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第一章 ハジマリの地下迷宮
第3話 序章その3
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「モンスターと戦って倒すと、倒したモンスターが美少女になって、倒した相手に絶対服従してくれる! そんな世界がいい!」
「……です……」
翔馬は美青年に向かって言い切った。
恥ずかしいっ、これは恥ずかしいっ、はぁずぅかぁしぃーっ
翔馬は悶えた。
悶絶した。
身体中掻き毟った。
穴が有ったら入りたいっ
翔馬は周囲を見回した。
白い世界に穴は無かった!
「クッ、穴くらい用意しておいてよ。
こういう事が起きるなんて予想できるじゃないか」
ミカエルからのツッコミは無かった。
美青年は冷静に検討していた。
「うーん、モンスターと闘ってる世界は珍しくない。
モンスターが服従するのもいわゆるテイマー能力で何とかなるかな。
問題は美少女になるところだね。
これはかなりのエクストラスキルを与えないと難しいよね」
「……そうか。
逆に考えて少女が絶対服従する方から探すと楽にイケルかも」
「……あのー、ミカエルさん」
「ああ、うん。
候補が幾つかあるんだけど。
まず、これが楽そうかな」
ミカエルは言って、翔馬の前方に手を振って見せる。
と、そこにはスクリーンのように空間に映像が映し出された。
ウサギ耳の少女だった。
少女だろう。
少女かな?
ウサギ耳はいい。
あれは良いものだ。
でも鼻も口も兎だった。
全身白い毛に覆われ 服を着た二本足で直立した兎である。
これ見たことある!
ピー〇ーラビット!
もちろん翔馬が思う美少女とはちょっと違う。
さらに映像は移り変わる。
虎耳の男である。
これも直立して顔がチョッピリ人間じみただけの虎である。
戦っていた。
無数の虎と兎とが。
当たり前の様に兎たち側の敗色が濃い。
場面は変り、虎たちの前に膝まづく兎たち。
虎たちが兎に乱暴を始める。
半分食われている兎女もいる。
大きな声では言えないが、お尻を出す格好の兎がいてそこに乗っかる虎、要するに交尾を始める虎まで映し出される。
翔馬はポカンとして口を開けるしか出来なかった。
「これ何?
この映像見せてどうしようっての?」
「あれ、分かんないかなぁ。
この世界、人間に似た生物同士が常に闘ってるんだよね。
勝った種族に対して負けた種族は絶対服従する掟なんだ。
ここにチートキャラな強い英雄が現れる。
転生したキミのコトね。
兎人間、猫人間、犬人間やらを打倒し、征服する。
すると兎美少女、猫美少女、犬美少女がキミに絶対服従するワケ。
どう? かなり近くない?」
「イヤ!違う!違う違う!ちぃがぁうぅー!」
翔馬は心の中で叫んだ!
もちろん口からも大声で叫んでいた!
「う~ん、ダメかぁ。
これだと君を強くするだけで条件叶うから、相当強いスキル与えられるんだけどなぁ」
「イヤ。
本当に無理なんで。
ゴメンなさい。
っていうか虎人間、兎少女喰ってたから。
少女喰うとか無いから!
本当に一遍もそういう欲望無いから」
「じゃあ、やっぱりこっちかな」
またミカエルが空間に手を振る。
おなじみ空間映像である。
「今度は世界にダンジョンが有って、そこを探索してモンスターを退治して生計を立てる人たちがいる」
「おおっそれだ。それそれ。そぉれぇーっ!」
映像に映し出されるのは、見たことがあるような巨大迷宮に向かう武装した冒険者たち。
冒険者がモンスターと戦っている。
何頭も倒されていくモンスター。
その中に立ち上がり、冒険者を見つめるモンスターがいる。
それを受け入れる冒険者。
杖を持ち軽装備に身を包む男だ。
モンスターが彼の仲間になる。
すでにモンスターを仲間として従えている冒険者も映し出される。
これである。
翔馬が思い描くイメージの世界そのままだと言っていい。
「テイマースキルを持つ者が倒すと退治されたモンスターが仲間になるんだ。
絶対服従とまではいかないみたいだけど、そこはテイマーとしての腕次第だね。
どうだい? 雰囲気は近いと思うんだけど。」
「これ。絶対これ」
翔馬は即答する。
「分かったよ。
そいで美少女になっての部分が問題なんだけど、
テイマーは自分の従魔になったらそのステータス・スキルや装備を多少変更できる力があるんだよね。
ここんとこエクストラスキルを創造して『従魔を美少女にする』にしちまおう。
けっこう無理やりだけど実行可能だと思えるのはこの方向くらいだね。」
「素晴らしいっ、さすが大天使様っ。
最初金髪の怪しいチャラ男と思ってスイマセンでしたぁっ」
「怪しいチャラ男と思ってたんだ……」
「ただねぇ。これエクストラスキルを創造するんだ。
だからカルマ値、ほとんど使い切るよ。
いわゆるスッゴイ強いステータスやこれ以上の特殊スキルは不可能だと思って。
金持ちに生まれ変わらせるくらいなら出来るけど。」
「うーん。お金は別に……後で稼げばいいし、普通の家に生まれるでいいよ。
そうだ、なんていうか……
複数の美少女と僕が一緒に住んでても怪しまれない家とか無いですか」
「この世界の常識で考えると……
若い冒険者が複数の美少女と同棲も、迷宮都市に家を持ってるのもけっこう不自然だね。
え~と、どうしよっかな。
すでに有るもので上手くごまかすとすると……」
ゴマカスって言った!
又、ゴマカスって言った!
「ダンジョン内に隠し部屋が有るんだよね。
それを冒険者になったキミが見つけて寝泊まりするでどうかな。
中で5,6人くらいは不便なく生活できるよう改造しておいてあげる」
迷宮内隠し部屋……少しいいかも?
「それって近くには誰も住んでないってコトですか?
ご近所トラブルゼロ?
夜中にゴミ出しても怒られない?」
もしかしてサイコーじゃない?
「どうやらそれで良さそうだね。
じゃぁ産まれるのは迷宮に近い村。
普通の村人だね。
ダンジョンに到着したら隠し部屋には辿り着けるようにしとくよ。
ステータスは今のキミの能力そのままになる。
それが一番カルマ値を使わない方法だ」
ミカエルは翔馬の全身をジロジロ見る。
ハッキリ言って翔馬はスポーツと名の付くものをやったことが無い。
中学で運動の時間に一度も参加しなかったのはダテじゃないのだ。
翔馬本人が命懸けでモンスターと戦うのは不可能だ。
インポッシブル!
無理言ってんじゃねーよってヤツだ。
「ダンジョンで戦うのは命懸けだよ。
子供のうちに鍛えておくしかない。
あっちの世界で鍛えた分はそのまま能力にプラスされるから」
「大丈夫っす。
仲間にした美少女に戦ってもらうんで」
翔馬は答えていた。
「……まぁいいか。
専用装備は厳しいけど、すぐリタイアされても困るし、オマケ。」
どこから取り出したのか、杖を翔馬に差し出す。
「『賢者の杖』だよ。
キミの魔力で使える魔法なら全ての魔法を覚えた状態になる。
本来のあの世界にも有るモノだからこれ位ならあげられる。
と言っても普通じゃ手に入らない上級装備だから大事にしてよ」
「はいっ。ありがとうございますっ。
一生ついていきますっ」
「もう翔馬くんの一生は終わり。
これから別の世界で別の人生だよ」
【次回予告】
何も変わらない日々。
少年は歪んだ世界に腐っていた。
闇に落ちる自分を見つめるだけで何も出来ない。
人が生きるとはそういう事なのか?
だが、しかし少年の前に開かれたのだ。
新たなる世界への扉が。
「イヤ!違う!違う違う! ちぃがぁうぅー!」
次回、『旅立ちのショウマ』
扉の先にもまた闇が待つ。
Not even Justice, I want to get Truth
(ボイスイメージ:銀河万丈(神)でお読みください)
「……です……」
翔馬は美青年に向かって言い切った。
恥ずかしいっ、これは恥ずかしいっ、はぁずぅかぁしぃーっ
翔馬は悶えた。
悶絶した。
身体中掻き毟った。
穴が有ったら入りたいっ
翔馬は周囲を見回した。
白い世界に穴は無かった!
「クッ、穴くらい用意しておいてよ。
こういう事が起きるなんて予想できるじゃないか」
ミカエルからのツッコミは無かった。
美青年は冷静に検討していた。
「うーん、モンスターと闘ってる世界は珍しくない。
モンスターが服従するのもいわゆるテイマー能力で何とかなるかな。
問題は美少女になるところだね。
これはかなりのエクストラスキルを与えないと難しいよね」
「……そうか。
逆に考えて少女が絶対服従する方から探すと楽にイケルかも」
「……あのー、ミカエルさん」
「ああ、うん。
候補が幾つかあるんだけど。
まず、これが楽そうかな」
ミカエルは言って、翔馬の前方に手を振って見せる。
と、そこにはスクリーンのように空間に映像が映し出された。
ウサギ耳の少女だった。
少女だろう。
少女かな?
ウサギ耳はいい。
あれは良いものだ。
でも鼻も口も兎だった。
全身白い毛に覆われ 服を着た二本足で直立した兎である。
これ見たことある!
ピー〇ーラビット!
もちろん翔馬が思う美少女とはちょっと違う。
さらに映像は移り変わる。
虎耳の男である。
これも直立して顔がチョッピリ人間じみただけの虎である。
戦っていた。
無数の虎と兎とが。
当たり前の様に兎たち側の敗色が濃い。
場面は変り、虎たちの前に膝まづく兎たち。
虎たちが兎に乱暴を始める。
半分食われている兎女もいる。
大きな声では言えないが、お尻を出す格好の兎がいてそこに乗っかる虎、要するに交尾を始める虎まで映し出される。
翔馬はポカンとして口を開けるしか出来なかった。
「これ何?
この映像見せてどうしようっての?」
「あれ、分かんないかなぁ。
この世界、人間に似た生物同士が常に闘ってるんだよね。
勝った種族に対して負けた種族は絶対服従する掟なんだ。
ここにチートキャラな強い英雄が現れる。
転生したキミのコトね。
兎人間、猫人間、犬人間やらを打倒し、征服する。
すると兎美少女、猫美少女、犬美少女がキミに絶対服従するワケ。
どう? かなり近くない?」
「イヤ!違う!違う違う!ちぃがぁうぅー!」
翔馬は心の中で叫んだ!
もちろん口からも大声で叫んでいた!
「う~ん、ダメかぁ。
これだと君を強くするだけで条件叶うから、相当強いスキル与えられるんだけどなぁ」
「イヤ。
本当に無理なんで。
ゴメンなさい。
っていうか虎人間、兎少女喰ってたから。
少女喰うとか無いから!
本当に一遍もそういう欲望無いから」
「じゃあ、やっぱりこっちかな」
またミカエルが空間に手を振る。
おなじみ空間映像である。
「今度は世界にダンジョンが有って、そこを探索してモンスターを退治して生計を立てる人たちがいる」
「おおっそれだ。それそれ。そぉれぇーっ!」
映像に映し出されるのは、見たことがあるような巨大迷宮に向かう武装した冒険者たち。
冒険者がモンスターと戦っている。
何頭も倒されていくモンスター。
その中に立ち上がり、冒険者を見つめるモンスターがいる。
それを受け入れる冒険者。
杖を持ち軽装備に身を包む男だ。
モンスターが彼の仲間になる。
すでにモンスターを仲間として従えている冒険者も映し出される。
これである。
翔馬が思い描くイメージの世界そのままだと言っていい。
「テイマースキルを持つ者が倒すと退治されたモンスターが仲間になるんだ。
絶対服従とまではいかないみたいだけど、そこはテイマーとしての腕次第だね。
どうだい? 雰囲気は近いと思うんだけど。」
「これ。絶対これ」
翔馬は即答する。
「分かったよ。
そいで美少女になっての部分が問題なんだけど、
テイマーは自分の従魔になったらそのステータス・スキルや装備を多少変更できる力があるんだよね。
ここんとこエクストラスキルを創造して『従魔を美少女にする』にしちまおう。
けっこう無理やりだけど実行可能だと思えるのはこの方向くらいだね。」
「素晴らしいっ、さすが大天使様っ。
最初金髪の怪しいチャラ男と思ってスイマセンでしたぁっ」
「怪しいチャラ男と思ってたんだ……」
「ただねぇ。これエクストラスキルを創造するんだ。
だからカルマ値、ほとんど使い切るよ。
いわゆるスッゴイ強いステータスやこれ以上の特殊スキルは不可能だと思って。
金持ちに生まれ変わらせるくらいなら出来るけど。」
「うーん。お金は別に……後で稼げばいいし、普通の家に生まれるでいいよ。
そうだ、なんていうか……
複数の美少女と僕が一緒に住んでても怪しまれない家とか無いですか」
「この世界の常識で考えると……
若い冒険者が複数の美少女と同棲も、迷宮都市に家を持ってるのもけっこう不自然だね。
え~と、どうしよっかな。
すでに有るもので上手くごまかすとすると……」
ゴマカスって言った!
又、ゴマカスって言った!
「ダンジョン内に隠し部屋が有るんだよね。
それを冒険者になったキミが見つけて寝泊まりするでどうかな。
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ミカエルは翔馬の全身をジロジロ見る。
ハッキリ言って翔馬はスポーツと名の付くものをやったことが無い。
中学で運動の時間に一度も参加しなかったのはダテじゃないのだ。
翔馬本人が命懸けでモンスターと戦うのは不可能だ。
インポッシブル!
無理言ってんじゃねーよってヤツだ。
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子供のうちに鍛えておくしかない。
あっちの世界で鍛えた分はそのまま能力にプラスされるから」
「大丈夫っす。
仲間にした美少女に戦ってもらうんで」
翔馬は答えていた。
「……まぁいいか。
専用装備は厳しいけど、すぐリタイアされても困るし、オマケ。」
どこから取り出したのか、杖を翔馬に差し出す。
「『賢者の杖』だよ。
キミの魔力で使える魔法なら全ての魔法を覚えた状態になる。
本来のあの世界にも有るモノだからこれ位ならあげられる。
と言っても普通じゃ手に入らない上級装備だから大事にしてよ」
「はいっ。ありがとうございますっ。
一生ついていきますっ」
「もう翔馬くんの一生は終わり。
これから別の世界で別の人生だよ」
【次回予告】
何も変わらない日々。
少年は歪んだ世界に腐っていた。
闇に落ちる自分を見つめるだけで何も出来ない。
人が生きるとはそういう事なのか?
だが、しかし少年の前に開かれたのだ。
新たなる世界への扉が。
「イヤ!違う!違う違う! ちぃがぁうぅー!」
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