あやかしよりまし

葉来緑

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一日目

座敷わらしに願いを

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「この家、オバケが出るんだって! ばっちゃんが子供の頃に見たって言ってた」
「子供の頃って……いったい何年前からあるんだよ? これ……何て読むの? いな……せい?」
「いなおだろ」
「いのうだってよ。ばっちゃんが言ってた」
稲生いのう”と言う表札の前で、ひそひそと噂話が聞こえる。
だが声は甲高く、会話は周囲に筒抜けだ。
声の主は近隣の小学生達だった。
「見えねえけど……カメラにだったら写るかもしれねえな!」
小学生の一人は玄関前から稲生家を見上げ、携帯のカメラを構える。
カーテンの隙間から家の中を覗くように写真を撮った。
子供達は撮影した写真を覗こうとした。
「おい、まずいぞ。逃げろ」
うながされると同時に、子供達は顔を上げてこちらの方向を見る。
「ご、ごめんなさーい!」
子供達はバツが悪そうに、そそくさと脇を通り抜けていった。
逃げていく子供達には目もくれず、真っ直ぐに玄関に向かう。
自分の家である稲生家に辿り着く。
住人の帰宅に、子供達は逃げて行ったのだろう。
決して、傍らに連れている犬が恐ろしい形相をしていたからではないはずだ。
だが、ひとつ気になる事があった。
吽狛うんこま、様子を見てこい」
吽狛うんこまと呼ばれた犬は振り返り、子供達に向かって走り出す。
そして角を曲がり、逃げ遂せたと落ち着いている子供達の群れの中に潜り込んだ。
だが、犬が中央に出現しても、子供達はその存在に気付く様子はない。
「あ、あれ? おかしいな。写真……確かに撮ったはずなのに」
不思議がる子供の群れの中から、犬が姿を現す。
そして主である自分の下へと帰って来た。
「掴まえてきたか、吽狛うんこま
吽狛うんこまと呼ばれた犬は、うなりながら顔をあげる。
その口元には、黒いヒト型の小さい生き物が咥えられていた。
小人を掴む。
小人は怒っているのか、じたばたと暴れていた。
それに呼応してか、小人と同じ外見をした仲間達が塀から姿を現した。
身振り手振りで状況を説明している。
「なになに……え? 着替えをしている時に撮られた?」
手の中の小人は恥ずかしそうに身をよじらせる。
「お前、女の子だったの? と言うか、服を着てたのか?」
どうやら写真を消しに子供の携帯にしがみついていたらしい。
仲間の小人も揃って怒る。
この小人たちは、この家に棲むあやかしだ。
子供の頃から棲んでいるが、真っ黒な外見で未だに見分けがつかない。
一番巨漢の小人が父親の一家らしいが……そして、今手に握っているのは娘さんらしい。何だか恥ずかしそうにもじもじしているからだ。
巨漢がよじ登って来て、娘を奪い取るように担ぐ。
「俺に怒るなよ、それにしても写真になんて、どうせ写らないだろう」
吽狛うんこまが呼応するようにいななく。
犬の姿をした吽狛うんこまも目の前の小人の一家も妖だ。
通常の人間には見えない。
だが、自分の家を見上げると……窓には巨大な顔が写り、
屋根の上には鬼瓦で眼をぎょろりと睨みをきかせ、
庭では顔のある木があくびをしている。
この稲生家は、紛れもない妖怪屋敷だった。
「……1匹くらい写ってもおかしくないかもな」
ため息を吐きながら、玄関の扉を開けた。

がらがらと音を立てながら面格子付の玄関の引き戸を開く。
「お! 修一郎おかえり~」
すると楓姉と遭遇した。
ちょうど出掛ける最中だったらしい。サンダルを履きながら通り過ぎようとする。
「そうそう、これから夕ご飯の買い物に行くんだけどさ。何か食べたい物ある?」
───妙な事を聞かれた。
一般的には普通の会話かもしれないが、この姉は家事が大の苦手だ。
別に出来ない訳じゃない。
やればほぼ完璧にこなす。
しかし、言わないとしない。
言ってもしない。
自分から家事をやると言ってくる時は何か余程の事がある時だ。
(……なんだか、いつもと様子が違うな)
楓姉を観察した。
いつもどおり片手はお菓子で塞がっている。
楓姉は重度のお菓子依存症だ。
太らない体質と言うのもあるのか、一向にやめようとしない。
新作のお菓子があるとひと通り食べてしまう。
どう考えても失敗作と思われる限定お菓子が次々と出されるのは、
この姉のような人達のおかげかもしれない。 
にやけながらお菓子を頬張っており、鼻歌交じりだ。
……だがこれも、良くないことの前兆だ。

とりあえず軽く探りを入れてみる事にする。
「どうしたんだよ何か良い事でもあったのか? ……何か企んでるだろ?」
「別にぃー? 何もないよぉ? ほら、何が食べたいの? 言ってみ?」
眉間にしわを寄せて、怪訝な顔をしてみても、まったく姉は動じない。
息を吐くように嘘をつける人間だ。
仕草から見抜くのは不可能だろう。
(……追求するだけ無駄か、大人しく夕飯を作らせよう) 
「んー、そうだな。カレー……はいつもと同じだからハヤシライスとか食べたいかな」
「ハヤシライス? ……うん! それなら友達の小林から教わったコバヤシライスを披露しようかな! んー、でも今の季節のフグはなあ……代わりにマンボウにするかなぁ……」
「普通のハヤシライスでいいよ。牛肉が良い」
「牛肉? じゃあ最高級の仙台牛のフィレ肉かー、フォン・ド・ヴォーも買わなきゃね」
(……フォン・ド・ヴォーって、あの高級調味料か?)
この人は思い立ったら出費や手段を惜しまない。
食材が一食何千円もする夕食を作りかねないだろう。
無駄遣いだと、止めても無駄だ。

「ま、いいわ。阿狛あこま、行くよー!」
「アー」
廊下のマットに寝転がっていた犬が起き上がり、のそのそと楓姉の身体にすり寄る。
外見は犬だが、犬じゃない。
こいつは楓姉に憑く妖だ。
この稲生家は、先祖代々から超自然的な存在の妖が「見える」血筋であり、
それゆえに害意のある妖を寄せ憑けやすい。
阿狛はそんな妖達から身を守る為の妖であり、守護霊獣とも呼ばれている。
「アー、アー」
阿狛は楓姉の身体をよじ登り、楓姉の肩に乗った。
「最近また太ったんじゃないのか? そんなんで妖から身を守れるのかよ」
ペットは飼い主に似るというが、憑き物も似るんだろうか。
数年前までは神々しい姿だった気もするが、もはや面影はない。
楓姉は不機嫌そうにお菓子を食べながら、頬をふくらませる。
「失礼ねー、太ったんじゃないわよ。丸くなって可愛くなっただけよ。こう見えてもあんたの吽狛うんこまよりは役に立つんだから」
「ウーン」
俺に憑いている妖・吽狛うんこまがうなる。
姉の挑発に反応したらしい。
「ウーン、ウーン」
「アー。アー」
阿狛と吽狛うんこまが唸り合う。
何を話してるかはわからないが、吽狛うんこまが怒ってるいるのはわかる。
阿狛は馬鹿にしたような仕草をしてからかっているからだ。
吽狛うんこまは普段は大人しいが、興奮し出すと手が付けられない。
挑発に乗りやすいとも言える。
(……全く、誰に似たんだか)
吽狛うんこまの定位置も俺の肩の上だ。阿狛と喧嘩しだすとうるさくてかなわない。
「いいから買い物に行くなら行ってきなよ。楓姉の料理は美味いけど作るのに時間がかかるからなー……完成したら深夜だったなんてことはもう勘弁してくれよな」
「む、それもそうね。煮込みの時間短縮で砂糖を使うのはさけたいし……ん、じゃまあ行ってくるわー!」
そう言い残して、楓姉は出かけていった。
「結局、どういう風の吹き回しかわからなかった……油断出来ないな」

楓姉の態度から、何かサプライズでも仕掛けられているのかを予測する。
……すると忌まわしい過去が蘇ってきた。
12月24日、自室に帰ると部屋がクリスマス一色に飾り付けられていた事がある。
ハロウィンの時もイースターエッグの時もそうだ。
鞄を置きに、警戒しながら自室に入る。
────何も変わった様子はなかった。

気を取り直し、夕食の支度の時間が余ったので、
ゆっくりテレビでも見ようと居間に入った。

「がははははははははははははははははは!!

────すると突然、豪快な笑い声が耳に響く。
見ると居間の中央で、巨大な顔がテレビを見て大笑いしてた。

───昔からこの稲生家に棲んでる妖の“おおかむろ”だ。
人を驚かす以外に害はない。
だが、その顔の巨大さで部屋の面積をとってしまうのは困り者だ。
「がはっ?」
俺に気付いたのか、おおかむろは俺のために真ん中の席を空けてくれた。
「お、悪いな、おおかむろ」
言葉は通じないが、居候としての気遣いをしてくれる。
……まあ、こういったのは楓姉のしつけの賜物だろう。
おおかむろの隣に座ってテレビを見ることにした。
……テレビは通信販売の番組だった。
「……おまえ、この番組でどうしてそんなに笑えるんだ? 面白いのか?」
「がははっ!」
────力強く頷く。どうやら面白いらしい。
チャンネルを変えるのがはばかれる。
仕方なく一緒に通販番組をしばらく観る事にした。
あまりに楽しそうに笑うので、もらい笑いをしてしまう。
おおかむろは普通の人間には見えない。
……さぞシュールな光景だろうと思う。
「! そうだ、おおかむろ。楓姉なんかおかしいところなかったか?」
あの上機嫌さには何か裏がある。
「がははっ?」
大きい首を大きく振った。
知らないらしい。
「ふーん……まあいいか」
それ以上は気にせず、いつものようにおおかむろに寄りかかってソファー代わりにする。
番組が一区切りつくまで雑誌でも読むことにした。
────だが、雑誌はおおかむろの下敷きになっていた。
「……悪い、おおかむろ。少し体を浮かしてくれ」
雑誌を取ろうと手を差し込むと、妙な感触がした。
(…………?)
感触は柔らかく、温かかった。
(おおかむろの下に……何がいる?)
「うわっ!?」
思わず飛びのく。
見ると────子供がおおかむろの下敷きになっていた。
「…………」
子供は、意識がなくのびている。
着物を着た小学生くらいの子供だった。
「お、おい!しっかりするんだ!」
軽く揺すってみるが、一向に目を覚ます気配がない。
「まいったな……なんだってんだ? 親戚の子か?」
あまり刺激を与えるのは良くない。
とりあえず病院に電話をしようとする。
受話器をとりダイヤルを回そうとした瞬間に、奇妙な音が響いた。
『……グー』
「? 何の音だ?」
その音は子供の方から聞こえてきた。
振り返り視線をうつす。
いつの間にか子供は気が付いたようだった。
上半身を起こし、ちょこんと正座をしていた。
「…………お」
何か伝えたがっているようだ。
こちらををじっと見つめている。
「お?」
「…………おなか……すいた……」
がく、と力が抜ける。
さっきのは腹の虫だったという事がわかった。
ひとまず安堵したと同時に、楓姉の行動を理解した。
この子に何か食べさせようとしたのだろう。
「はあ……何で何も説明していかないんだろう。まったく、あの姉は……」
「……おなかすいた」
「あ、ああ、わかった。ちょっと待っててくれ」

軽い食材なら家にあるだろうに、と悪態をつきながら台所へ向かう。
だが、夕食の食材を買いに行くと言われた手前、留まった。
きっと、この子の為に出掛けたのだろう。
まだ出掛けていったばかりだ。
携帯に連絡をしたら、本人の部屋から着信音が流れてきた。
「……相変わらず携帯電話を携帯しないな」
どうしようかと横目で子供を見ると、
懇願するような目で、見つめ返された。
こうした状況は苦手だった。
どうしたら良いかわからなくなる。
(やはり楓姉が上機嫌だとロクな事がない……)

子供は本当に空腹そうだった。
軽いものでも作ろうと、台所に向かう。
冷蔵庫を開けると、昨日まであったはずの食材がすっかりなくなっていた。
「……うわあ、また妖に食い荒らされたか?」
家に棲む妖はおおかむろだけではない。

それでもかろうじて食パンや冷凍された残り物のタマネギはあった。
あくまで夕食までのつなぎとして、トーストとオニオンスープをつくって子供の前に差し出した。
「……いただきます」
子供は無心に食べた。
────だが半分も食べない内に手を止め、顔をあげる。
「ごちそうさま」
両手を添え、満足そうに一礼をした。
「ありがとう」
「え? もういいのかい? まだ半分も食べて……口に合わなかったのかな?」
だが子供はゆっくりと首を振った。
「とてもおいしかった……おなかいっぱい」
満足そうにお腹を擦る。
元気がでてきたのか、なおいっそう背筋を伸ばし綺麗に正座していた。
おかっぱ髪で、着物姿が良く似合っている。
どことなく日本人形を連想させた。
中性的な整った顔立ちだが、女の子であるようだ。
────……親戚だろうか?
思い巡らせてみたが心当たりは無い。
この稲生家は特殊な家系だ。
交流はほとんどないが、先祖の血を継ぐ親戚筋はほぼ例外なく妖が見える。
「おい、おおかむろ」
「がはっ?」
お構い無しにテレビを観ていたおおかむろが振り向く。
「この子に謝れ。お前が下敷きにしてのびさせたんだからな」
「がは……」
しょんぼりしながら子供の前でゆっくり頭を傾けた。
少女はおおかむろを目の当りにし、怖気づきながらも、
そっとおおかむろの頭を撫でた。
「……気にしないで」
(妖が見える……それなのに驚いた様子も無い。
────という事はやはり親戚筋なんだろうな?)
まずは名前を聞いてみることにした。
「えっと……初対面だよな? 自己紹介がまだだったな、
俺はこの家の長男の修一郎────稲生修一郎だ。……君の名前は?」
「……名前?」
少女に名前を尋ねると、なぜか首をかしげる。
そして自身の事を指差し、たどたどしくこう言った。
「みんなからはザシキワラシって呼ばれてた」
「────え?」
奇妙な名前に一瞬、あっけにとられた。
だが、次第に状況を理解してきた。
ザシキワラシ────座敷わらしと言うのは妖の一種だ。
この子は……人間じゃなかった。
「あー……妖か。なるほどな」
妖ならひょっこり家に棲み付いててもおかしくない。
人ではないとわかった瞬間、焦った気持ちが落ち着いてくる。
(いやいや……なに安心してるんだ? つくづく日々の生活に毒されているな)
「どうしたの?」
首を振っていると、心配そうにのぞきこまれた。
「ん? あ、いや……あのね、座敷わらしってのは名前じゃないんだよ」
「名前じゃない……じゃあ名前……ない」
少女は少し寂しそうだった。
こんな風にコミュニケーションがとれる妖はまれだ。
人間の言葉が通じるのは人型の妖か、上級の妖だ。
見た目は普通の女の子だけに、心が痛む。
「名前……ほしいの?」
「うん」
「……そうだな、座敷わらしじゃ女の子の名前としては無粋だな」
少女に目をやる。
その着ている着物には可愛い紅葉の模様があった。
「………紅葉もみじってのはどうかな?」
安易だとは思ったが、変に凝るよりは良いと思った。
「………モミジ? もみじ……うん、私……名前……紅葉」
どうやら気に入ってくれたようだ。
噛みしめるように何度も繰り返していた。

なんとなく落ち着いて来たので、疑問に思ったことを聞いてみることにする。
「ところで紅葉、君はどこから来たんだ?」
座敷わらしと言う妖は家を繁栄させるものだと聞く。
離れるとその家は没落するとか。
「あっち」
紅葉は窓の外を指差した。
「あっちの大きい音を立ててたところ」
「あ───」
そこは近所の解体工事が行われてる場所だった。
今は日が暮れて音は鳴り止んでるが、
深夜の制作作業が多い楓姉が良くぼやいていたのを聞いている。
『徹夜明けで仮眠を取ろうとするとさあ……ドリルの音で……むきーッ!』
明け方に寝る人間はこういう状況の場合、何も文句が言えないらしい。
そういう仕事に就いたのを呪うしかないんだろう。
立ち退きなのか立て替えなのかわからないが、少女はあそこにあった家に棲んでいたようだった。
「みんな……どこかに行っちゃった」
寂しそうに紅葉は言う。
「その人たちはきっと新しい家に引っ越したんだよ。立て替えなら一時的に離れてるだけだと思う」
「そうなの?」
確信はもてないが、葬儀がおこなわれてた様子はなかった。
その家の人たちは健在なはずだ。
「どこにいるのかわからない……」
「うーん、たしかに難しいな。業者から連絡先を聞きだすにしても、不審がられるだけだろうし……こう言った事は楓姉が得意なんだけどな」
「たっだいまー!」
玄関から軽快な楓姉の声が聞こえた。
思考によぎっただけで現れた。
噂をすれば影というレベルじゃない。
「お、修一郎もう打ち解けてるのー? うふふ、奥手の修一郎も妖相手だとフレンドリーね」
「……ひとこと言ってから行けよ。親戚かと思ったじゃないか」
「バカねー。親戚かと思わせるために黙ってたんじゃないの」
悪びれもせずに楓姉は言う。
「混乱させて楽しんでいたのか? ……まったく」
「それよりお腹すいたでしょ? 今からおいっしーいご飯作ってあげるから待っててね!」
「大丈夫。おなかいっぱい」
紅葉は満足そうにお腹を擦っていた。
「なぬ? 修一郎、あんた何か変なもの食べさせたんじゃないでしょうね!?」
「変なものって……ほんのトースト一枚とオニオンスープだよ」
大した量じゃなかったし、半分も食べていなかった。
「あぁ、もぉー! 妖はほんの少しの食事で満足するのよ!? ……安っぽいトーストなんか食べさせてさ……せっかく極上の料理で満足させてあげようと思ったのに……」
「あ……そうか。まあ、人間の子供だと思ってたからさ。代わりに俺たちが美味しくいただくよ」
「うぅ、作り甲斐がないなぁ……」
大量の食材を手に、しぶしぶと楓姉は台所へと向かった。
妖ならほんのひと口くらいの食事で充分なはずだ。
匂いで満足する輩もいる。
逆にあれだけ食べたと言うの事は、よほどお腹がすいてたのかもしれない。
紅葉の方を目をやる。
いつの間にやら阿狛とじゃれあっていた。
阿狛は人懐っこいのですぐ打ち解けたようだ。
一方吽狛うんこまの方はなかなか警戒を解かない。
紅葉はそんな吽狛うんこまの様子が気になったのか、そばに寄り頭を撫でようとする。
吽狛うんこまは離れ、威嚇して吼える。
「やめろ吽狛うんこま。その子は安全だ」
吽狛うんこまは大人しくなった。
吽狛うんこまは自律的に行動しているものの、主人である俺の命令には絶対服従する。
紅葉に警戒する気持ちはわかる。
無害そうな外見の性質の悪い妖もいるからだ。
むしろ阿狛やおおかむろの方が警戒心がなさすぎるともいえた。
だが目の前の紅葉は、むしろ吽狛うんこまに対して怯えていた。
「もう大丈夫だよ」
紅葉を安心させる。
こちらを伺い、もう一度おそるおそる撫でてみた。
はじめは固かった吽狛うんこまの物腰も次第に柔らかくなった。
慣れてくると吽狛うんこまも悪い気はしないらしい。
終いには気持ち良さそうに撫でられていた。
「がははははっ!」
この状況の中、おおかむろはひたすらマイペースにテレビを見ていた。
相変わらず通販番組だ。
と、思ってたらチャンネルが変わった。
台所から、仕込みが終わったと思われる楓姉が戻ってきていた。
「あと六時間煮込めば完璧なんだけど……相手があんた達だからねぇー……。
煮込みの時間を短縮させたからあと30分くらいでできるわよ」
六時間……むしろありがたいと思った。
「そうだ楓姉、この子……座敷わらしだろ? どうするんだよ、元の持ち主に返さないと」
「あら修一郎、よくこの子が座敷わらしだってわかったわね? うっふっふっ……そうよー♪ 座敷わらしは福の神よー♪ この子がいると家に富がもたらされるの♪」
楓姉はそのまま俺の両肩をつかみ、ずいっと顔を近づけた。
「だから絶対に手放しちゃダメよ! 何としてでもこの家にいてもらうの!!」
「ご馳走はご機嫌取りのためか」
「極上のひと口を準備したかったのよ!」
(楓姉といえば楓姉らしい……。)
「いや、だから持ち主に返さないと」
「持ち主はもういないわよ」
きっぱりと楓姉は言う。
「買い物に行く途中に調べてきたわ。この子が前にいた家の家族は土地と家屋を売却して、海外に移住したらしいの」
「か、海外ッ!?……って短時間でそこまで調べたのかよ!」
「ふっふっふ。適当な理由つけて直接業者から聞きだしたわ」
「適当な理由が気になるな……───でも海外か……うーん……」
「要するにその子は”はぐれわらし”ってことよ。……ねえ座敷わらしちゃん、あなたの家族はもう遠くに旅立ってしまったの。良かったらここに住みなよ!」
相変わらずストレートな物言いだ。
阿狛や吽狛うんこまとじゃれ合っていた紅葉は、その誘いに戸惑う。
「え…………良いの?」
「いいーって、いいーって。どうせ家は妖だらけなんだし、今更いっぴ……一人くらい増えたところで変わらないわよ」
「あやかし……他にもいるの?」
「うん、いるよ~。まあ常にいるわけじゃないけどね。突然現れたりいなくなったりするわ」
確かに家は妖を寄せつけやすいらしく、実に様々な妖が寄って来る。
「うーん例えばそうねぇ……」
楓姉は窓を開けサンダルをつっかけると庭に出て、納屋から一本の箒を持ってきた。
「これは箒神ほうきがみって言うの。この妖はすごいわよーこれで掃くと嫌な客とか追い返せるのよ。こうした図体の大きい相手でも……」
楓姉はおおかむろを見やる。
「こーやって振りおろすと……」
そしておおかむろに向かって箒神を振り下ろした。
つむじ風が巻き起こる。
おおかむろの巨体は庭の方に吹き飛ばされていった。
「ほら、凄いでしょー♪」
「すごい」
紅葉はぱちぱちと拍手をする。
のそのそと戻ってきたおおかむろは、妙に自慢げだった。
拍手が嬉しいらしい。
「……でもかわいそう」
紅葉は優しくおおかむろについた草や泥を掃った。
「楓姉、あんまりおおかむろをいじめるなよ」
こういう時、どうもおおかむろは実験台にされやすい。
「ほかにも色々居るけど呼んで来るような連中じゃないしね。夜中とか雨の日とか満月にしか現れないやつもいるし」
「……すごい、あやかしがいっぱい」
妖本人に驚かれると何とも微妙な気分になる。
だが、当人にはその自覚はあまり無さそうだった。

「おっと、そろそろ良い頃合いね」
楓姉は食事の準備をするために台所へと行ってしまった。
その準備の手伝いをしに台所に入ると、ハヤシライスの甘酸っぱい美味しそうな香りが漂っている。
匂いに惹かれたのか、今まで姿を現さなかった妖達も現れる。
──ぞろぞろと小さいのがやってきた。
小人の家族だ
一家そろってテーブルの上を片付けたり、食器の準備を手伝ってくれたりする。
手先が器用で、よく楓姉が便利に使ってる。
食卓の上はみるみる綺麗になっていった。

台所の側の裏口の扉が開く。
鼻をひくひくとさせた黒猫が現れた。
一見、ただの黒猫に見えるが、その尻尾は二又に別れている。
「うまそうな匂いがするニャ~」
母親が生まれた時から稲生家に棲んでいる猫又の又三郎だ。
数少ない人間の言葉を喋る妖の一匹だ。
「ム? ……女の匂いがするニャ!」
又三郎はひくつかせた鼻を居間に向ける。
ふすまの向こうの居間には紅葉がいる。
「姐御の友達でも来てるのかニャ~?」
又三郎は意気揚々とふすまを開ける。
「こら! あんたは近付いちゃダメ!」
楓姉がフライパンを片手に又三郎の首根っこを捕まえて吊るし上げた。
「ギニャ!? まだ何もしてないニャ!」
「いやらしいあんたが可愛い女の子にイタズラしない訳がないわ。大事なお客様なんだから控えなさい!」
「可愛い!? それは何かするしかないニャ!!」
又三郎は異様に興奮し、身を乗り出してふすまを開けた。
その正面にはこちらの様子を伺っていたのか、紅葉が立っていた。
「ム!? ムム……?」
じろじろと又三郎は舐めるような視線を紅葉に送る。
その後大きくため息を吐いた。
「チッチッチッ、見くびってもらっては困るニャ、いくら可愛くても幼女はおいらの守備範囲外だニャ」
「あ、そうなの? てっきりあんたの事だから、普通の猫のふりして撫で回すのかと思ったわ」
害がない事に安心した楓姉は、又三郎を解放する。
「猫……しゃべってる」
紅葉はじっと又三郎を見つめる。
そしておもむろに又三郎を撫で始めた。
「ム!? ムム……ムヒョー♪」
又三郎はされるがままに、ゴロゴロと喉を鳴らしながら悶える。
「たまには幼女も悪くないニャ~♪」
「……お前が言うと洒落にならないな」
「その子は妖よ。実年齢はあんたより上かもしれないわ」
「ニャんと! おいらよりババアなのかニャ!?」
「……お前は猫の姿をしたエロジジイだろ」
この猫は少なくとも四十年はこの家に棲んでいる。
「ジジイとババア……だったら────いけるニャ!」
又三郎は目を光らせながら紅葉に飛びつこうとした。
────と、同時に又三郎の顔面は、フライパンにめり込んでいた。
ぐったりとした猫をフライパンに乗せ、楓姉は台所に戻っていった。
「猫……かわいそう」
あらためて紅葉を見る。
少女の外見をしているが古風な着物姿だ。
永い年月を妖として過ごしてきたかもしれない。

「ほらーできたよ~」
食卓に皆が集まる。
大所帯だが人間は俺と楓姉だけだ。
妖達は少量の食事で満足するため、小皿が多数並んでいる。
……なるほど出されたハヤシライスは確かに一流の味だった。
食材もさることながら、素材の旨みをふんだんに活かしてる。
楓姉曰く甘みを砂糖でごまかしたが、本当は野菜の甘みで出したかったらしい。
炊事はほぼ俺が担当しているものの、人並みにしか作ることが出来ない。
何事も全力を尽くすタイプの姉は、中途半端なものが作れないのだろう。
ただ、適当でいいからもっと炊事をやって欲しいというのが、正直な気持ちだった
「すごくおいしい」
紅葉もわずかながら満足そうに食べていた。

阿狛と吽狛うんこまはドッグフードを食べている。
何でも食べるが、いつの間にかそうなっていた。
こうして見るとペットと変わらない。
狛犬は獅子だった気もしたが、完全に犬扱いだった。

又三郎はキャットフードを食べたがるが、安物には見向きもせず高級品を要求する。
よって買い与えられる事はなく、食卓と同じ物を分け与えられている。
たが妙なところで普通の猫と変わらないらしく、良く
食中毒を起こす。
「タマネギは危ないニャ……ネギ類は貧血になるニャ」
又三郎はハヤシライスのタマネギを取り除く。
「あんたも化け猫の癖に妙なところだけ猫っぽいわねえ……どうせ拾い食いして来てお腹いっぱいなんでしょう?」
「化け猫と猫又は違うニャ! それに拾い食いとは失礼だニャ。女の子達がおいらの為にお弁当を作ってくれてるんだニャ」
又三郎は猫が妖に化けた猫又なので、普通の人にはただの猫に見える。
「猫撫で声に騙された女学生達から、弁当の残りを恵んでもらってるだけでしょう? 良くスカートの中覗き込んでるし。あんまり調子に乗ってると去勢するわよ」
「きょ、去勢!? そ……それだけは勘弁ニャ」
又三郎はガクガクと震えながらハヤシライスを食べた。
するとそのまま倒れてしまった。
どうやら間違えてタマネギを食べたらしく、貧血を起こしている。
「動けないニャ……擦って欲しいニャ」
仕方なく又三郎を介抱する。
「何でお前なんだニャ。そこの幼女が良いニャ」
すると、背後から紅葉が袖をひっぱった。
「修一郎……キョセイって何?」
「え!? そ、それは……えーっと」
「オスじゃなくする事よ。そいつがオスになったらお尻にネギを突き刺しなさい」
返答に困ってると、楓姉がネギを手にしながら答える。
「楓姉……それは風邪の治療法だ」
紅葉は納得したのか、ネギを片手に又三郎に近寄る。
又三郎は、ふらふらと紅葉から逃げ出した。
……やはりこの猫は教育に悪かった。

「ごちそうさま」
紅葉が手を合わせ、ゆっくりとお辞儀をする。
その頃には、みんなそれぞれ食べ終わっていた。
おおかむろは図体の割に少食だ。
……小人家族にいたっては一人米数粒くらいで満足している。
3分の1くらいハヤシライスのルーが余った。
結局大所帯とはいえ、3・4人分で事足りるようだ。
だがいくら残しても次の日の朝にはなくなってる。
残り物は夜中にしかでてこない妖や、人前に姿を見せない妖が食べているのだと言う。
楓姉は食後のコーヒーを飲みながら、紅葉をじっと眺める。
「そうそう、いくらなんでも座敷わらしちゃんってのは可愛気ないわよね。名前とかないの?」
「名前……紅葉」
「あら、可愛い名前じゃないの? なんだー、先に教えてくれれば良かったのに」
「修一郎がつけた」
「ほぉっ!」
……楓姉の視線が痛い。
「ほっほー、名付け親は修ちゃんかあ。ふううん、へえええ」
楓姉はにやにやといやらしい笑みを浮かべる。
「……うるさいな。だったら楓姉がつければいいだろ」
「いや、いいんじゃないのー? 良い名前だと思うわよ。わたしは修ちゃんが女の子に名前をつけるってシチュエーションが楽しいだけだから♪」
「この名前好き」
紅葉は気に入ってくれてるみたいだった。
光栄なんだが……姉の視線が痛かった。
何だかだんだん所在がなくなってきたので片付けを済まし、食卓を後にした。

2階の自室に戻りとりあえずは落ち着いた。
明日の課題のために机に向かう。
勉強中は妖に目の前をうろちょろされて邪魔される事が多い。
図書館など、どこの施設に通っても妖は近寄って来る。
それでも妖の少ない場所で受験勉強をして、比較的進学率の高い良い高校に入れた。
だが、授業に追い着かないのは話にならない。
邪魔をされない内に課題を終わらせる必要があった。

「……何だかはかどったな」
────小一時間ほどで課題が終わってしまった。
いつもの倍くらいの速さだ。
今日はまったく邪魔しに来る妖が出てこなかった。
「珍しいこともあるもんだ」
ひと段落ついたので飲み物でも飲もうと1階に下りた。
一階の廊下で、居間の方がなにやら賑やかなので襖(ふすま)を覗いた。

中では妖達が集まっていた。
と思ったら分散して、居なくなってしまう。
その隅で、おおかむろが紅葉を食べようとしている姿を目撃する。
「────!?」
おおかむろは紅葉を完全に飲み込んでしまった。
「お、おい! 何やってるんだ!」
慌てておおかむろの傍により、口をこじ開ける。
────紅葉は中でうずくまっていた。
紅葉はこちらを向き、人差し指を口元に当てる。
「かくれんぼ」
無邪気な表情でそう言った。
「……なんだ、驚かすなよ」
「さーあ、見つけるニャー」
背後から又三郎の声がする。
おおかむろは押入れの中に入っていった。
又三郎は鼻をひくつかせながら、きょろきょろと辺りを見渡している。
きっと鬼役だ。
「どうしたんだ又三郎、こんな遊びに付き合うなんて珍しいじゃないか」
「フン、おいらはこんなガキの遊びは興味ないニャ。おいらはお医者さんごっこをしたかったんだニャ」
「……尻にネギを刺さされるぞ」
「じょ、冗談きついニャ」
何だかんだで又三郎は遊戯の鬼役として、次々と妖を見つける。
中には食器や家具に化けてる妖もいる。
家全体が遊び場だった、子供の頃の懐かしさを感じた。

紅葉は妖達の中にとけこみ、すっかり馴染んでた。
「なるほど。これが妖達が現れなかった理由か」
安心して台所へと向かった。

「修一郎」
冷蔵庫から麦茶を取ろうとすると、紅葉が廊下の奥から現れた。
かくれんぼは終わったらしい。
……あらためてみると普通の子供と変わらなかった。

「修一郎は何か願い事ある?」

紅葉はいきなりそんな質問をしてきた。
突然そんな事を言われても、あまり思いつくもんじゃない。
「んー……そうだなあ……」
お金が欲しいとか即物的な事は思い浮かぶが、願いとなるとそうでない気がする。
返答に困っていると紅葉が口を開いた。
「楓はお金と言った」
「……まあそうだな。楓姉は迷わずそう答えるだろう」
────もちろんお金は欲しいが……正直あまり好きじゃない。
お金には様々なものが憑いている。
悪銭・良銭というが、人の想いがこめられてるものは、どうしても妖が憑きやすいものだ。
五円玉などもたまに相当力の強いものがある。
そういうものが見えてしまっているため少しばかり苦手意識があり、いつも最低限の金しか持ち歩かなかった。

「修一郎は友達が欲しい?」

───思わず飲んでいた麦茶を吹き出してしまった。
「な、何でいきなりそんな事を言い出すんだ?」
「楓が言ってた。修一郎は人間の友達がいないって」
(あんにゃろう……一体いつの話をしてるんだ)
確かに子供の頃は妖とばかり遊んで、一人も人間の友達はいなかった。
中学の時も、やはり他人は苦手だった。
他人に興味がなかったとも言える。
だが、高校に入ってからは人間関係がリセットされ、普通に話せるようになった。
もちろん……自分の体質の事を理解している友人はいない。
深く考えると、親友と呼べる人間はいないのかもしれない。
だが遠い昔に……一人、居た気がした。
どうしてだか、そいつの事は良く覚えていない。
思い出そうとすると胸が苦しくなる。
「んー……そりゃ欲しいさ。親友ってのも憧れるよな」
適当にお茶を濁すつもりだったが、何気ない純粋な気持ちが出た気がした。

「そう」

紅葉はおもむろにしゃがみ込み、何かを拾い上げるような仕草をした。
そして────両手の人差し指と親指と繋ぎ合わせ、おまじないのような事をしだした。

「縁結び」

そう言い残し、紅葉は居間へと戻っていった。 
狐につままれた様な気分だった。
不思議なおまじないのようなものをかけられた気がする。
だが、風呂に入っても、テレビを観ても
生活に何か変化があった様子はない。
とにかく明日も学校だ。
あまり深く考えずに眠る事にした。 




《一日目終了 二日目に続く》
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