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第9章 変わりゆく世界
2 新学期
しおりを挟む「ほら、起きて」
「はぁい」
今日から新学期が、始まる。ラジオ体操の時は、起こされる前に、起きていた子供達も、身体も気持ちも重たいみたい。
ただ、美桜だけは、早く起きて黄色の帽子と水色の制服を着て、テーブルについている。
「おやっ、美桜ちゃん、お兄ちゃん達より早いね」
「もう、そうなのよ! 5時半頃から起きて、私の部屋をノックするんだもん!」
「楽しみなんだね……」
蒼空は、桜をじっと見る。今朝は、お腹の辺りの煙のような物は見えない。
色は、蒼空の意思とは、関係なく、不意に見えるようだ。
「皆、おはよう」
「蒼空兄ちゃん、おはよう」
「省吾、おはよう」
省吾の苦悩した気持ちが、少し理解できる(不意に見えるって、いい気持ちはしないもんだ……)。
*
「いってきます」
「いってらっしゃい!」
子供達が 、元気よく学校へ行く。
「美桜! 美桜は、田崎さんが来てからよ!」
皆の列に並んで、美桜が出かけようとする。
「アアアア……」
「しょうがないでしょ!皆は小学校! あなたは、保育園!」
美桜は、桜が意地悪をしてると思っているのか、頬を膨らませる。
「ウッ……」
「蒼空、どうしたの?」
「いえ、美桜が怒ってるみたいで……」
「見たらわかるよぉ……」
蒼空には、美桜から桜へ赤い色の槍のような物が、向けられているように見える。
「おはようございます」
「田崎さんおはようございます」
8時に田崎さんが 来た。
「美桜ちゃん お待たせ」
「うううううう」
頬を膨らませ、腕組みして、田崎に何か言っている。
「あらあら、美桜ちゃんご立腹ね……」
「そうなんですよ! 私に敵意むき出しなんですよ!」
「あら、ペンダントの一件からかしら?」
「そうですよ!」
「ライバルと思ってるのかもね……」
「えぇ、何のですか!?」
「フフフ……」
心当たりのない桜は、首を傾げる。
確かに、蒼空がペンダントを桜に、プレゼントした事を話してから、美桜の桜への態度が違うような気がする。
「じゃ、美桜ちゃん行こうか!」
「うううう」
美桜は蒼空に手を振るが、桜の方を見ると舌を出して、目を細める。
「あいつ、何なの!!!???」
「ハハハ……怒ってる……」
「あんな 小さい娘を相手にするわけないでしょ!!!」
桜さん、その態度が、怒ってるって言うんですよ。
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