなにいたアンデッドがもういない。
後には燃えカスと骨だけだ。
まだ動く敵が残っていないかケロ子は骨を踏んで回る。
『LVが上がった』
『ショウマは冒険者LVがLV13からLV14になった』
『ケロコは冒険者LVがLV3からLV6になった』
「やりましたっ。
ケロ子、れべるが上がりましたっ。
ショウマさま?」
ケロ子が振り返るとショウマが居ない。
『賢者の杖』が落ちている。
何故か扉が開いている……
女冒険者カトレアは戦っている。
“狂暴鼠”である。
あんまり遭遇したい魔獣じゃない。
素肌を齧られると後で腫れ上がるのだ。
死ぬような毒ではないが、数日は痛む。
ドロップする『ネズミの歯』を持っていけば組合が買い取ってくれるが、たったの5Gだ。
依頼を達成した扱いにもしてもらえない。
カトレアの得意とする弓矢は鼠には向いていない。
どうせなら“吸血蝙蝠”がいい。
弓矢で特攻ダメージが入る。
“吸血蝙蝠”なら組合で『蝙蝠の牙』が10Gで買い取ってもらえる。
ついでに依頼達成扱いしてもらえるのである。
新入りの剣戦士はまあまあだ。
迷宮に慣れていないので文句が多いが、剣の腕は確かだしスタミナも有る。
辺境で警備の仕事をしていたと言っていた。
慣れれば1人前になれるだろう。
問題は従魔師のコノハだ。
まだほとんど戦っていないのに、歩くだけで息が上がっている。
「ネズミなら狐の出番だろ」
「!
はいっ。
タマモ!
お願いです!」
コノハに促され見物していた“妖狐”が正面に進む。
「クゥーウォーーーンン!」
タマモが遠吠えのような雄叫びを放つとネズミは動かなくなっていた。
さっきまでチョロチョロ走り回っていたのが嘘のようだ。
タマモは止まったネズミを爪で切り裂きトドメを刺していく。
全てのネズミを倒すと、カトレアを睨みつける。
「つまんない事させんじゃねーよ」という視線だ。
「えへへ。
タマモの必殺技です」
「遠吠えでマヒを起こさせるのか。
こりゃ使えるぜ」
チームメンバーが口々に言う。
「フーン、
マヒはどんな相手でも効くのかい?」
「えへへ。
動物相手なら大体効きます。
けど失敗する事も有ります。
タマモより体の大きい相手はかかりにくいみたいです」
「コノハは『野獣の森』近くで育ったんだったね」
『野獣の森』は『地下迷宮』『不思議の島』と合わせて三大迷宮だ。
現在人間が入る事の出来るダンジョンはこの3つだけと言われている。
「はい、先月まで。
『野獣の森』を本格的に探索したわけじゃないんですよ。
あそこは『地下迷宮』と違って森から魔獣が溢れて出てきちゃうんです。
そんな魔獣をやっつけていました」
「ならアンデッドと戦った事は無いか?」
「アンデッド……
死体ですか?
えへへー。
見たことありません」
「アンデッドにも効くようなら地下二階に降りてもいいかもね」
「カトレア、急ぎ過ぎだ」
「いくら何でも地下迷宮初心者だぞ」
「ニ階がダメなら三階でどうだ?」
「一緒だよ!」
「三階に行くにはニ階通るだろ!」
「分かってるよ。
冗談だよ、冗談」
「いや本気だっただろ!」
分かれ道から左に進んだショウマとケロ子はすぐに扉にぶつかった。
通路の行きどまりだ。
左右は壁で扉を開ける以外の進む道は無い。
扉の先が部屋なのか、はたまた通路が続いてるのか予想しようもない。
「ひょっとしてコレ?
単純すぎない?」
さきほどケロ子が拾ったカギを取り出すショウマ。
扉のカギ穴に差し込んでみる。
ハマるみたいだ。
「ホントウに?
ウソくさくない?
でも初めてカギのかかった場所が出てきたのか。
ならこのくらい単純でもアリ?」
ブツブツ言いながら扉を開けるショウマである。
中は暗い空間だった。
『明かり』が照らしても果てが見えない。
「広いですっ。
でもここも臭いですっ」
「確かに臭いがさらにキツイね」
広い空間にも関わらず腐臭が充満している。
扉の中にショウマもケロ子も入る。
ガタンと音がした。
ショウマが振り返ると扉が閉まっている。
「うわ、閉じ込められた?
監禁された?
女子高生監禁事件?」
ケロ子が扉を開けようとするが、ビクともしない。
「ダメですっ、ショウマさまっ!」
「うー、やられた。
定番に引っかかった。
仕方ない。
先に進もう。
抜け道か、扉を開ける方法が何処かに有るよ」
『あーかーりー』
ショウマが唱える。
通常より大きな光で空間を照らすつもりだ。
そこは大きな室内だった。
初めて光で照らされた空間。
そこは充満していた!
ナニで?
アンデッドで!
“歩く骸骨”がいる。
大量にいる。
今まで遭遇したのは3体が上限だ。
ショウマは3体までしか出ない敵だなと思ってた。
大間違いだった。
数えきれない骨が歩き廻っている。
“動めく死体”がいる。
骸骨ではない。
まだ人間の形状を留めた死体だ。
一歩歩くたびに腐った液体が零れ落ちていく。
“骸骨犬”がいる。
人間ではない。
犬の死体が、骨が動き廻っているのだ。
身体からはウジが沸き、蠅が飛び廻っている。
その蠅の動きに反応し“骸骨犬”がまた動く。
それらの死体が、
白骨が無数に存在してる。
数十のいや無数の骨が蠢いている。
「!」
「ゾンビ映画?」
「ショウマさまっ」
「グロい!
臭い!
そりゃ臭いよ」
「ケロ子、避けてて。
大きいの行くよ」
ショウマは唱える。
ケロ子の戦闘経験値は一端置いておこう。
こんなのに襲われたらコワイし、服も汚れる。
衣装を汚されるのは無しだ。
『舞い踊る業火』
炎の柱が立ち昇る。
ショウマの前から前方へと。
炎の柱が立ち昇る。
全てを燃やし尽くす。
腐った肉が、汚れた骨が炎に浄化されていく。
「やった。
さすがショウマさまっ」
炎が消えたのを確認してケロ子は前に進み出る。
あんなにいたアンデッドがもういない。
後には燃えカスと骨だけだ。
まだ動く敵が残っていないかケロ子は骨を踏んで回る。
『LVが上がった』
『ショウマは冒険者LVがLV13からLV14になった』
『ケロコは冒険者LVがLV3からLV6になった』
「やりましたっ。
ケロ子、れべるが上がりましたっ。
ショウマさま?」
ケロ子が振り返るとショウマが居ない。
『賢者の杖』が落ちている。
何故か扉が開いている……
女冒険者カトレアは戦っている。
“狂暴鼠”である。
あんまり遭遇したい魔獣じゃない。
素肌を齧られると後で腫れ上がるのだ。
死ぬような毒ではないが、数日は痛む。
ドロップする『ネズミの歯』を持っていけば組合が買い取ってくれるが、たったの5Gだ。
依頼を達成した扱いにもしてもらえない。
カトレアの得意とする弓矢は鼠には向いていない。
どうせなら“吸血蝙蝠”がいい。
弓矢で特攻ダメージが入る。
“吸血蝙蝠”なら組合で『蝙蝠の牙』が10Gで買い取ってもらえる。
ついでに依頼達成扱いしてもらえるのである。
新入りの剣戦士はまあまあだ。
迷宮に慣れていないので文句が多いが、剣の腕は確かだしスタミナも有る。
辺境で警備の仕事をしていたと言っていた。
慣れれば1人前になれるだろう。
問題は従魔師のコノハだ。
まだほとんど戦っていないのに、歩くだけで息が上がっている。
「ネズミなら狐の出番だろ」
「!
はいっ。
タマモ!
お願いです!」
コノハに促され見物していた“妖狐”が正面に進む。
「クゥーウォーーーンン!」
タマモが遠吠えのような雄叫びを放つとネズミは動かなくなっていた。
さっきまでチョロチョロ走り回っていたのが嘘のようだ。
タマモは止まったネズミを爪で切り裂きトドメを刺していく。
全てのネズミを倒すと、カトレアを睨みつける。
「つまんない事させんじゃねーよ」という視線だ。
「えへへ。
タマモの必殺技です」
「遠吠えでマヒを起こさせるのか。
こりゃ使えるぜ」
チームメンバーが口々に言う。
「フーン、
マヒはどんな相手でも効くのかい?」
「えへへ。
動物相手なら大体効きます。
けど失敗する事も有ります。
タマモより体の大きい相手はかかりにくいみたいです」
「コノハは『野獣の森』近くで育ったんだったね」
『野獣の森』は『地下迷宮』『不思議の島』と合わせて三大迷宮だ。
現在人間が入る事の出来るダンジョンはこの3つだけと言われている。
「はい、先月まで。
『野獣の森』を本格的に探索したわけじゃないんですよ。
あそこは『地下迷宮』と違って森から魔獣が溢れて出てきちゃうんです。
そんな魔獣をやっつけていました」
「ならアンデッドと戦った事は無いか?」
「アンデッド……
死体ですか?
えへへー。
見たことありません」
「アンデッドにも効くようなら地下二階に降りてもいいかもね」
「カトレア、急ぎ過ぎだ」
「いくら何でも地下迷宮初心者だぞ」
「ニ階がダメなら三階でどうだ?」
「一緒だよ!」
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