医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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18話 生理痛・5 座薬*

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「莉子、お腹の張りは治ったか??」

「うん,治ったみたい」

お湯だけの浣腸にしたから、痛みもなく楽に便が出せたようで良かった。

ここで一旦グローブは捨てる。

お腹がきれいになったから、またさっきと同じように壁側向いて寝かせる。
「じゃあ、今度は痛み止めの座薬を入れるからな」

「うん」と素直だ。これはよほどお腹が痛いんだね。
俺は手を消毒してから、冷蔵庫から座薬を1個取り出してきた。

新たにグローブをはめて、ゼリーを手に取り、
「ちょっとおしり触るよ」と言って、肛門とやや中にもゼリーを少し塗る。

「莉子、口を開けてハーハーだよ、座薬を入れるからな」
左手でおしりを開くようにして、右手の人差し指ですーっと奥まで座薬を入れていく。
「あっ、うっ……ん」

「よしよし、いい子だ。ちょっと気持ち悪いけど我慢な」
「座薬が入ったから、このままちょっと指がじっとしてるよ。」

20秒ほど待ってから指を抜いていく。
入れ終わったら、グローブを捨てて完了だ。

「座薬が効くまで20分くらいかかるから、ちょっとじっとしていような」

「おいで」と俺の方に向かせて莉子を抱きしめる。
「今日はずっとお腹が痛かったのか?」

莉子は下唇をぐっと噛んで小さく頷く。

「痛み止めがあんまり効いてないみたいだね。痛い時は電話していいんだよ」
「お腹も張って苦しかっただろう?」

「うん」と言いながら、もう涙をあふれさせる。
俺は涙を指で拭い、何回も柔らかい髪を撫でてやる。

莉子の顔をもっと俺に寄せて、額にキスをした。

はーっ、莉子のつぶらな瞳を見ていると、俺の方が切なくて...もう上を見上げてた。

「お腹空いてないか?」
「ううん、空いてない」

「じゃあ、おかゆを作っておくから、後で食べなよ」
「うん」と言ってまた目をつぶった。
「疲れたよな」

俺は頑張った莉子の腰をひたすらさすってやった。

今日は俺がいなかったから寂しかったな。おまけに生理痛はひどいし、お腹は張るしね。
やっぱり痛み止めの薬だけじゃ、たいして効いてないな。

早く大学病院に連れて行かないといけない。
莉子には明日言おう。婦人科に連れて行くと言ったら嫌がるだろうなあ~。

内診はなしにしてもらったが、超音波診断に使う経腟用のプローブは、
鎮静をかけて直腸から検査することになった。

鎮静をかけても、きっと覚めた後のおしりの違和感や痛みは出ると思う。
あれは俺の指より太いんだもんね。

あとは血液検査や、お腹のエコーとMRI検査もすることになるから、
俺もしっかり画像を見て婦人科の勉強しないといけない。

それにしても、あまり性経験のない女性だと、プローブを入れるのは結構痛いと思う。

バリバリ現役の女性ならOKだろうが、ちょっとご無沙汰の人なら普通に辛いよな。

最近は、細い棒を入れるだけでーーなんてネットに出ているが、どこが細いんだよ。
楽に入るとか言っちゃって、あの大きさを見りゃわかるだろう。

なぜかムカついてるな、オレ。八つ当たりか?

それにしてもXデーがだんだん近くなってくる。
だからどうしても俺は不安になってイライラするんだ。

莉子が子宮や卵巣の全摘出するかもしれないその日を、密かにXデーと呼んでいる。
莉子には絶対言えないが、いつか来るだろう、その日が恐ろしくてしょうがない。
莉子は恋人どころかボーイフレンドもいない処女だ。

処女だと内診が出来ないんだよ。
これだと正しい診断や治療の妨げになるのは致し方ない。

内診することで、子宮や、卵巣、その周辺の臓器のいろいろな状態がわかる。
俺も研修で婦人科に入ったことがあるが、場所が場所だけに、指先が熟練していないと婦人科の診断は難しい。
婦人科医師の優れた技術が発揮されるんだ。餅は餅屋だと感心した。

本当は莉子の病気がこれ以上進む前に、何とか内診ができるようになると良いんだけど、
かといって、よその虫を追っ払いたい自分がいるし、このジレンマはどうしよう?

やっぱり父に相談するしかないな。近いうちに実家に帰ろう。

子宮内膜症の絶対的な治療法なんて摘出するしかないんだから。

その日までに新薬でも出てきてくれることを、俺はただただ願っている。
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