上 下
15 / 43
勇者召喚

第15話 授業

しおりを挟む




「本日は、この世界で最も重要な力と言っても過言ではないスキルについてお話しします」

 そう言ったのは勇者の教育係だというサーシャさんだ。
 オレンジ色の明るい髪を後ろに結わえている。
 とりあえず胸が大きい。
 勉強に集中できないかもしれない、どうしよう。

「まずこの世界の人々の持つスキルの平均数についてお話しします」

「1個2個とかじゃないんですか?」

 僕がそう質問すると姫木さんからは黙って聞いてろみたいな鋭い視線が飛んできた。
 しかし、サーシャさんはくすっと笑ってやる気があるのはいいことですよと褒めてくれた。
 優しい人で良かった……胸揉ませてくれないかな。

「確かにその認識で間違いありません、しかし絶対でもありません」

 僕はよく意味が分からず頭を捻った。
 他の皆もよく分からなかったらしい。
 サーシャさんが言葉が足りませんでしたね、と補足を入れる。

「あくまで平均は、という意味です。例えば1~2つのスキルを持った人が100人いるならその平均は確かに1つ2つでしょう。
 ですが99人がスキルを持っていなかったとしても1人が100個のスキルを持っていれば平均は1になります」

「才能に大きく左右されるってことですか?」

「その通りです。今の例は極端なものですが過去の勇者には召喚された時点でスキルを7つ取得していた方もいます」

 あー……何か聞いたことある。
 リリアがなんか言ってた。
 名前覚えるのが苦手だから出てこないけど……あ、出る出る。今首の後ろの辺りまで出てきてるよ。

「剣聖……ジョージでしたっけ?」

「既にご存知でしたか。勤勉なのはさすが勇者様ですね。頼もしい限りです。正しくは剣聖リョーマですけどね」

「なるほど、紙一重ですね」

 惜しかった。
 だけどサーシャさんは妙に感心していた。
 この世界に来たばかりの僕がそのことを知っているのは予想外だったらしい。
 ただ姫木さんが妙に悔しそうにしてるけど……君はどれだけ僕に敵対心を持ってるの? 

「悠斗様は3つ、その他の皆様は1つですが気を落とすことはありません。このリョーマは歴代最強の勇者と呼ばれていますから」

 ふむふむ、まあ僕は現時点で9個なんですけどね。
 なんて自慢したかったけど授業の邪魔になるので大人しく聞くことに。

「しかし、過去にはたった一つのスキルのみで魔王を追い詰めた勇者様もいます」

 お? それは初耳だ。
 どんなスキルを持っていたんだろうか?

「暴食の勇者と呼ばれている方で、七大罪スキルの一つ『暴食』を使い単騎で魔王を瀕死にまで追い込みました」

「七大罪スキル……!? そ、それはどういったものなんですか?」

 オタクな秋山さんがテンション上げ気味で手を上げた。
 うん、秋山さんなら絶対反応するって思ってたよ。

「詳細は分かっていません。ですが非常に強力な力だったと言われています……その勇者の通った後には文字通り草一本たりとも残らなかったという話です」

 ほえー、と感心したような秋山さん。
 彼女ほどではないけど栗田さんと姫木さんもそれなりに興味があるような表情だ。

「七大罪スキルは一つで世界を統べることができるほどの力を宿しているらしいのですが、七つあると言われている七大罪スキルのうち現在確認できているのは先ほどの『暴食』それと『怠惰』と『色欲』の3つのみです。
 スキルの詳細はいずれも不明ですが残りの4つの所有者もいつか現れるのではと言われています」

 ……すいません、一つはここにあります。
 そんな凄い力だったのか……確かに便利だとは思うけどさ。
 だけど確かにスキルを奪える力ってのはこの世界ではチート以外の何物でもないよな。
 石でのレベル上げも相当反則だと思ったけど、スキルを増やせるのは完全に世界の理に反する様な能力だ。

「ん? でもその剣聖さんが最強って言われてるってことは、剣聖さんは魔王を倒せたんですか?」

「その通りです。もっとも相打ちだったらしいのですがその偉業に人々は彼を称えました」

 すると栗田さんが控えめに手を上げる。

「魔王って複数いるんですか?」

「いえ、厳密には常に一人です……ただ魔族たちの中でどういう基準で選ばれているのかが分かっていないのが現状です」

「じゃあ仮に俺が魔王だー! って名乗る魔族がいたら判断できないってことですか?」

「そうです。しかし、今のところそのようなことは一度も起きていません」

 僕たちはノートにカリカリと文字を書き写していく。
 その後はいくつか有名なスキルを教えてもらって授業は終わりになった。






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?

望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。 ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。 転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを―― そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。 その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。 ――そして、セイフィーラは見てしまった。 目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を―― ※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。 ※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)

正妃に選ばれましたが、妊娠しないのでいらないようです。

ララ
恋愛
正妃として選ばれた私。 しかし一向に妊娠しない私を見て、側妃が選ばれる。 最低最悪な悪女が。

俺の天使に触れないで  〜アルと理玖の物語〜

波木真帆
BL
カフェのドイツ人オーナー アル 30歳とイケメン大学生 戸川 理玖 20歳のカップルのラブラブなお話しかありません。 2人の出会いやラブラブカップルになってからのお話や視点を変えてのお話もあります。 いくつかの短編を載せていきますので楽しんでいただけると嬉しいです♡ R18には※つけます。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

「ギャルゲーの親友ポジに憧れた俺が、なぜかモテてしまう話。」

はっけよいのこっ太郎
恋愛
ギャルゲーの親友ポジションに憧れて奮闘するラブコメ小説!! それでもきっと、”恋の魔法”はある!! そう、これは、俺が”粋な親友”になる物語。 【あらすじ】 主人公、新川優希《しんかわゆうき》は裏原高等学校に通う高校2年生である。 特に趣味もなく、いわるゆ普通の高校生だ。 中学時代にとあるギャルゲーにハマりそこからギャルゲーによく出てくる時に優しく、時に厳しいバカだけどつい一緒にいたくなるような親友キャラクターに憧れて、親友の今井翼《いまいつばさ》にフラグを作ったりして、ギャルゲーの親友ポジションになろうと奮闘するのである。 しかし、彼には中学時代にトラウマを抱えておりそのトラウマから日々逃げる生活を送っていた。 そんな彼の前に学園のマドンナの朝比奈風夏《あさひなふうか》、過去の自分に重なる経験をして生きてきた後輩の早乙女萌《さおとめもえ》、トラウマの原因で大人気読モの有栖桃花《ありすももか》など色々な人に出会うことで彼は確実に前に進み続けるのだ! 優希は親友ポジになれるのか! 優希はトラウマを克服できるのか! 人生に正解はない。 それでも確実に歩いていけるように。 異世界もギルドなければエルフ、冒険者、スライムにドラゴンも居ない! そんなドタバタ青春ラブコメ!! 「ギャルゲーの親友ポジに憧れた俺が、なぜかモテてしまう話。」開幕‼️‼️

寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!

ユウ
恋愛
エリーゼは、王妃になる予定だった。 故郷を失い後ろ盾を失くし代わりに王妃として選ばれたのは後から妃候補となった侯爵令嬢だった。 聖女の資格を持ち国に貢献した暁に正妃となりエリーゼは側妃となったが夜の渡りもなく周りから冷遇される日々を送っていた。 日陰の日々を送る中、婚約者であり唯一の理解者にも忘れされる中。 長らく魔物の侵略を受けていた東の大陸を取り戻したことでとある騎士に妃を下賜することとなったのだが、選ばれたのはエリーゼだった。 下賜される相手は冷たく人をよせつけず、猛毒を持つ薔薇の貴公子と呼ばれる男だった。 用済みになったエリーゼは殺されるのかと思ったが… 「私は貴女以外に妻を持つ気はない」 愛されることはないと思っていたのに何故か甘い言葉に甘い笑顔を向けられてしまう。 その頃、すべてを手に入れた側妃から正妃となった聖女に不幸が訪れるのだった。

転生したので生活環境(ダンジョン)作ります。

mabu
ファンタジー
気がついたらダンジョンコアとして転生してしまったので開きなおって生活環境を整えていこうと思います。 普通に環境を整えるのとは違うみたいだけど 好きにしてイイそうなので楽しみます! 書き溜めをしてから投稿していこうと思っていたのですが 間違えて即投稿してしまいました。 コチラも不定期でマイペースに進めていくつもりの為 感想やご指摘等にお応えしかねますので宜しくお願いします。

処理中です...