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第3話 ステータス

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「知らない天井だ」

 横になりながらお約束を口にした。
 のそりと起き上がり、周囲を見る。
 赤い絨毯の敷き詰められた床の上には僕以外に3人が倒れていた。
 周りには騎士のような甲冑を身に纏った鎧の人たちが大勢いる。
 目の前には修道着のようなものを着た女の子が疲れ果てたように汗だくで座り込んでいた。
 その奥には玉座のようなものにヒゲを生やしたダンディーな初老の男性が座り、隣にはティアラを付けて豪華なドレスを着た女性がいる。
 もしかしなくてもこの人たちが勇者召喚をしたのだろう。
 
「……ん」

 状況確認をしているとほかの3人も目を覚ました。
 3人とも女の子。
 たぶん歳は同じ……高校生くらいだろうか?

「ここは……」

 そして、3人が周囲を確認。
 この人たちも神様に出会っているなら状況は理解できているはずだ。

「突然の無礼をお許しください、勇者様」

 そして、目の前の修道着の女性が話しかけてくる。
 
「あなたたちが私たちをここに呼んだんですか?」

「その通りです。この世界は今魔王の――」

 この辺りは話半分で聞いておこう。
 一応頭には入れるけど、今はそれよりも確認しておきたいことがある。
 神様は確かここに来る前にステータスと言っていた。
 それならこの世界にはステータスが存在するはずだ。
 ここがテンプレ通りの世界だということを願いながらこっそり頭の中でステータスと念じてみる。
 

 ――――――


 佐山悠斗(人族)

 17歳

 Lv1

 生命 500
 
 攻撃 270

 防御 200

 魔力 450

 俊敏 200

 幸運 410

 スキル【神殺し】【神眼】【偽装】【強化】【治癒】【成長】【隷属】【???】

 加護【アルマの加護】


 ――――――

 頭の中にずらっと浮かぶ文字列と数値。
 周囲の反応を見る限りでは見えないようだな。
 ……ステータスはこれが高いのかどうなのか全く分からない。
 だけど低いということはないだろう。
 あの神様が補正をかけてくれているだろうし。
 スキルの数は8個……けどなんだこれ? 最後のは不明ってことか?
 加護はアルマの加護って書いてあるけど、誰だろう……って、たぶんあの神様のことだよね。
 アルマって名前だったのか……ここで確証が得られないくらいなら聞いておけばよかったな。
 しかし、ステータスの意味とかスキルの効果とか分からないと不便だな。
 どうしよう……あとで調べようかな?
 そう思っていると思考が一瞬ぶれたような感覚と同時にそれが切り替わった。


 Lv――この世界での経験を数値化したもの。


 ふむ……?
 理由は分からないけど詳しく見れるようだ。
 その調子で他も見ていく。
 名前と種族はそのままだとして、ステータスとスキルと加護の意味を知りたい。


 生命――体内の生命エネルギーの値。

 攻撃――腕力、その他物理的な攻撃力を表す。

 防御――肉体の頑丈の度合いを表す。

 魔力――魔法の使用回数、威力に関わる数値。

 俊敏――素早さ、動きの無駄のなさを表す。

 幸運――加護などの能力の取得のしやすさを表す。
 

 ステータスはほとんどそのままだな。
 ゲームなんかをしたことのある僕にとっては分かりやすい。
 次はスキル、っと。


 神殺し――あらゆるモノの命を奪うことができるスキル。対象の神聖系統の防御貫通。与えるダメージに極大補正。

 神眼――この世の全てを見抜くと言われている魔眼。鑑定能力を備えていて嘘や感情、下位の偽装系スキルを看破する。
 
 偽装――ステータスを偽ることができるスキル。

 強化――身体能力を強化することができるスキル。

 治癒――自己治癒力が強化され、自身や他者の怪我を治すことができるスキル。

 成長――経験値が貰いやすくなるスキル。上昇値にも補正。

 隷属――他者を隷属させることができるようになるスキル。

 ???――未設定。好きな能力を設定できるようにしといたから上手く役立てろよ。アルマより。


 なるほど。色々言いたいことはあるけど詳しく見れるのは神眼のおかげってことなのかな?
 【???】のところはあの神様のお節介らしい。
 ありがたいから今後困ったら遠慮なく使わせてもらおう。 
 次は加護だな。


 アルマの加護――この世界を管理する男神アルマの加護。言語理解に加え、スキルと成長値と全ステータスに補正。


 神様の言っていたおまけってのはスキルの???か、この加護のどっちかのことだろう。
 と、そこまで確認したところで丁度テンプレの説明が終わったらしい。
 話半分だったけど、大まかには理解できている。
 僕たちを召喚したこの国の名前はアルテミス王国。
 召喚された勇者は僕と周りにいる女の子3人の計4人。
 異界から呼んだ勇者には特別な力が宿るらしい。
 スキルを必ず1つ以上持っていて、ステータスが大幅に上がりやすいらしい。
 召喚された理由だけど、魔王を倒してくれという聞いていた通りの話だった。 
 その他の詳細に関してはまた話してくれるそうだ。

「それでは勇者様たちのステータスを見せて頂けないでしょうか?」

「ステータスとは……どうしたらいいのでしょうか?」

 黒髪のロングヘア―の子が聞き返す。
 少し冷たい印象を受ける人だけど、この状況で動じていないのは素直に凄いと思う。
 見たところ動揺を見せていないのが彼女だけだ。
 ほかの2人は少し動揺、あるいは緊張が表情から見て取れる。
 僕自身もいつもより心臓が高鳴っているのを感じる。
 緊張と興奮で少しだけ高揚しているのだろう。
 けどそれだけではなく、あの空間の感情抑制の効果の効果が突然なくなったからか、強い不安感もあった。

「ステータスと念じて頂ければ見えるはずです。ステータス・オープンと口に出せば周囲にも見えるようになります」

 そして、ステータスを開示していく他の勇者の女の子たち。
 騒めいたり驚いたりしているこの世界の人たちを見るに、皆強いらしい。
 だけど全員ステータス全てが50前後ということは僕のステータスはそれなりに高いようだ。
 スキルはほかの3人が1つずつ。

 涼やかな切れ長の目をした子は【剣姫】スキル。

 少しおどおどしている肩くらいまでかかる栗色の髪の子が【聖女】スキル。

 地味っぽい目を隠すほど前髪の長い女の子が【魔導】スキル。

 加護は全員にアルマの加護とあった。
 全員が見せ終わると周囲の視線がこちらに向けられる。
 最後は僕の番らしい。

「それではあなたのステータスも見せてもらえますか?」

 そう言って今度は僕にステータスの開示を求めてきた。
 どう考えても見せたら驚かれるよな。
 さて、どうするかな……




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