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031:冬の過ごし方
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冬になった。結局、ヒーリア師匠の別宅の本の片付けは終わらず、来年にということになった。
まぁ私に必要そうな本が十冊ばかり見つかったから、この冬はそれを読み込むことになるだろう。
おもに入門書だ。特に実践に関する本が多い。師匠いわく「作りたいものが決まっているのなら寄り道してないで真っ直ぐ突き進むのじゃ」とのこと。実に分かりやすく私好みの師匠だ。
昼間は冒険者として活動する。仕事の内容は主に家畜を守る仕事が多い。
ゴブリンやホブゴブリン。時にオークや魔物じゃないけど熊やイノシシも人里に降りてくる。そんな魔物や猛獣との戦いの日々。領都と村とを往復するのは現実的じゃないので村に泊まり込みで仕事をしている。
ちなみに守るべき村は一つじゃない。各地を転々として「何か困ってませんかぁ」とやるのだ。ちなみにこの辺の冬の雪は膝下ぐらいまで積もることがある。雪が積もった地面。凍った地面。泥濘んだ地面は脅威だが、それでも休めないのが冒険者の仕事だ。
幸いにして今年はまだ、そこまでは積もっていないので楽だが。
村を転々と移動する際には行商人の護衛の仕事も引き受けている。私一人じゃなくジンと一緒だ。あっ、もちろんシエラとケダマもいるよ。
子供連れだと聞くと不安そうにするが、精霊使いなんですと言うと「それならまぁいいか」と受け入れてくれる。
それにこの半年でシエラの魔力もだいぶ高まり、氷の砲弾を飛ばせるまでになっている。
円錐状にして回転を加えるのは私が教えた。そのためにかなりの威力と速度が出る。
それから私の魔力による身体強化もだいぶ高まっている。個人差はあるが魔力の増大に限界はないと言われているので鍛えれば鍛えるほど強くなれるわけだ。
もちろん筋肉の繊維一本一本に、増やした魔力を染み込ませて馴染ませる訓練は大変だけどね。それもこれも強くなるためだ。いざという時に大事な人達を守れないというのは避けたいからな。
そうそう。たまに山狩なんてのもするよ。それでも魔物は何処からともなくやってくるから不思議だ。
あっそうだ。村を順々に周っていくと、よく顔を合わせる冒険者というのも出てくる。彼らとは情報を共有し、時に教え合いながら旅と護衛と討伐を行うのだ。
そんな冒険者の中には困り者というか変わり者もいる。
「リサっち。ちぃーっす。今日もサイコーに魅力的っすね」
軽い感じでナンパに声を掛けてきたのはバッツという男だ。明るい茶色の髪に明るい茶色の瞳が優しい印象を与えてくれている。実際に女性には優しいのだとか。村娘たちと時折キャッキャウフフしてる。年齢はジンと同じ十六歳だが身長は、すでにジンより頭一つは大きくて、成長痛で悩むという羨ましい男だ。将来は二メートル近くになるかも知れない。
武器は両方の手に大斧を引っ提げて戦う。その戦いぶりは勇猛といった感じで性格の軽さからは想像もできない攻撃力を持っている。
「やぁバッツ」
「おぉ。ジンもいたのか。はっは、小さくて見えなかった」
「小さい……これでも少しは伸びたのだが」
そう言ってガックリとなるジン。彼の身長も少し伸び、私より少し高かっただけの身長が一七〇センチに迫る感じになっている。このまま順調に行けば後一〇センチは伸びるかもだ。ちなみに私は一六五から伸びてない。すでに成長は止まったようで残念だ。
「バッツぅ。シエラもいるよぉ」
そう言ってピョンピョン跳び跳ねるシエラ。ケダマは興味がないのか無言だ。
「おぉ。さらに小さくて見えなかった! はっはっは」
シエラも身長が伸びている。って当たり前か。まだ五歳だもんな。シエラの身長は街にいる五才児とほぼほぼ同じだ。順調に行けば一六〇センチに届くか届かないかになるかもな。
最近はこのメンバーで行動することが多い。
まぁ私に必要そうな本が十冊ばかり見つかったから、この冬はそれを読み込むことになるだろう。
おもに入門書だ。特に実践に関する本が多い。師匠いわく「作りたいものが決まっているのなら寄り道してないで真っ直ぐ突き進むのじゃ」とのこと。実に分かりやすく私好みの師匠だ。
昼間は冒険者として活動する。仕事の内容は主に家畜を守る仕事が多い。
ゴブリンやホブゴブリン。時にオークや魔物じゃないけど熊やイノシシも人里に降りてくる。そんな魔物や猛獣との戦いの日々。領都と村とを往復するのは現実的じゃないので村に泊まり込みで仕事をしている。
ちなみに守るべき村は一つじゃない。各地を転々として「何か困ってませんかぁ」とやるのだ。ちなみにこの辺の冬の雪は膝下ぐらいまで積もることがある。雪が積もった地面。凍った地面。泥濘んだ地面は脅威だが、それでも休めないのが冒険者の仕事だ。
幸いにして今年はまだ、そこまでは積もっていないので楽だが。
村を転々と移動する際には行商人の護衛の仕事も引き受けている。私一人じゃなくジンと一緒だ。あっ、もちろんシエラとケダマもいるよ。
子供連れだと聞くと不安そうにするが、精霊使いなんですと言うと「それならまぁいいか」と受け入れてくれる。
それにこの半年でシエラの魔力もだいぶ高まり、氷の砲弾を飛ばせるまでになっている。
円錐状にして回転を加えるのは私が教えた。そのためにかなりの威力と速度が出る。
それから私の魔力による身体強化もだいぶ高まっている。個人差はあるが魔力の増大に限界はないと言われているので鍛えれば鍛えるほど強くなれるわけだ。
もちろん筋肉の繊維一本一本に、増やした魔力を染み込ませて馴染ませる訓練は大変だけどね。それもこれも強くなるためだ。いざという時に大事な人達を守れないというのは避けたいからな。
そうそう。たまに山狩なんてのもするよ。それでも魔物は何処からともなくやってくるから不思議だ。
あっそうだ。村を順々に周っていくと、よく顔を合わせる冒険者というのも出てくる。彼らとは情報を共有し、時に教え合いながら旅と護衛と討伐を行うのだ。
そんな冒険者の中には困り者というか変わり者もいる。
「リサっち。ちぃーっす。今日もサイコーに魅力的っすね」
軽い感じでナンパに声を掛けてきたのはバッツという男だ。明るい茶色の髪に明るい茶色の瞳が優しい印象を与えてくれている。実際に女性には優しいのだとか。村娘たちと時折キャッキャウフフしてる。年齢はジンと同じ十六歳だが身長は、すでにジンより頭一つは大きくて、成長痛で悩むという羨ましい男だ。将来は二メートル近くになるかも知れない。
武器は両方の手に大斧を引っ提げて戦う。その戦いぶりは勇猛といった感じで性格の軽さからは想像もできない攻撃力を持っている。
「やぁバッツ」
「おぉ。ジンもいたのか。はっは、小さくて見えなかった」
「小さい……これでも少しは伸びたのだが」
そう言ってガックリとなるジン。彼の身長も少し伸び、私より少し高かっただけの身長が一七〇センチに迫る感じになっている。このまま順調に行けば後一〇センチは伸びるかもだ。ちなみに私は一六五から伸びてない。すでに成長は止まったようで残念だ。
「バッツぅ。シエラもいるよぉ」
そう言ってピョンピョン跳び跳ねるシエラ。ケダマは興味がないのか無言だ。
「おぉ。さらに小さくて見えなかった! はっはっは」
シエラも身長が伸びている。って当たり前か。まだ五歳だもんな。シエラの身長は街にいる五才児とほぼほぼ同じだ。順調に行けば一六〇センチに届くか届かないかになるかもな。
最近はこのメンバーで行動することが多い。
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