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2考察
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そもそも私は、都内で一般企業に勤めるごくごく普通の会社員だった。
彼はいない。むしろいたこともない。
友人もいない。
家族も疎遠。
引きこもり気味なアラフォー独身女。
特筆すべき特徴があったとすれば、こよなく2次元を愛していたことくらい。
書籍やグッズ、ゲーム、同人誌にかける金欲しさに働いていたと言っても過言ではない。否、ただの事実だ。
プライベートも金も、持てる全てを2次元に捧げていた。
そんな独り身生活を謳歌していた私が、なぜこんな血迷った状況に置かれているのだろうか。
まさか夢?
妄想が過ぎて、好みの世界か何かに心が入り込んじゃったのかな。もしかして、現実の私は今頃、病棟にいるのかも……。
いやいや、怖い怖い。
それとも、まったく記憶にないけど、もしかして本当に死んで、生まれ変わってしまったのだろうか。
朧げながらに覚えている。この世界で意識がはっきりする前に居た、暗い暗い水の中のことを。胸の中に抱く光の暖かさを。なんとなくだけど、あの光はミリアなのかなって思う。
まだ記憶は混濁しているけれど、確かに私はミリアなのだ。
そう断定出来るのは、ミリアとして生きた記憶を身体が覚えているから。
恋い焦がれる婚約者に拒絶されたショックなのか何なのか、なぜか前世の記憶が蘇って、全く別次元のアラフォー会社員の精神が入り込んできたから、まだ15歳のミリアはどこかに押し込まれたのかも。
この体のどこかにぎゅうぎゅうに押し込まれている、小さなミリアの姿を思い描いていたら、胸の奥がほんわか暖かくなった気がした。
それにしても、まさか、ミリア・ランドフィールが私自身だなんてね。
まだいまいち実感は湧かないけど。
異世界転生ものは、前世では好物だったけど、現実に自分の身に起きてみると、当然なことに戸惑いの方が大きい。
しかもね、ミリア・ランドフィールと言えば、最近、前世の私が嵌っていた携帯小説『愛のままに』の中の主要人物なのよね。
そう。誰からも嫌われている性格最低最悪の悪女と名高い、ヒロインのライバル的存在……。
彼はいない。むしろいたこともない。
友人もいない。
家族も疎遠。
引きこもり気味なアラフォー独身女。
特筆すべき特徴があったとすれば、こよなく2次元を愛していたことくらい。
書籍やグッズ、ゲーム、同人誌にかける金欲しさに働いていたと言っても過言ではない。否、ただの事実だ。
プライベートも金も、持てる全てを2次元に捧げていた。
そんな独り身生活を謳歌していた私が、なぜこんな血迷った状況に置かれているのだろうか。
まさか夢?
妄想が過ぎて、好みの世界か何かに心が入り込んじゃったのかな。もしかして、現実の私は今頃、病棟にいるのかも……。
いやいや、怖い怖い。
それとも、まったく記憶にないけど、もしかして本当に死んで、生まれ変わってしまったのだろうか。
朧げながらに覚えている。この世界で意識がはっきりする前に居た、暗い暗い水の中のことを。胸の中に抱く光の暖かさを。なんとなくだけど、あの光はミリアなのかなって思う。
まだ記憶は混濁しているけれど、確かに私はミリアなのだ。
そう断定出来るのは、ミリアとして生きた記憶を身体が覚えているから。
恋い焦がれる婚約者に拒絶されたショックなのか何なのか、なぜか前世の記憶が蘇って、全く別次元のアラフォー会社員の精神が入り込んできたから、まだ15歳のミリアはどこかに押し込まれたのかも。
この体のどこかにぎゅうぎゅうに押し込まれている、小さなミリアの姿を思い描いていたら、胸の奥がほんわか暖かくなった気がした。
それにしても、まさか、ミリア・ランドフィールが私自身だなんてね。
まだいまいち実感は湧かないけど。
異世界転生ものは、前世では好物だったけど、現実に自分の身に起きてみると、当然なことに戸惑いの方が大きい。
しかもね、ミリア・ランドフィールと言えば、最近、前世の私が嵌っていた携帯小説『愛のままに』の中の主要人物なのよね。
そう。誰からも嫌われている性格最低最悪の悪女と名高い、ヒロインのライバル的存在……。
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