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044:マジックバック制作

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 話し合いは平行線だ。

 まぁ結論を急ぐこともあるまい。

 そんなことより、マジックバック作りだよ。

 いや。そんなことって言っちゃいかんな。大事なことだ。人生の事だから。

 でも、こう。

 今はマジックバックだよ。

 挑戦したいんだよ。作りたいんだよ。

 でもさ。人生をモノ創りに挑戦し続けて、それはそれで何があるんだって話ではあるよな。

 かと言って結婚ってのもね。したからって何があるんだって話だわな。

「人ってなんでこう。無意味な事をするんだろうね」

 それをいい出したら、俺がここにいる意味は。なぜ賢者の塔を出た。

「人のためになる錬金術をしたかったからだ」

 それは、間違いなく俺の願望だ。誰かの。皆の笑顔が見たかったから。

 なら一生をモノ創りに明け暮れていれば、それで満足かと問われたら。それはそれで寂しい気もする。

「結婚ねぇ」

 うぅん。堂々巡りだ。

「止めだ止め!」

 とりあえず今はマジックバックを作ろう。

「よし! 気合い入れてやらなきゃな!」

 頬をパンパンと叩き気合を入れる。

 そんな生半可な気持ちじゃマジックバック作りは出来ねぇぞっと。さぁやるぞぉ。気合を入れて作るぞぉ。

 まずはゴブリンキングの闇の魔石を溶かす所からだな!

 溶かす際に魔石に亜空間と時間停止の方向性を与えて、その後はバックそのものに固定の魔法陣を描いて、溶かした魔石でバックを浸して馴染ませれば完成だ。

 言葉にすれば簡単だが、実際に行うのは、かなり難しい。どれもこれも精細で精緻な作業が要求されるからだ。

「集中。集中!」

 こうして俺はマジックバック制作に取り掛かる。

 カチャカチャカチャっとね。

 作業を開始してから5時間が経った。

 結論から言おう。マジックバック制作は成功した。一発で成功だ。とは言え2回目が成功するかどうかは分からない。

 なんか俺ってば。昔からそうなんだよね。1回目は成功するけど、2回め3回目となると失敗する。それから成功と失敗を繰り返しながら改めてコツを掴んでいくって感じ。

 まぁでも手順が当たっていることは確認できたのだ。それでいいだろう。

 後は、これをカイトさん達に売れば、とりあえず俺の仕事は終わりだ。

 ところで森の中にあるであろうダンジョンはどうなったかな。
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