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唇の感触にうっとりしていると、尾てい骨を少し強く押された。ゾクッと性器に触れられたような快感が内から走って、期待でゆるく勃起していた柊の陰茎は瞬く間に硬くなる。
「……な。性感マッサージも、できたのか?」
「あはは、柊さんが敏感なだけでしょ?ほら。もうこんなにしちゃって……」
「あぁっ!」
「心配だから、誰にも触らせないでください……」
「ま、まって!こんなのすぐ……!」
前に回ってきた手が柊の屹立に触れる。下着越しに柔く掴んで上下に擦られるだけで、あっという間に達してしまいそうだ。
頭が快感に支配され、促されるままに駆け上がりたくなる。だがそれでは駄目なのだと両手で彼の手を止めた。
「、?どうしたんですか?」
「あの、ゆりくんも……」
「……いや俺、間違いなく止まれなくなるんで。その……」
挿れたくなっちゃうんで今日はいいです……とみずから待てをする。なんて健気なんだと思う反面、夕里の目はギラギラ情欲に濡れているから推して知るべしだ。炙られたみたいに柊の心へ火がついた。
掴んだ彼の手を脚のあいだに誘導する。少し奥まった場所にあるその場所に指を持っていってやれば、すぐに意図を察してくれるはずだ。
「……は?」
「いれていいから。上手くできたかわかんないけど、あ……洗ってきた」
「…………」
射抜くような視線を向けられると、さすがに恥ずかしくて目を合わせられない。羞恥で身体が熱い。自分からこんな風に誘うなんて、おかしいだろうか。ましてや朝だし……引かれる?
固まってしまった夕里の反応が怖い。柊がおそるおそるゆっくり正面を見上げると、眉間にしわを寄せ瞼を閉じていた彼がカッと目を見開いた。
「っひ」
「知りませんよ?嫌って言っても止めないですからね。ここから止めるなんて、ぜったい無理」
なぜか怒った言い方をした夕里が少し強引に柊を仰向けに寝かせ、バスローブの紐を邪魔そうに取っ払って前を開けてくる。
いつもは爽やかな髪が乱れていた。野性味あふれる男に見下ろされると、肉食獣の前で舌なめずりされる小動物になったような心地だ。
鎖骨のあいだ、身体の中心に手を置いた夕里はまっすぐに触れながら手を下げていく。僅かにへこむ胸の間を抜けると乳首が立ち、筋肉も脂肪もほとんどない腹を撫でられると腹筋が震えた。
「う、んんっ……」
性器には触れず、そのまま下着が脱がされる。何も身につけず、興奮が灯ったままの中心を曝け出して。
「は、恥ずかしい……」
「これからもっと恥ずかしいことするんですよ。ほら柊さん、脚。持って」
「え」
「ほら」
覚悟はしてきた。ついでに羞恥心もどこかに置いてこれなかっただろうか。
夕里はベッドに四つある枕のひとつを柊の腰の下に挟み、恥じらって擦り合わせる膝を容赦なく割った。膝を曲げたまま脚を左右に広げ、柊自身の手で支えるように命じる。
拒むのを許さない雰囲気に思わず従う。けど、こんな……秘所をすべて晒すみたいな格好。
「無理……」
あまりもの羞恥に、涙が滲む。声が震え、見られていると思うとさっき洗った場所がひくついてしまう。
「恥ずかしいの、好きなんですね。柊さんのえっち」
「あ、んっ……!」
陰嚢と肛門のあいだ、敏感な会陰部を指先で撫でられて体が跳ねる。ポタ、と下腹部に濡れたものを感じて視線を向けると、上向いた陰茎の先から先走りが浮いていた。
言い訳できない。恥ずかしいのに、興奮している。
自分はこんなにも淫乱だったのかとショックを受けているのと同時、その事実にも興奮して身体が熱くなった。
「はぁ、えっちで可愛い……柊さん初めてでしょ?最高すぎるんですけど。ここ、ちょっと縁が腫れてる……がんばって洗浄してくれたんですよね。嬉しいなぁ。痛くないですか?」
「あっ、う、んんっ。だい、じょぶ……っん!」
夕里が熱の籠もった口調で喋りながら再び触れてくる。いつの間にか指は濡れていて、会陰から後孔のまわりをぐりぐりと揉まれた。泡のような快感が沸々と生まれ、息が上がる。
自分で洗うために少し指を入れてみたときには、違和感と苦痛しか感じなかった。しかし夕里が周囲に触れているだけで気持ちよくて、もどかしくて。
もっと欲しくなる。中に、触れてみてほしい。
「あれ……もうくぱくぱしてきた。エッロ……」
「ゆりくん……きもちいから、中も、さわって」
「え、ほんとに初めてなんですよね?」
そう何度も確認しないでほしい。真っ赤な顔で頷く柊をジトっと見ながら、夕里はさらにローションを手のひらに垂らした。
「それ……いつの間に?」
「あー、飲み物買いに自販機行ったとき、念のため……ってフロントで……。すみません柊さんが仕事してるときに、下心満載でした」
さすがラブホテルだ。それに自分だけが行為を望んでいたんじゃないことがわかって、正直嬉しい。
柊は洗浄のみでいっぱいいっぱいで、道具の準備なんて頭から飛んでいたから助かった。
やっぱり夕里は慣れて……と思うと胸が苦しいけれど、慣れている人がいなければ先に進めなかっただろう。男の人って大変だ。
小さな嫉妬は胸の奥に仕舞って、目を閉じる。あの大きそうなものが、どうやったら自分に入るのかは分からない。自分のサイズを理解している夕里に、柊は身を任せようと力を抜いた。
「……な。性感マッサージも、できたのか?」
「あはは、柊さんが敏感なだけでしょ?ほら。もうこんなにしちゃって……」
「あぁっ!」
「心配だから、誰にも触らせないでください……」
「ま、まって!こんなのすぐ……!」
前に回ってきた手が柊の屹立に触れる。下着越しに柔く掴んで上下に擦られるだけで、あっという間に達してしまいそうだ。
頭が快感に支配され、促されるままに駆け上がりたくなる。だがそれでは駄目なのだと両手で彼の手を止めた。
「、?どうしたんですか?」
「あの、ゆりくんも……」
「……いや俺、間違いなく止まれなくなるんで。その……」
挿れたくなっちゃうんで今日はいいです……とみずから待てをする。なんて健気なんだと思う反面、夕里の目はギラギラ情欲に濡れているから推して知るべしだ。炙られたみたいに柊の心へ火がついた。
掴んだ彼の手を脚のあいだに誘導する。少し奥まった場所にあるその場所に指を持っていってやれば、すぐに意図を察してくれるはずだ。
「……は?」
「いれていいから。上手くできたかわかんないけど、あ……洗ってきた」
「…………」
射抜くような視線を向けられると、さすがに恥ずかしくて目を合わせられない。羞恥で身体が熱い。自分からこんな風に誘うなんて、おかしいだろうか。ましてや朝だし……引かれる?
固まってしまった夕里の反応が怖い。柊がおそるおそるゆっくり正面を見上げると、眉間にしわを寄せ瞼を閉じていた彼がカッと目を見開いた。
「っひ」
「知りませんよ?嫌って言っても止めないですからね。ここから止めるなんて、ぜったい無理」
なぜか怒った言い方をした夕里が少し強引に柊を仰向けに寝かせ、バスローブの紐を邪魔そうに取っ払って前を開けてくる。
いつもは爽やかな髪が乱れていた。野性味あふれる男に見下ろされると、肉食獣の前で舌なめずりされる小動物になったような心地だ。
鎖骨のあいだ、身体の中心に手を置いた夕里はまっすぐに触れながら手を下げていく。僅かにへこむ胸の間を抜けると乳首が立ち、筋肉も脂肪もほとんどない腹を撫でられると腹筋が震えた。
「う、んんっ……」
性器には触れず、そのまま下着が脱がされる。何も身につけず、興奮が灯ったままの中心を曝け出して。
「は、恥ずかしい……」
「これからもっと恥ずかしいことするんですよ。ほら柊さん、脚。持って」
「え」
「ほら」
覚悟はしてきた。ついでに羞恥心もどこかに置いてこれなかっただろうか。
夕里はベッドに四つある枕のひとつを柊の腰の下に挟み、恥じらって擦り合わせる膝を容赦なく割った。膝を曲げたまま脚を左右に広げ、柊自身の手で支えるように命じる。
拒むのを許さない雰囲気に思わず従う。けど、こんな……秘所をすべて晒すみたいな格好。
「無理……」
あまりもの羞恥に、涙が滲む。声が震え、見られていると思うとさっき洗った場所がひくついてしまう。
「恥ずかしいの、好きなんですね。柊さんのえっち」
「あ、んっ……!」
陰嚢と肛門のあいだ、敏感な会陰部を指先で撫でられて体が跳ねる。ポタ、と下腹部に濡れたものを感じて視線を向けると、上向いた陰茎の先から先走りが浮いていた。
言い訳できない。恥ずかしいのに、興奮している。
自分はこんなにも淫乱だったのかとショックを受けているのと同時、その事実にも興奮して身体が熱くなった。
「はぁ、えっちで可愛い……柊さん初めてでしょ?最高すぎるんですけど。ここ、ちょっと縁が腫れてる……がんばって洗浄してくれたんですよね。嬉しいなぁ。痛くないですか?」
「あっ、う、んんっ。だい、じょぶ……っん!」
夕里が熱の籠もった口調で喋りながら再び触れてくる。いつの間にか指は濡れていて、会陰から後孔のまわりをぐりぐりと揉まれた。泡のような快感が沸々と生まれ、息が上がる。
自分で洗うために少し指を入れてみたときには、違和感と苦痛しか感じなかった。しかし夕里が周囲に触れているだけで気持ちよくて、もどかしくて。
もっと欲しくなる。中に、触れてみてほしい。
「あれ……もうくぱくぱしてきた。エッロ……」
「ゆりくん……きもちいから、中も、さわって」
「え、ほんとに初めてなんですよね?」
そう何度も確認しないでほしい。真っ赤な顔で頷く柊をジトっと見ながら、夕里はさらにローションを手のひらに垂らした。
「それ……いつの間に?」
「あー、飲み物買いに自販機行ったとき、念のため……ってフロントで……。すみません柊さんが仕事してるときに、下心満載でした」
さすがラブホテルだ。それに自分だけが行為を望んでいたんじゃないことがわかって、正直嬉しい。
柊は洗浄のみでいっぱいいっぱいで、道具の準備なんて頭から飛んでいたから助かった。
やっぱり夕里は慣れて……と思うと胸が苦しいけれど、慣れている人がいなければ先に進めなかっただろう。男の人って大変だ。
小さな嫉妬は胸の奥に仕舞って、目を閉じる。あの大きそうなものが、どうやったら自分に入るのかは分からない。自分のサイズを理解している夕里に、柊は身を任せようと力を抜いた。
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