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83話 離れて・6(ダメージ)

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夕べは久しぶりに莉子を抱いて身体に触れた。夜中も抱きしめたまま眠りについた。

ちょっと疲れさせしまったかな? 少し後ろめたかった。診察道具を持ち帰ったので、診察することにした。

莉子、起きているか?久しぶりだけどちょっと診察するよ。ずっと目をつぶっているつもりかな。
熱を先に測り、血圧を測る。熱は36度か......まだ低いけど、35度台よりましだな。

血圧は、ようやく90台から100台になってきた。
父の所で貧血の検査をしたが、やっぱり貧血だったから薬で治療することになった。食が細いから食べて補えるのはあまり期待できないからだ。

聴診器で胸の音やお腹の音を聴く。胸の音は悪くない。おなかの音は・・・う~ん、何というか、今は悪くない。だが弱いには違いない。油断大敵な状態だ。

莉子、トイレに行こうよ。一緒に行くからというと、「大丈夫、行ける」という。
そろそろと起き上がって、一人で歩いてはいるけれど、あっちこっち壁を伝い歩きをしている。

トイレから戻って来たら、おなかを触診する。傷はまだ痛いか? そっと押してみる。「うん、押されるとちょっとだけまだ痛いかなあ」下腹はどうだ?痛みはあるか?「う~ん、わかんない」

吐き気は? お通じはあったか?「吐き気はないけど、食欲はない。お通じは昨日から出ていない」
おなかが張っている感じはあるか?「う~ん、わかんないけど、気持ちが悪い感じはまだない」

そしたら夜まで様子を見よう。あまり食べていないなら早々出ないよな。
莉子、夜までに出なかったら出すからね。いい?「うん、分かった」

今の状態だと、大学に行くならあと2週間は休んで静養する必要があるというのが、俺の診断だ。
2週間が無理ならせめて1週間だ。それもただ休むだけじゃなくて毎日点滴が必要だ。
あまり食べていないから中々体力が回復が出来ないんだ。
ただ、その頃だったらもう後期試験が始まっている。こんなんで大学に行けるのか? 

なんでここまでダメージを受けたのかなあ? 術後2週間たっているんだけど、栄養の吸収が悪い感じだよね。
小腸に問題ありか?ああ......でも小腸の検査は今の莉子には負担が大きすぎる。

いくら腹腔鏡手術といっても、完全に元に戻るのは1か月くらいかかる人もいるかもしれないけど、莉子の場合は開腹手術で子宮卵巣全摘出したくらいのダメージだよな。う~ん、今だって点滴を必要としているしなあ。

毎日点滴が必要ならやっぱり実家に戻さないといけない。少なくともあと1週間は実家に頼むしかないな。
ああ~昨日あんなに抱かなければよかったのかも。俺のミスだ......。

とにかく今の状態だと、授業を1日受けるのは無理だ。
今行ったとしても途中でリタイヤするか、倒れるか?のどっちかかもしれない。翌日から寝込むというのも考えられるな。

あるいは、午前だけ受けるか? また大学に交渉するしかないかなあ。
それとも小川先生に一度相談をしてみようかな。そうだ、あとで電話してみよう。

莉子、おかゆか雑炊を作るけど、食べられそうか?「わからないけど、おかゆを食べてみる」
うん、じゃあ作るからちょっと待っててね。

俺は莉子のために、梅かゆを作った。あと卵焼きもね。俺はトーストだ。莉子、一緒にご飯を食べよう。
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