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第二章
友情のホットドッグ③
しおりを挟むその後は早かった。
家に帰り勢いよくにキッチンに向かう。
「ルヴァン、手伝ってね!」
「勿論です、サラ。」
態とらしくかしこまった様子で、胸に手を当てこうべを垂れる。
その様子に焦りに似たような気持ちが丸くなり、気持ちに余裕を持つことが出来た。
鍋に牛乳、砂糖、バニラビーンズを入れて、沸騰したら日から外して熱が冷めるのを待つ。
そしたら…
「ルヴァン、この卵黄を入れて混ぜて、混ざりきったら砂糖を入れて、また混ざりきったら小麦粉を入れて良く混ぜて欲しいの。」
「わかった。」
ハンドミキサーを使い全体的にムラなく混ぜる姿はとても様になっている。
最近気づいたことだけど、ルヴァンは味付けと火の扱い以外は器用にこなせるようで、混ぜる、切るといった工程は材料さえきちんと用意すれば問題ないことがわかった。
ただ要注意なのが目を離した状態で火を使わせると、何故か全ての料理は消し炭になり、調味料もしっかりと何グラムと言った感じで測らずに調理すると、とんでもないものができあがる。
かといって目を離さなければ消し炭になる事もなく、調味料もしっかりと量を伝えれば味には問題なく、美味しい料理を作れるほど器用なのだ。
結局料理までできてしまうルヴァンに舌打ちしたくなるも、気持ちを抑えて自分の作業に移る。
牛もも肉のブロックの表面を全体的にフォークで刺し、クレイジーソルトと胡椒を刷り込み常温で2~30分寝かせておく。
簡単だけど、味ムラが出ないように丁寧に作業していけば
「できたよ。」
と声をかけられる覗き見るとしっかりまとまり、いい状態に仕上がっている。
「そしたら、鍋の牛乳を少しずつ出してもう一度混ぜていって貰ってもいい?」
「わかった。」
恐る恐るといった様子で少しずつ牛乳を足しては混ぜてを繰り返す姿は、初心者なのに所々様になってるからずるいな、なんて思いながら
醤油、酒、味醂にすりおろした玉ねぎを加え、更におろしニンニクを少量足してタレを先に作っておく。
お肉を寝かすのはもう少しかかりそうだ。
ルヴァンの手元を見れば綺麗に混ざったカスタードクリームになり切る前のものがあった。
「いい感じだね!私がこしながら鍋の中に入れていくから混ぜてね。」
ルヴァンが頷いたのを確認し、鍋を強めの火にかけて、こしながら液体を加えていく。
沸騰するまでしっかりと混ぜてもらい、全体的にヘラで掬い纏まったのを確認したら、風味の為にバターをひとかけ入れて混ぜてもらい、
「よし、タッパーに移して蓋を閉めて冷蔵庫で冷やしたら出来上がり!こっちは任せるね。」
カスタードクリームはルヴァンに任せて、寝かせておいたブロック肉をフライパンで各面40~60秒強火で焼き付けて、全ての面を焼き付けたら弱火にして大きな面を下にして赤ワインで酒蒸しに、5分程度火を通したらひっくり返して反対の面も5分程度火を通したらそのままフライパンを火から外して30分程度余熱で火を通したら
「ローストビーフ…」
出来上がりを想像してよだれが垂れそうだ。
いつのまにか後ろから手元を覗き込んでいたルヴァンも、早く食べたいとばかりに目をギラギラさせている。
だけど…
「ルヴァン、コレは明日まで食べられません。」
「そんな!!」
残念なお知らせをすれば、世界が終わるのではといった表情で此方を見てくる。
「コレは明日のお楽しみって事で。」
と告げれば残念そうにしていたけど、
「トルーとの交渉材料だから。」
と言えば
「本当にそれで上手くいくかな?」
と、私から聞いた作戦を不安に思っている様子だ。
だけど話も聞いてもらえなくなった今、ずるい作戦かもしれないけどこれ以上の策は思い浮かばない。
「なるようになる。としか言えないかな。」
少し弱気な発言に微かに眉根を寄せたが、それ以上は何も言ってこなかった。
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