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161話 莉子入院・6*

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 今日はオンライン診療の合間に昼食を食べさせるために一度来ている。
回復はパッとしないが、目は開けられるし応答も頷くくらいは出来る。流動食も少しは食べられた。だがこの程度では点滴は取れないし、バルーンは抜けない。

問題は声を発することが出来ないんだよ。どうしてなんだろうか?声を失ったのかなあ?
まあ、そんなことは考えたくはないんだけど、まあ、それは俺の分野だから、後でゆっくり治せばいいよ。恐らく恐怖心が原因だと思う。知らないところでパニックになったんだよ。ただ、それを治すには時間が必要だ。

今日は診療が4時で終わったから、洗濯物を持ってきた。こんなに長くいるつもりはなかったのにね。
最悪、声を失ったとしても、家の中を歩けるくらいになれば退院は出来る。ずっと家の中にいても俺はいいんだ。話せないのはかわいそうだが、それでも俺はいい。そのうちに声を取り戻すかもしれないからね。

ただ、どうしても歩けるようになってほしい。それは絶対だ。今日もいっぱい呼びかけて声を出せるように、さすって抱きしめてやろうと思う。

本音をいうと実は抱きたい。感じるかどうかはわからないが、イカせてやりたいし、感覚を呼び覚ましたいんだ。そうだ、やってみようかな?抱くまではいかなくてもさわるくらいなら出来る。声を出してくれないかなあ?そんなことを今は本気で思っている。

医局に先に寄って変わりがないかを聞くと、問題はなかったようだ。病室に行くと点滴をしていて、莉子は眠っていた。俺はカーテンでベッドを囲んだ。莉子の頬や髪を撫でた。耳元で「莉子、来たよ。起きて」とささやいた。すると、目を開けた。水を飲むか?と聞くとうなずいた。俺は口移しで飲ませた。もっと? 頷く。もう一回飲ませる。もっと? 今度は横を向いた。

莉子、家に帰りたいか?と聞くと、頷いて涙がじわっとにじんできた。俺も早く連れて帰りたいよ。でもトイレまで歩けないと帰れない。だから早く歩けるようになってほしいんだ。ちょっとベッドを上げようか? 俺はベッドの上半身を上げた。
そして、莉子の乳液を手に取り、莉子の手に塗ってさすった。マッサージだ。手の平も指も何回もさすって刺激を与えた。肘や手首、指の関節が固まらないようにどんどん動かした。
今度は足だ。布団をめくり、片足ずつ乳液を付けてマッサージをして関節の曲げ伸ばしをした。

最後は背中と腰だ。点滴と反対側に移動して、背中と腰に温湿布をしよう。大き目のビニール袋を持ってきた。熱いタオルをビニール袋に入れて、背中に乾いたタオルを当てて、その上にビニール入りのタオルを乗せて、さらに厚手のバスタオルを乗せる。これでお風呂に入っているような温かさを感じられる。じわっと温かいといいんだよ。10分くらいで終わり。

次はおなかのメンタ湿布だ。朝は午後に浣腸すると言っていたがしたのかな?とにかく。おなかにメンタ湿布は効果があるんだ。熱いお湯にミントオイルを3滴くらい入れてタオルを浸す。それを絞って下腹に乗せる。その上にビニール袋を広げて、バスタオルを上からかける。

ただこれだけの事なんだけど、結構腸を動かすのに効果があるんだ。
これを30分はやりたい。タオルの温度が低くならないように時々変えるんだ。このビニール袋の中にもレンジで加熱した熱いタオルと入れておくと保温になっていいんだ。時々タオルを交換するよ。

これをやりながら、莉子の手を握り、キスをした。口を少し開けさせて舌を入れて絡ませた。「うん、んっ」とちょっと苦しそうにしたから、鼻で息をしてごらんと言って、さらにキスをした。それから息継ぎにちょっと唇を離した。また深くキスをする。舌を吸って甘噛みして唇を唇で挟む。莉子は目をつぶっていた。

耳元で「莉子愛しているよ。すごく抱きたいよ」とささやいた。その耳に舌でぐるりとなめて穴に舌で何回も犯した。莉子の、はあ、はあという息づかいが聞こえて来た。
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