6 / 289
第一章 ハジマリの地下迷宮
第6話 地下迷宮に入るその1
しおりを挟む
冒険者組合の登録は呆気なかった。
ショウマが読み書き出来ると申告すると用紙を渡された。
書くのは名前と年齢、出身地、特技程度だ。
それで冒険者証を渡されてしまった。
胸に止める名札みたいなシロモノだ。
『冒険者証
階級:ラビット
名前:ショウマ
発行:冒険者組合』
これしか書いてない。
ステータスが記されてるとか期待してたのがバカみたいである。
「魔力を調べます……
こっこれはー!?」
みたいなのも無い。
仮に有って注目されるのもお断りなのだが。
そのまま迷宮に向かうショウマ。
場所の検討はついている。
馬車で来る途中に見えていた。
街のはずれに大きな遺跡が有って、入口に人が集まっていたのだ。
「アヤメ、先刻の新人の子どうしたかしら?」
「キキョウ主任。それがいないんです。
加入したら最初に主任から初心者説明が有るって伝えようとしたら、もういなくなっていて」
「初めてこの街にくる子でしょう?」
「はい。16歳、今日成人したばかりみたいです」
未成人のうちにチームの見習いとしてダンジョンに入る者もいる。
もちろん1人前の冒険者が認めて、彼らが見習いをフォローする場合のみだ。
「どこかのチームの見習いかしら?」
「そんなカンジじゃなかったですけど」
「確かに冒険者になろうというにはずいぶん体格が貧相だったわ。
ホントに成人だったの?」
「『真実の水晶』には何の反応も有りませんでした」
普通見習いなら荷物持ちからスタートなのだ。
体力がなければやっていけない。
「まさか一人でダンジョンに入ったんじゃ?」
「そんな度胸ありそうに見えませんでしたよ。ずっとうつむいてて」
アヤメもキキョウも少し気になった。
が、すぐ忘れてしまった。
冒険者組合の受付は忙しいのである。
新人一人にかまけてはいられない。
ショウマは地下迷宮にすでに入っていた。
入り口には見張りらしい人間がいたが、ショウマが冒険者証を着けているのを見ると黙って行かせてくれた。
「うーん。受付で年齢や身元の確認も無かった。
こんなことなら、成人する前から入れたんじゃない」
自己申告を成人年齢にするだけだ。
ショウマは損した気分になっていた。
ショウマは気づいていないが、冒険者登録する者は『真実の水晶』でチェックされている。
申告にウソが有れば水晶が反応する。
ウソの有る者は犯罪歴の有無、現在までの職歴まで慎重に調査されることになる。
ダンジョンに入ると、付近は無骨なレンガ造りの壁が続いていた。
最初は広間があり、すぐ3方に分かれる道が続いている。
広間にはこれからダンジョンに潜るのであろう、装備を確認しているチームや打ち合わせをしているチームがいる。
「チッ 毒消しがもう無いぜ」
「商店で相場の10倍まで跳ね上がってる。とても買えないよ」
「クソッ 3倍値段のうちに買っとくべきだった」
「今日も地下2階はいけないんじゃないか。どうする?」
「右に行って、コツコツ稼ぐしかないか」
ショウマは一切迷わなかった。
だって書いてある。
「ショウマくんへ こっちだよ→」
蛍光ピンクでデカデカと地面に書いてあるのだ。
ご丁寧に矢印まで書いてある。
周囲の冒険者たちを窺がうが、誰も字を気にした様子が無い。
ミカエルはなんて言ってたっけ。
「ダンジョンに到着したら隠し部屋には辿り着けるようにしとくよ」
うん。
確かに辿り着ける。
ショウマは真ん中の道を進んでいった。
ショウマは『明かり』を使う。
広場から道に入るとそこは暗い迷宮だった。
そういえば、広場はカンテラやロウソクで照らしてあった。
暗がりに光の玉が浮かんで、ショウマの上を着いていく。
「暗いな」
ショウマはもう一つ『明かり』を使う。
光の玉が二つになった。
地面は先ほどまでレンガ作りだったのがただの岩肌になっている。
「滑りそうだよ」
ショウマは恐ろしい事にサンダルしか履いていない。
「おい、今のヤツ。真ん中の道を一人で進んでいかなかったか?」
「真ん中? あそこは地下2階への近道だが強敵の多い場所だ」
「一人で行くのはよほどの腕じゃないとムリだぜ」
「イヤ、そんな強そうなヤツじゃなかった」
「チームの後衛じゃねーの」
「それに 今は……」
「あの……バケモノが……」
うーん
冒険者は考える。
さっきのヤツ
布の服にサンダルで、剣すら持ってなかった気がする……
イヤ、さすがにあり得ない
冒険者は自分の記憶を打ち消す。
見間違いだろう。
目立たない武装をしていたのだ。
だって地下迷宮に武装せずに行くやつがいるハズが無い。
ショウマが読み書き出来ると申告すると用紙を渡された。
書くのは名前と年齢、出身地、特技程度だ。
それで冒険者証を渡されてしまった。
胸に止める名札みたいなシロモノだ。
『冒険者証
階級:ラビット
名前:ショウマ
発行:冒険者組合』
これしか書いてない。
ステータスが記されてるとか期待してたのがバカみたいである。
「魔力を調べます……
こっこれはー!?」
みたいなのも無い。
仮に有って注目されるのもお断りなのだが。
そのまま迷宮に向かうショウマ。
場所の検討はついている。
馬車で来る途中に見えていた。
街のはずれに大きな遺跡が有って、入口に人が集まっていたのだ。
「アヤメ、先刻の新人の子どうしたかしら?」
「キキョウ主任。それがいないんです。
加入したら最初に主任から初心者説明が有るって伝えようとしたら、もういなくなっていて」
「初めてこの街にくる子でしょう?」
「はい。16歳、今日成人したばかりみたいです」
未成人のうちにチームの見習いとしてダンジョンに入る者もいる。
もちろん1人前の冒険者が認めて、彼らが見習いをフォローする場合のみだ。
「どこかのチームの見習いかしら?」
「そんなカンジじゃなかったですけど」
「確かに冒険者になろうというにはずいぶん体格が貧相だったわ。
ホントに成人だったの?」
「『真実の水晶』には何の反応も有りませんでした」
普通見習いなら荷物持ちからスタートなのだ。
体力がなければやっていけない。
「まさか一人でダンジョンに入ったんじゃ?」
「そんな度胸ありそうに見えませんでしたよ。ずっとうつむいてて」
アヤメもキキョウも少し気になった。
が、すぐ忘れてしまった。
冒険者組合の受付は忙しいのである。
新人一人にかまけてはいられない。
ショウマは地下迷宮にすでに入っていた。
入り口には見張りらしい人間がいたが、ショウマが冒険者証を着けているのを見ると黙って行かせてくれた。
「うーん。受付で年齢や身元の確認も無かった。
こんなことなら、成人する前から入れたんじゃない」
自己申告を成人年齢にするだけだ。
ショウマは損した気分になっていた。
ショウマは気づいていないが、冒険者登録する者は『真実の水晶』でチェックされている。
申告にウソが有れば水晶が反応する。
ウソの有る者は犯罪歴の有無、現在までの職歴まで慎重に調査されることになる。
ダンジョンに入ると、付近は無骨なレンガ造りの壁が続いていた。
最初は広間があり、すぐ3方に分かれる道が続いている。
広間にはこれからダンジョンに潜るのであろう、装備を確認しているチームや打ち合わせをしているチームがいる。
「チッ 毒消しがもう無いぜ」
「商店で相場の10倍まで跳ね上がってる。とても買えないよ」
「クソッ 3倍値段のうちに買っとくべきだった」
「今日も地下2階はいけないんじゃないか。どうする?」
「右に行って、コツコツ稼ぐしかないか」
ショウマは一切迷わなかった。
だって書いてある。
「ショウマくんへ こっちだよ→」
蛍光ピンクでデカデカと地面に書いてあるのだ。
ご丁寧に矢印まで書いてある。
周囲の冒険者たちを窺がうが、誰も字を気にした様子が無い。
ミカエルはなんて言ってたっけ。
「ダンジョンに到着したら隠し部屋には辿り着けるようにしとくよ」
うん。
確かに辿り着ける。
ショウマは真ん中の道を進んでいった。
ショウマは『明かり』を使う。
広場から道に入るとそこは暗い迷宮だった。
そういえば、広場はカンテラやロウソクで照らしてあった。
暗がりに光の玉が浮かんで、ショウマの上を着いていく。
「暗いな」
ショウマはもう一つ『明かり』を使う。
光の玉が二つになった。
地面は先ほどまでレンガ作りだったのがただの岩肌になっている。
「滑りそうだよ」
ショウマは恐ろしい事にサンダルしか履いていない。
「おい、今のヤツ。真ん中の道を一人で進んでいかなかったか?」
「真ん中? あそこは地下2階への近道だが強敵の多い場所だ」
「一人で行くのはよほどの腕じゃないとムリだぜ」
「イヤ、そんな強そうなヤツじゃなかった」
「チームの後衛じゃねーの」
「それに 今は……」
「あの……バケモノが……」
うーん
冒険者は考える。
さっきのヤツ
布の服にサンダルで、剣すら持ってなかった気がする……
イヤ、さすがにあり得ない
冒険者は自分の記憶を打ち消す。
見間違いだろう。
目立たない武装をしていたのだ。
だって地下迷宮に武装せずに行くやつがいるハズが無い。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
付与術師の異世界ライフ
畑の神様
ファンタジー
特殊な家に生まれ、”付与術”という特殊な能力を持つ鬼道(きどう)彰(あきら)は
ある日罰として行っていた蔵の掃除の最中に変なお札を見つける。
それは手に取ると突然輝きだし、光に包まれる彰。
そして光が収まり、気がつくと彼は見知らぬ森の中に立っていた――――――
これは突然異世界に飛ばされた特殊な能力”付与術”を持つ少年が
異世界で何を思い、何をなすことができるのか?という物語である。
※小説家になろう様の方でも投稿させていただいております。
プラネット・アース 〜地球を守るために小学生に巻き戻った僕と、その仲間たちの記録〜
ガトー
ファンタジー
まさに社畜!
内海達也(うつみたつや)26歳は
年明け2月以降〝全ての〟土日と引きかえに
正月休みをもぎ取る事に成功(←?)した。
夢の〝声〟に誘われるまま帰郷した達也。
ほんの思いつきで
〝懐しいあの山の頂きで初日の出を拝もうぜ登山〟
を計画するも〝旧友全員〟に断られる。
意地になり、1人寂しく山を登る達也。
しかし、彼は知らなかった。
〝来年の太陽〟が、もう昇らないという事を。
>>>
小説家になろう様・ノベルアップ+様でも公開中です。
〝大幅に修正中〟ですが、お話の流れは変わりません。
修正を終えた場合〝話数〟表示が消えます。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる