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第一章:王都編

036:クレア

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 目標が出来た。私は将来、錬金術師になる!

 そのためには、まず冒険者だ!

 というわけで残り九日間の護衛の仕事も頑張った。

 とは言っても何事もなく終わったのだが……

 監督官に査定票と完了印をもらい、私は薬草園を去った。懸念があるとすれば呪詛を吐いていたお爺さんだが、あの後は姿を見かけることすらなかった。

 大丈夫だといいけど……

 そしてその足で冒険者ギルドへ。すると受付の前にクレアが居た。

「クレアぁ」

 金の髪に緑の瞳が印象的なクールビューティーな女性が振り返り、わずかに微笑む。

「やぁ、ティナ。久しぶりだね」
「おひさぁ。何? 仕事終わり?」
「あぁ。ちょうど仕事の更新時期に来たから、手続きをしようか迷っていたところだ」
「へぇ」
「ティナは?」
「私は今、終わったところ」
「ほぉ。なら先に手続きをどうぞ」
「ありがとう!」

 私は査定票と完了印を受付の女性に渡す。するとクレアが何かを思いついたように言った。

「お疲れだったな。良かったらこの後、飲みに行かないか? 奢るぞ?」
「いいの?」
「あぁ」
「うん。行く!」

 そんな会話をしている間に私の査定票と完了印が返される。そして受付嬢が言った。

「ティナ様の査定が完了しました。今回の査定をもって本登録へ進めますがいかがなさいますか?」
「え! いいの? まだ四つしか仕事してないですよ?」

 すると受付嬢はニッコリ微笑みながら言った。

「はい。護衛と採取は普通の評価でしたが、技能系の二つが高評価でしたので。いかがなさいますか?」

 私は当然のように頷く。

「本登録します!」
「はい。ではこれより本免許を発行しますのでお待ち下さい」

 それを聞いていたクレアに「おめでとう。これで晴れて冒険者だな」と言われた。私は「ありがとぉ!」と返す。そこにレダもやってきた。

「おつかれぇ」

 私が声をかけるとレダが私にお疲れ様を言おうとして固まった。視線はクレアに釘付けだ。おやおや。これはもしかして……

 私は思わずニヤニヤ。するとそんな私にレダが気が付き、真っ赤な顔で「お、おつかれさま」と呟いて隣の列の受付で手続きを始めた。

 クレアが私に視線を向けるのでレダを紹介する。

「レダだよ。私が文字の読み書き計算を教えることと引き換えに泊まらせてもらってるの」
「なるほど。レダ。よろしくな。クレアだ」

 するとレダは俯きながら「お、おう……よ、よろしくおねがいします」と小さな声で答えた。

「私たち、これから飲みに行くんだけど、どうする?」

 クレアが誘ってくれた。レダは少し迷った末に頷いた。

「行きたいです。お、おねがいします」

 私がクレアに「もう一人女の子がいるんだけど良い?」と聞くと、クレアは了承してくれた。

「どこで食べるの?」
「近場で食事の美味しい屋台があるんだ。安くて量も食べられる。そこにしよう」

 私たちは三人でそこへ向かうために冒険者ギルドを出る。すると魔犬のトトが寄ってきた。レダが驚く。

「おわ! な、何だ!」

 するとクレア。

「私の相棒のトトだ。トト。こっちはレダ」

 するとトトはレダを見て「ワン!」と返事。

「返事をした? 言葉がわかるのか?」

 するとクレアが頷く。

「あぁ。魔獣の中でも特に人に慣れて賢いのが魔犬の特徴なんだ」

 するとレダ。

「へぇ。いいなぁ。俺も欲しい」

 するとクレアが嬉しそうに言う。

「ふふ。魔犬を飼うのは大変だぞ?」
「そうなの?」

 私が尋ねるとクレアが頷く。

「主人として力を見せないといけないからな」

 なるほど。そうなると大変そうだ。そんな会話をしている間に目的地に到着。場所が分かったところでレダが「ミアを呼んでくる」と言って走り出した。前回も見た光景だ。

 私はクレアに視線を向け「一目惚れしたみたいだねぇ」と呟いた。クレアは苦笑いをしただけで何も答えない。

 その後はレダがミアを呼んで来るまでに屋台で軽く飲むことに。もちろんトトも一緒にだ。なるほど。屋台を選んだ理由はトトも一緒に食べれるからか。

 その後は、四人と一匹でお喋りをしながら食事を楽しんだのだった。
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